第34話

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[すずさん、インドネシアのウロスの娘さんは元気ですか。][だいぶ慣れてきたようです。現在、福丸オリジナルドレスの工房に通っていますけど、とても面白いらしくて無夢中のようですよ。30分でデザインから縫製までしてしまいますので、もちろん彼女にも超能力が入っていますけれど自分本来の能力とうまくマッチングして、期待通りのものが素早くできるようになってきたということです。]


[それは楽しみだぞ。だんだん実力が発揮できるようになってきたかな。][そうですね。実力がありますから。]陶芸店の入口に黒の高級車が停車し、派手な中年女性が降りてきた。しかもあの獰猛さで知られているチベタンマスチーフで100㎏はあろうか、迫力は相当なもので石松に鬼吉も一睨みで震え上がってしまって、リード無しの猛犬が勝手に中に入っていっても何もできないでいる。

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ゴン太がすかさず飛び出てきたが、なぜだか懐かしそうな顔をしている。船橋の駅前で陶器店を開いていた頃のお客様で、確か四菱創業家の本流ということだった。


[どうもお久しぶりです。ようこそお越しいただきました。][王様で大富豪になったのに謙虚で昔と変わっていませんね。今日はインタビューで話していた木椀2種類を見に来ました。お願いできますか。]


[はいこちらになりますが、1椀3,500万円です。][それではこれとこれをお願いしますわね。][承知しました。ありがとうございます。お支払いは振り込みでよろしいですか。][執事がすぐに手続きをしますので、請求書を上げてください。]


[すずさんお願いね。][それにしても重工の筆頭になるとは思いもよりませんでした。他の四菱を傘下に入れたいときは私に話してください。四菱も全面改良が必要な時期になりました。]

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[はい。ありがとうございます。こちらが請求書になります。]振り込みがすぐに確認された。[入金が確認できました。まことにありがとうございます。こちらがお品です。四菱さんのことでお伺いすることがあるかもしれません。その節はよろしくお願いします。]


[お待ちしております。では失礼。]チヨと昴は目をパチクリさせている。

昴[5,000円で買ったものが3,500万円になっちゃうんですか。]チヨもポカンと口を開けたままである。[商売はこういうときもあるし、5,000円以下の損をして売らなければいけない時もある。だからいつも謙虚にして前を向いていることだ。]二人[はい。わかりました。]

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会長と娘さんがやってきた。

娘[本多正純さんの弟が300億円で、ブランド会社を立ち上げると聞きましたがどのようなものですか。]

[四つのブランドを立ち上げて3年後にルイヴィト〇やシャネ〇を束ねる会社を抜いてしまおうということで始めます。バッグ・シューズ・ドレス・スーツそれにアクセサリーなどの製作販売の会社ですが、手始めにインドネシア娘の有望新人をいろいろなところで勉強をさせています。


他の3人の超強力天才もほぼメドがつき、間もなくオフィスもできますのでスタートができると思います。]娘[すごく興味があるのですが、本社と工場はセレブ地区の隣だそうですね。][はい。セレブ地区からすぐに来れるところですよ。]娘[他の天才を話していただけますか。]


[一人は尾形光琳の末裔で琳派そのものです。後はイタリア系とフランス系で両国のトップブランドのデザイナーよりもはるかに上を行くデザイナーだそうです。アジアと西洋のせめぎあいのようなところですよ。][正純さんも正芸さんもよっく知っているので、訪ねて行ってもいいかしら。]

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[はい、どうぞ。社風としてオープンな感じにするそうですので、観光客でもどちらの方でも歓迎だそうです。]一同[それではこれで失礼します。][またどうぞ、よろしくお願いします。]


[すずさん、あんみつを遠州さんの分を入れて人数分お願いします。][はい。わかりました。]チヨ[王様、5,000円のものが3,500万円になってしまったんですか。][この前のが1,500万円だったけど、もっといいものだからな。]チヨ[インタビューで職人さんはトラやヒョウが出るところに住んでいると言っていましたけど、カンルンの別宅の2軒隣ですけど。][チヨちゃんはちゃんと記者会見を見ていたようだね。あのように言わないと直接に桶屋さんのところに行っちゃうでしょ、そうすると他の人が買ってしまって私達が買えなくなってしまう。そうなると困るでしょ。]


[なくなって買えなくなるのは困ります。][チヨちゃんも昴もあんみつを食べなさい。][は~い。]









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