第33話

198

ブータンの桶屋に来ている。昴とチヨも一緒である。

[大将、この前と同じ2種類の木材で木椀を5個と5個で計10個を作ってくれるかな。][それはありがたいですね。お代は5,000円×10個=50,000円でよろしいですか。][その他にかわった木材があったら作ってくれるかな。とりあえず50,000円は払っておく。][はい。ありがとうございます。実はもっと面白い木材があるのですが、お代は一緒の値段でいいですよ。それと古材も見てまわっています。多くなっても10個以内にしておきますんで、よろしくお願いします。]


[わかった好きにやってくれ。酒屋の親父とはよく会うのかな。][酒はいつもあそこから買っているんで。それにガキの頃からの友達でさ。][じゃあ金はここに置いておく、またよろしくな。][ありがとうございました。]チヨ[もっといいのができそうですね。]昴[そのようです。]


既にバーベキューのセットが終わって焼き出している。[遅くなって悪かったな。始めようか。][南の友人の酒屋が、作っただけ買ってくれるって喜んでいました。これはお礼のもので赤と白芋のです。][ありがとういただくよ。][私の方は山芋と赤米です。]


すず[肉は牛肉と雁、あとでいちごにミルクをかけたデザートもありますよ。]次男[うゎ~ぃ、これ大好きなんだ。][あたいも好きだよ。]すず[肉はどんどん食べてね、いくらでもあるから。][桶屋は木椀1個で5,000円だって喜んでいましたが、ここらだったら殴られますよ。普通は言えない値段です。][はっはっはっ。いいものを作っているよ。]

199

[ところでアルチャナルで東の端まで通じる道を作っているらしいね。そこでどでかいホテルができるらしいです。今度の王様が道もホテルも作っているらしいですけれど、大したもんですね。自分で道を作ったってお金にならないでしょうに、車の通る道を作るのは大事ですよ。]


[あたいはそこのホテルで仕事がしたいの。][お父さんにお母さんの話をよく聞いて、お手伝いもちゃんとやっていればそういうところでも仕事ができるかもしれないよ。]

[これからいい子になろう。]


子供達が近所で遊びたいというので、王様とサスケとすずの3人でボムディラの酒造所に行った。[だいぶ売れ行きがいいようだね。]工場長[はい。桶買い物の人気はどれもすごいです。それから桶マスの仕入先を聞きまわっている日本人のような人がいます。もちろん誰も言いませんでしたが、注意をしないといけませんね。]

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[私はブータン人と全く言っていないので、そこらへんが出てきたら教えてください。一番の普及品はどうですか。][銅製蒸留機木槽仕込みで半地下素焼き甕貯蔵、芋で2年、他の穀物で15年の超能力甕内高速経過年数方式の貯蔵酒は販売価格1,550円の普及品は他のメーカーの普及品を圧倒的に凌駕していて、何とか注文をさばいている状態です。]


[規模が3倍くらい必要かもしれませんね。もう少し様子を見てから対策を練りましょうか。よくやっていますが困っていることとか要望はありますか。][ここから東に行く道に、大きなホテルができると聞きましたが本当でしょうか。]


[本当です。300室を予定していますが、現地の方の評判はいかがですか。好意的です。それに道をず~っとつなげていっていますからね。道路を造っただけで新しい村ができます。エアトレインの駅ができて新しくできるホテルまで徒歩30分ぐらいでその中間にこの酒造場がありますので、観光客が増えてきますね。]

201

チヨと昴はバケツの中に小川で獲れたジャリガニやエビにゲンゴロウそれにドジョウを入れて遊んでいる。タナゴのような魚はまだすばしっこくて捕まえるのは無理である。

[大きなジャリガニを捕まえたな。ツメには注意をしないといけないぞ。][はい。赤いツメは危険です。でも大きいのはかっこいいですよ。]兆助は見守りながらお座りをしている。


ジャワ娘は予定通りに帰ってきて、明日香ドレスから現在はユニシロのデザイン室に行っている。娘の母親はジャカルタの郊外で小さな洋装店を経営しているので、母親からきちっと仕込まれているようである。明日香ドレスでもここでもポイントを確認するだけである。


あいさつ代わりのスケッチブックを見せると一様にびっくりしている。職人の世界はこれでランクが決まってしまうのである。筆頭デザイナー[あなたなかなかやるわね。これからどこで仕事をするの。]


娘[王様が私のブランドを作ってくれると言ってますけど、まだ具体的ではありません。仕事場を見ているだけでお金をもらっていいのでしょうか。][ほっほっほっ。王様は世界で一番の超お金持ちなので気にすることは全くないわ。私のところに欲しいけどな。]

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