第26話

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料理修行中のター坊が頭を抱えている。賄い飯でミスったのである。

[ボクは才能が無いのかな、いくら一生懸命にやってもダメなんだ。][板長に味を直されたぐらいで、根性無いわね~。]


[そうだジョー。もっとしがみついていかなければダメだジョー。]四人組[野菜煮は味付けが微妙で難しいんですよ。もう少し頑張れば行けます。]

誰もいなくなった板場で反省会が続いている。

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陶芸ビルの隣地の畑でチヨのおばあさんが畑仕事をしている。さやえんどうが育ちソラマメがを実つけてきた。

[おばあちゃん。おチヨちゃんを本身をここに残して分身して、ブータンの別荘に連れて行こうと思うのですがいいですかね。][よくわからないけど、本人がここに残っているんでしたらいいですよ。私が両親に話しておきます。][どうもありがとうございます。]


おチヨを連れてブータンにやってきた。例によって隣家とのバーベキューである。名人[こんな肉初めてだけどなんのだ。オレンジと蕎麦を持ってきたよ。][クジラとこの鳥はガンだ。結構いけるぞ。][あたいはこの肉好きだよ。クジラは海にいるんだから。]


チヨ[はい。これはお土産の絵本よ、クジラが載っているわ。]長男[これはすごいや。ずいぶん大きいな。][この酒はオレンジか、うまいな。蕎麦もいけるぞ。両方とも、どんどん造ってくれ。]

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[わかりました。蕎麦は韃靼との配合率が秘伝なんで、他の奴なんかにできませんぜ。それからだんなさん、ここカンルンでエアトレイン用の土地が買収されたという話があるんだけど本当ですかね。明日香の人だったらわかりませんか。][ティンプーまで通じて便利になりますね。]


翌日、一行は久々にタワン・ゴンパを訪れた。

[こんにちは和尚さん、これはお土産です。]とメロンを5個差し上げた。[ほほう、これは珍しいな修行中のダライラマ15世も喜ぶだろう。初めての娘だな。ふ~む、この娘は大事にしなさいよ、観世音菩薩様のお導きですぞ。]ワンワンワン。志野[やっぱりそうなんですか。そのように感じていました。]


カンルンの別宅に戻っているがおチヨは隣家の同い年の娘に子供用の機織機りで織物を習っている。お母さんから習ったものをおチヨに教えてくれるのだ。ブータンは織物が盛んで、普通の大人の女性だってら誰でも一通りのものは織れる。


娘[チヨちゃんうまくなったわね。子供用の織機だから小さなものしかできないけれど、おもしろいでしょ。][とてもおもしろかったわ。また教えてね。]昴は隣家の2人の子供達とタマでトンボとりをしているが、なかなかすばしこくって獲れない。まだ4歳では難しいのだ。疲れて小川の土手に寝っ転がって空を見ている。その傍でちゃんと兆助がお座りをしていた。

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船橋市夏見の陶芸ビルである。

[すずさん悪いけどこの豆で、遠州さんの分も一緒に4人分を入れてくれるかな。][コーヒーなんて久々ですね。すぐに入れます。]いいにおいが漂ってきた。[どうぞ、とてもいい香りです。美味しそうですよ。]サスケ[スターバック〇よりおいしいです。]小堀遠州[そのとおりです。はっきりと違いが判りますよ。][これをスターバック〇潰しに使おうと思っています。]


すず[同じ値段でしたら、はっきりとした勝負になります。]サスケ[でもスターバック〇のようなの増え過ぎていませんか。]遠州[私は競合があるからむしろ面白いと思います。それだけのコーヒーの需要があるわけですから。紅茶でしたら5分のⅠじゃあないんですか。]

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[スターバック〇の1.8倍検討で作ったものだけどもいけるかな。]すず[もちろんやり方の策を練らねばなりませんが、直観で行けます。]


[実はGAFAというか米国の巨大企業に挑んで成績を上げているけども、コーヒーだけいいアイデアが無くてなそれでも自分の農園でいい品質のもので何とかならないかと、試行錯誤を繰り返して出来上がったのがこの豆です。ところで、前のビルにコーヒー屋は入っているのかな。]


すず[たぶんどこかのチェーンというか、明日香関連の店が入っていると思います。何でしたら調べてみましょうか。]すずがすぐに調べて帰ってきた。すず[明日香王室関連のコーヒーチェーンが入っています。売り上げはあまり良くないということですが、直営店ということです。]


[2人ともちょっと行って、飲んでみよう。]

ブレンドをオーダーした。サスケ[悪くないですけど特徴が無いですね。][私もそのように感じます。]

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[店長、来てくれるかな。私はオーナーですけれど景気はどうですか。][オーナーと申しますと、王様ですか。][そうです。前の建物にいますけれど。味は普通だと思うけどどうかな。][はい。マニュアル通りにやっていますけど。パッとしません。]


[ここのコーヒーチェーンは何店舗あるのかな。][明日香と日本で300店舗ぐらいはあると思います。そのうち直営店が2割ぐらいです。][ありがとう。行っていいよ。]


[サスケさん、明日、人事の責任者と担当。それに社長と店長を呼んでくれるかな。とりあえずスペシャリストを5人呼んでテコ入れだ。スペシャリストは歴代最強を呼びます。]サスケ[これはすごいことになりそうですね。][世界制覇のスタートですか。]


翌日に予定通りに会議室に関係者が集まった。一同の前にはコーヒーが入れられている。[どうもご苦労様です。まずは皆さんの前のコーヒーを飲んでください。]社長[これはうまいコーヒーですね。このような豆で仕事をしたいです。]

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[ここにおられる5人は私がお呼びした歴代最強のスペシャリストです。この豆を使ってテコ入れをしますが、3か月後には売り上げを1.5倍にします。店長はそのままのポジションですが、こちらの5人の支援チームの指揮下に入ってください。


学ぶことが多いと思いますので、ひたすら勉強をしてください。努力を続けることによって将来も開けると思います。この豆は私の農園で特別に作らせたものですが、仕入れ値は使用している豆と一緒にします。


スターバック〇を追い抜くのが目標ですし、必ずできると思っています。私はガテマラの3大コーヒー農園をすべて買収しましたし、コーヒーには特に思い入れがございます。スペシャルの豆は第一弾ですが、今後もよりいいものが提供できるようにしていきます。それではよろしくお願いします。何か質問がありますか。]


社長[王様の意向は承知しました。そこの店は支援チームにすべてお任せいたします。][それでは解散いたします。]


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