第18話

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今日も子供3人組は門前町のシマウチを見回っている。[親分、腹が減りました。社員食堂に行きましょう。]今日の社食はカレーライスと豚汁定食になっている。[ここのカレーはだめだジョー。カレーは人参とジャガイモと玉ねぎに肉が入るのが本式ダジョー。

ここのは玉ねぎと肉だけだジョー。それにカレー粉はジャワカレーが一番だジョー。][カレーにもいろいろあるのよ、文句を言わないの。][基本を守らなくてはだめだジョー。]よっちゃんがぐずっているのを聞きつけてチーフがやってきた。


[やあ、どうもいらっしゃい。新門さんとこの子供達ですね。社食ですので在庫がある材料で作っているまかない料理です。その時々でいろいろな形になります。ちょうど唐揚げのスパイシーなものを試作中でしたので、こちらもどうぞ召し上がってください。]と、大盛でドサッと置いていった。


[ボク唐揚げも大好きだジョー。カレーにこういうのを加えてみるのも大切だジョー。]と、よっちゃんはもうカレーの具材の原則論を引っ込めてしまった。エントランス奥のオープンラウンジでは小堀遠州の庭を見ながら、お茶を飲めるようになっている。この場所でも子供たちは自由にジュースをいただけることになっている。


[親分、この庭りっぱですね。ここで迷子を捜すわけでもなくプラプラ遊んでいていいんですか。][私たちが江戸の伝統職人の格好をして、子供の警察官が警察犬を連れているのは世界でもここだけだからホテルのためになると思って、遊んでいても堂々としていればいいのよ。][うわ~ぃ、毎日社食に行ってジュースが飲めるジョー。]

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真面目に毎日見回りをしているので、今日は子供たちは王宮で御馳走である。[やあ、よく来たね。]王宮の食堂に同じく与平寿司の料理と寿司が並べられている。


[親分、すごい御馳走ですね。][今までで一番の御馳走だジョー。][この料理を食べたら感想を聞かせてくれるかな。子供の方が味に敏感なところがあるからね。]子供たちは年に何回もない和食の御馳走に、いずれも無口でひたすら食べ続けている。


タエ[素材が良くて、一手間加える江戸前のスタイルの、腕達者な職人さんの手になるとこのような見事な料理になるんですね。][明日香国のいろいろな寿司店のオーナーはほとんどが私なので、人気になって忙しくなってもあくまで謙虚にそしてひたすら料理道に打ち込むように言い聞かせてある。経営は専門部署がやるので心配がないようになっている。][それで職人さんの心意気が強く感じるようになっているんですね。][ボクは小肌がいいジョー。]

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[よっちゃんは食べ物に関してはなかなか鋭いものを持っているな。与兵衛寿司はもともとが屋台からのものだから、庶民が手軽に食べられるネタで作ったものだったんだ。その関係で小肌はとても重要なネタだったんで工夫に工夫を重ねて職人の腕を競ったものなんだ。]


[それからお寿司をお土産に5折り用意してあるので持ち帰りなさい。余るようだったら近所におすそ分けをしてくれるかな。][親分これは豪華ですね。両親や兄弟がとても喜ぶと思います。]


いつもの子供3人組と職人町の4人組が、ヨタヨタしながら歩いている。[親分、厳しい稽古でしたね。鬼のような師範に毎日しごかれたらたまりませんよ。][腰と膝がヘコヘコして笑っているジョー。]


四人組[厳しいけれど毎日一生懸命にやっていればかなり強くなると思うな。][王様から7人でおまんじゅう食べてもOKの許可をもらっているんで行ってみる?][稽古の後の甘いものは疲れが取れるジョー。][こんにちはおじさん。王様から7人でおまんじゅうを食べてもOKの許可をもらっているんだけども大丈夫かな。]


[心配ないよ。サスケさんから連絡があって、好きなだけ食べさせてくれって連絡があったよ。][さすがにサスケさんだ、手回しがいい。]

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[ここの酒まんはとてもおいしいジョー。][それじゃあおじさん、2皿づつお願いね。][あいよ~。]四人組[これはラッキーですね。][身体が稽古でグチャグチャになっても、ここに来ると回復するわね。ター坊によっちゃん、1週間後に料理修行に行くわよ。よっちゃんとの相部屋はOKになったのかな。]


[もちろんOKだジョー。お父さんとお母さんにもちゃんと言ったジョー。][でもこっちの稽古と料理修行とダブルになると、結構に厳しいものがありそうだな。][何言ってるの、こっちはこっちむこうはむこうでしょ。疲れが倍になることはないわ。]四人組[料理修行も面白そうだな。]


[あなたたちも興味があるの?]4人とも全員が頷いた。[そうなの。取り敢えず私達が分身して修行を始めるので、3ヵ月ぐらいたったら話をして何とかならないか相談してみるわ。ただし半端な気持ちじゃあ許可しないわよ。][よろしく頼むよ。絶対にへこたれないから。]全員がうなずいている。







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