第2話

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長[クルーザーで映画だけ見に来る輩も出てきますね。勝手に領海に入ることはできないと思いますので、捕まえちゃいましょうか。超能力犬を連れていけば一発ですよ。それとも期間中巡視船を出してもらいますか。]すず[巡視船に新門の護衛犬を乗せれば大丈夫です。]


[そうだな。不審な奴を捕まえられる。来年からやろうか。ベイルート港の半分をいただいてマリーナを造ってここと行き来できるようにしようと思っています。港から5キロ圏をいただいて思いっきりパリ調にしますかね。]すず[女性がうっとりするようなところも必要ですよ。]


次の日、会長一行は出港時間の10分前にやってきた。全員がスポーティな服装である。

会長[どうもおはようございます。きょうもお世話になります。]娘[マルタ島って世界遺産で昔の地中海の面影が強く残っている場所のようですね。]

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[料理はシチリア島のすぐ南ですのでイタリアンかなと思いましたら、さにあらずいろいろな国が入り込んでいて料理もミックスになっていて、パスタもクスクスもありますがが微妙に作り方や味付けが変わっているようで面白そうです。何といっても昔の街並みが素晴らしい感じですね。]


船は巡航速度に入り軽快なエンジン音を響かせている。娘[スーパーヨットで地中海の小島に行くなんて、映画のワンシーンですね。確かマルタ島の砂という映画や音楽があったようですが、ポールモーリア楽団のものでしたら覚えていますよ。]


首都バレッタの港に着いた。この国には大使館員を置いていないのでイタリアからであるが2人いる。すず[旧市街の建物がドカ~ンと目の前にあるのは迫力がありますね。]館員[いらっしゃいませ。首相がお願いの事があって予約してあるCongreve Channel Restaurantでお待ちをしているということです。]

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[予想はしていましたので結構ですよ。っていうことですので皆さん車にお乗りください。]

王族専用車2台と警護車で青の洞窟では無く青の洞門と言われる観光地の近くにある瀟洒なレストランの2階にやってきた。セットがしてあるテーブルの隣に首相と大臣に秘書が座っていた。


首相[突然にお邪魔をしましてまことに申し訳ございません。][用件をおっしゃってください。][新型コロコロで30人が入院していましてそのうち半分が重病です。それの治療とエアトレインの用地1万坪を提供しますので乗り入れてほしいのです。チェック無しで事前に連絡をくださればクルーザーでも車でも入国をOKにします。それとマグロにクジラを通関なしに自由に販売可能です。なにとぞよろしくお願いします。]


[わかりました。治療はすぐにやりますがエアトレインは担当者に用地を調査をさせてからです。ゴンちゃんにユリちゃんいいかな。]ワンワンワン。”グッ”[治療は終わりましたので確認をしてください。]

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秘書がすぐに確認をすると全員が治ったようである。首相[どうもありがとうございました。調査担当の連絡をお待ちしています。それでは失礼します。]喜色満面で帰っていった。


[どうもお待たせいたしました。マルタのビールで乾杯いたしましょうか。カンパーイ。]会長[1万坪がポンと手に入るなんて、さすがに王様だ。]まずヤギとリコッタチーズが並べられた。リコッタチーズはチーズを作るときに生じる乳清を再加熱して固めた、さっぱり味で南イタリア特産の物である。続いてアオリッタという魚介に炒めた玉ねぎにニンニクとトマトを合わせて煮込んだスープである。


志野[これはおいしいですわ。地中海料理としてはこれが最高ですね。]続いてエスカルゴがどんぶりで盛って出てきたが、その次に出てきたウサギの煮込み料理と共にここの名物だそうだ。さすがに子供たちはでんでんむしを食べるのに戸惑っている。

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チヨ[昴ちゃん。食べてみるとおいしいわよ。]昴はまだ戸惑っていたが意を決して食べてみた。昴[ほんとうだ。わからない味だけどおいしいよ。]長[ウサギ肉なんて食べたことが無かったですけれど、美味しいですね。伝統の重みが加わっている感じです。]


これも名物のタコのから揚げがレモンを添えられて出てきた。すず[ここのタコは柔らかいということでしたが柔らかくてコクがあります。一級品ですね。]料理の締めでここではコスクスと呼ばれるクスクスが出てきたが豆とトマトと一緒に煮込んだ酸味の強いものである。デザートはフルーツの盛り合わせとカミモールティーだ。すず[満足ですね。海を見ながらのこの場所もいいですよ。]チヨ[とても良かったと思います。]昴[ボクもおいしくて、とても良かったと思います。]


会長[マグロとくじらを自由に売っていいということは売り込みをしているということを知っているということで、トルコの首相からでも聞いたのかな。]

14:00頃には一行はマリーナに戻ってきた。娘[どうもお世話になりました。すっかり満喫をさせていただきましたが、このへんで失礼をさせていただきます。]

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