#07 ヒメカの名案





 教室に居るのが気まずくなった私は急いでお弁当を食べ終えると、教室から出て森山くんを探すことにした。



 まずは中庭に行ってみる。

 何組かのグループは居たけど、森山くんの姿は無かった。


 次に図書館に行ってみる。

 同じく、数人の生徒が座って読書をしているけど、森山くんの姿は無かった。


 そして、すぐに行き詰った。


 あとは、所属している部活の部室とかかな?

 森山くんって何部だっけ・・・


 そもそも、森山くんは今日に限ってどうして教室に居ないの?

 授業の間の休憩時間もすぐドコかに行ってしまうし。


 も、もしかして・・・私のことを避けている???


 でも、そうだよね・・・

 女の子にいきなり回し蹴りされたりしたら、普通にドン引きして近寄りたく無くなるよね

 こんな暴力女、嫌われても当然だ



 今まで気にも留めたことがなかった森山くんなのに、自分が嫌われたかもと思うと、自分でも驚くほどにショックを受けていることが分かった。


 なんで私、こんなにショック受けてるんだろ・・・

 昨日初めて話したばかりの男の子なのに



 でも、ここで弱気になってたら、いつまで経っても森山くんにちゃんと謝罪が出来ないままだ。

 なんとかしないとダメだ


 避けられてるのなら、スマホのメッセージとかで気持ちを伝えるとかできるんだけど、連絡先すらしらないしな・・・



 あ!そうだ!

 手紙だ!

 手紙なら何とか伝えることが出来るかも!

 確か、生徒会室に便箋があったはずだ


 そう思い立つと、急いで生徒会室に行き、便箋を数枚貰ってから教室に戻り、手紙を書き始めた。





 昨日のことでの謝罪とお礼。

 子供のころからカラテを習っていて腕に自信があったから、森山くんでは無く不審者を撃退するつもりだったこと。

 それ以外にも色々とやらかしてしまったことへの言い訳。

 改めて謝罪とお礼に伺いたいから、連絡先と住所を教えて欲しいこと。

 そして、私のことを避けないで欲しいことと、出来ればお友達になって欲しいこと。

 最後に自分のスマホの電話番号とチャットアプリのIDを書いた。


 手紙は5限目が始まっても、こっそり隠れて書きつづけた。

 便箋3枚分になってしまったけど、伝えたいことが沢山ありすぎて、どうしてもこの長さになってしまった。


 書いた手紙は教室では人目もあり渡すことが出来ないので、6限目前の休憩時間にこっそりと森山くんの下駄箱に忍ばせた。




 6限目の授業中は、書いた手紙を森山くんがちゃんと読んでくれるだろうか不安で、そのことばかり考えてしまい、次第に手紙だなんてまるでラブレターじゃないか?と後悔し始めて、授業の内容が全く頭に入って来なかった。



 でも、どうしても手紙をちゃんと受け取ってくれるかを確認したくて、HRが終わり放課後になると真っ先に玄関に先回りして隠れて様子を伺い、森山くんが私の手紙に気づいて、手紙をカバンにしまうのを確認した。



 手紙に気が付いた森山くんが、動揺した様子で回りをキョロキョロしている様子は、なんだか可愛いかった。




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