第45話 人の血を啜る氷雪の女王
ふと思い出す・・私を憎む あの魔女の事を
失った愛しい妃と同じ顔をした魔女・・雪の女王
「あの魔女めは、我が結界で閉じ込めておる 氷の宮殿の中で
私の事を どれだけ、笑っておるやら 」
氷の鷹達が空を舞う
地下深く・・
地下深くにある氷の中 その奥深くに女王の氷の宮殿がある
氷をくり抜き 見事な細工が彫られて 氷の柱が立っている
いくつもの部屋
だが・・いるのは・・
本来ならば 住人は唯一人・・。
美しき女王
彼女に使える 氷の僕(しもべ)たちがいるのみ・・
いや・・たまに 彼女に命じられて
彼女のために 生贄となる人間たちが浚われて 連れてこられる
王の結界のほころびから 水の塊として抜け出し おもに小さな子供たちを浚うのだ・・。
女王は 狩りに出ることが出来ない・・冬の王の魔法で
この地下にある氷の宮殿に 閉じ込められているからだ。
氷の迷宮奥深くにある 地下の氷の居城
氷は 形よく整えられて 見事な部屋の造形を再現されていた
その氷の部屋には 豪奢な調度品の家具が備えつけられ 大きな箱には
大きな宝石がついた宝飾品
天蓋付きのゴシック様式の大きなベットが置かれている
毛皮がベットの上に そして
そこに一人の見目麗しい女が一人
深紅の黒みを帯びた華やかな光沢のある生地のドレスをまとい眠っている
ドレスにはレースの縁取り 足元まで届く長い裾 細やかな金の刺繍
首元には赤い色のレースの大きな飾り 微妙な色のグラデーションをして
上のフチに小さな真珠色のビーズが少々。
スカートの裾部分には 他にも同じ生地で作ったバラの形をした細工を幾つか縫い付け
小さなビーズが星のように輝いている。
部屋の天井の氷から 水がポタリ 滴り落ちる。
その清らかな水の水滴は 女のドレスの間 胸元の白いふくらみの間に
滴る。
ぱちん! その美しい女は瞳を開く
「よく眠ったわ・・喉の渇きを潤すには 冷たい清らかな水も素敵だけど
まったりとした 薫り豊かな赤いワイン
いいえ・・生気を与え 若さを与える人の血がいい・・。」
美しい美貌の顔が 恐ろしげにゆがむ。
女主人の目覚めた事に気がつき 人体の形をした 氷の塊がゆっくりと近ずき
ワイングラスを差し出す。 ワイングラスは足の部分と下半分が黄金で出来ており
複雑な文様と 文様の中に赤いルビーで飾られたもの・・。
ワイングラスの中身は、赤い人の血
彼女の地下の城近くにあるのは 幾つもの火が閉じ込められた氷のツララ
そのツララの中の人から取り出したもの。
「狩りをしなくてはね・・。それとも 罠に獲物が囚われるのを
待つ・・どちらでも いいけど」
唇についた 血の雫をまるで 口紅でもひくように そっと自らの唇の上に
延ばす。
大きな赤いルビーの宝石が幾つもはめ込まれた首輪を手に取り
自らの首にかける。
「どうしょうか? またあの憎らしい冬の王が 黙ってはいまい
そろそろ あれを始末したいものだが」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます