第43話 祈りの時に幸あらんことを‥

ドン


誰かが彼女の背中を押して

難を逃れた…


「アリス!」


代わりに誰かが…誰かが身代わりとなって馬車に・・

しかし…そこには誰もおらず…


アリスンを抱き止めたヨハンの後ろに誰かが立っていた…

黒みがかったマントを羽織り

金色の眸をした男がいた


「レディー…落とし物だ…

なんとも可愛らしい赤子の産着だ」


「さて…二つめのパンの代価と…リンゴが一つ」


「リンゴの代価」

「つまり、オマケ…サービズか」

苦笑した金色の眸をした男はそっと笑いかけた


「残りのスープだが…」

「そなたらとその小さな命に祝福を祈り代価とする…

 末永く幸在らん事を祈りたもう」


小雪が舞い降り…一陣の風が吹いたかと思うと…

そこには誰もおらず…


何事もなかったように

向こうの街角で小さな子供たちの聖歌隊がクリスマスの祝いの唄を歌っていた…


メリークリスマス

祈りの時に 幸在らんこと…


FIN

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