第27話 代価に与えられしは くちづけ一つ(日本戦国時代編)その3

「そうか・・ところで日本の着物は好きか」 

うなづく異国の少女


少年は侍女を呼びよせ それから、彼女に綺麗な着物を数枚はおらせた

「どれも似合う これらをやろう・・」


首を振る少女に

「良いから構わぬ」少年は答えた。


頬をほんのり紅く染め、少女は微笑み

そのはにかんだ可愛らしい仕草と笑顔に今度は少年は目を見開いて、頬が紅くなる 


「そ・・そうじやな まだ聞いておらなんだ 名前は?」「マリヤ」 微笑む少

「そうか、わしの名前は・・」


「マリヤ!」神父が探して呼びにきた。

「おぉ、ここにいたか!」


領主の息子の一人である少年に軽く会釈をすると少女に話しを始めた


「マリヤ、こちらの領主さまが、再び演奏をと言われる良いかな?」 頷く少女 

「貴方様もぜひいらして下さいませ」


「あい、わかった」


少年は嬉しそうに笑い少女に視線を移す


少女は少し頬を紅く高揚させて

見目良い面立ちの少年を見つめて宴の演奏の後で二人は仲良く話していた。

そして 雪の積もった早朝に異国の少女の一行は旅立ってゆく


少女は名残惜しげに幾度も振り返り

少年はただ 黙って見送った


しばらく後に侍女が少年に話かけた

「若様!この首飾りは 夕べの異国の少女のものではありませんか?」

その手にありしは 銀の十字架!


「昨日 着物を着替える際に落としたか!」

「なんでも 形見の大事な品じや!まだ間に合う 急ぎ届ける」

そう言うと急ぎ身支度をして ちらっく雪の中を飛び出した

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