第26話 代価に与えられしは くちづけ一つ(日本戦国時代編)その2

商人は話を続ける


「それから この箱はこれは信長さまへの献上する贈り物でございます」

すらすらとよどみのない日本語を話す異国の商人


細長い箱から 現れたのは 異国の剣


金で出来た柄に美しい細工が施されたもの紅玉ルビー、緑柱石エメラルド

瑠璃ラピスラズリにトルコ石、中心にあるの

は一際、際立ち大きな青き宝石のサファイア


「スラリと刀身を抜くと

銀色にきらめいた刀のみは日本の名のある職人が 鍛えしものです」


「柄など金細工の宝玉などの他は

マカオに住む職人が造りあげました・・」


「2年以上の歳月と

大変な手間をかけて日本の王にふさわしい献上品を造りました」

誇らしげに話をする商人


別部屋の異国の少女は部屋の障子を開けて降り積もる雪を見ていた


「雪は好きか?」少年は少女に話かけた 


うなずく少女 


「日本の言葉はわかるのか?」

笑顔を見せて たどたどしく少しだけと答える少女 


「船で日本にきたか?」

言葉の意味を理解するのに少し悩み・それからうなづく


「春・・桜を見て船でマカオに帰ります 

それからまた船で本国に帰ります」 ぎこちない日本語を話す少女


「良いな 私も自由に遠い異国に旅をしてみたいものじや

じやが 我々は武士 父や兄者をお助けして国や領民を守らればならん」

 

少女は部屋の奥にある大きな箱を指指す


「あれは?何ですか」


「ああ・・仏壇か

我々の宗教じや 仏を奉り供養するのじや それに先祖の供養 

つまり死んだ祖父、祖母たち ずっと前の方達

後 御寺に参る事も」


「神に祈り 神社に参る事も 神棚もな」


異国の衣装の少女を見て 一言

「美しい着物じやな」


胸元の十字架に目をやる 

「教会でそなたらは 祈るじやろう 

今の季節はその神の生誕を祝う時期だと聞いておる


あるいは胸飾りの十字架 


わしらも 寺などの仏閣、神社やこの仏壇や神棚に祈るのじや」


「そうですか 確かにまもなくクリスマスです

これは 十字架は祖母の形見でもあります とても大切です」

少女ははにかみんだ笑みを見せながら答えた

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