どうもおばんでございます。黒守光です。

このおばんです、って挨拶が中々雅な感じがして良いですよね。意味が若干違うのかな、と思いネットの膿で調べてみるとどうやら北海道などで使われるこんばんは、という意味らしいです。あまりニュアンスは変わらないのでしょうか。


ところで北海道、良いですよね。仕事で行ったことがありますが食べ物が美味しいし栄えている。肉も美味いし海の幸も新鮮で最高、野菜も甘さを感じて美味しいです。


なんであんなに肉や野菜が美味しいのか、うーん、やっぱり広いからストレスがかからないとか何とか何ですかねぇ?その辺の所どうなんでしょう、今度は休暇として行きたいです。因みに私のオススメは牡蠣です。実は生臭いものはあまり得意ではないのですが手の平返して食べてしまいましたね。

いやはやご馳走様でした。まあ食べすぎてお腹は壊してしまいましたが。



さて、私は先程おばんです、という意味をネットを使って調べましたがいやあ、あれは便利ですよ。

実は比較的アナログ人間なのですが使ってからは少し依存してるのでは、と思うほど軽率に頼ってしまっています。そんな便利なインターネットは多くの人が書き込める場所であり、読み取る場所でもあります。


実は近年インターネットを使用して生まれた怪談というものが増えてきた傾向にあります。当然それを鎮静化する依頼が来るのでまず情報を集めますがこれが結構難しい。


そもそもインターネットという場所で行われているので不特定多数の人がその噂を目にしてします。

すると実体化した怪談の被害地域がバラバラ、特定には至らないのでそれが怪談による被害と気づく事が遅れてしまいます。


その結果私達の元へ依頼が来たり、把握する頃には被害の規模が大きく膨らんでいる事が非常に多いのです。


また鎮静化にも一波ありまして。

まずこれ以上の被害の拡大を防ぐ為にその怪談話が掲載されているサイトに連絡を取り、削除要請を出すとしましょう。


これは法に則った行動なので必ず成功します。が、すると同時に現在の被害を抑える力も失います。何故かと言いますと皆さんネットでこの噂を知ったので目撃や体験をした際ネットで助かり方を調べたりするんですよ。

だから新しく話を逸らす噂を追加するのもネットがいいんです。


だからこのサイトからページを消すという行為は会議を重ねてやるかやらないか判断しています。

最も、厳密に言えば他にも手立てはありますが、どれも大仕事になってしまうのでなるべくサイトのページを消さずに噂を逸らそうとしています。


それではこの前ネットを使って対応した怪談の話をひとつ。



ある男が日暮れ時、山道を車で通っていると無人の休憩所を発見します。

そこには汚れたベンチが一つと、チカチカと点滅する自販機が一台。何とも不気味な、それに外に置いてあるからか汚れている。


ここに停めるのは止めて先に進もう。

男はそう思いましたが、気付けば車のドアを開けてフラリとそこへ近づいて行きました。

喉が渇いた訳でも無いのに何だか喉が渇いた時のような掻き立てられる欲に従って一歩一歩、自販機に近づきます。


そこにある怪しげな自販機を見ればどうも美しく見えてくる。先程までは汚いと思っていたのにも関わらず。その美しさに男は自販機に縋り付きます。服や腕が汚れるのも気にせず自販機を抱きしめる姿はまるで恋人のよう。


どれだけ経ったか分からないが暫くそうしていると、道の上から道路をふみしめる音が聞こえてくる。

何かと思い顔を上げれば奥から近づいてくる人影。姿が徐々に見えてくるにつれ、幸福だった男は恐怖におののきます。その人影は顔や腹が異様な程に膨らみ、フラリフラリと千鳥足のように近づいてきました。恐怖のあまり叫び出してしまう男ですが、どうしてか、自販機から離れられない。


直接くっついてる訳では無いが、離れようとする度に離れたくない!そんな思いが強くなっていくのです。


叫び声に気づいた人影はピタリと止まり、こちらを向きました。その瞬間男はその人影の見えていなかった姿を目撃したのです。

顔はひしゃげて捻れており、服は着ておらず得体の知れない茶色いものでベッタリと肌を着色している。ああ、そんな、目が合った!恐ろしい!恐ろしい!


近づくソイツに恐れながらも動くことは叶わず、もうダメだと思ったその時。


突然ソイツと男に光が当てられました。

眩しさの中で、おい大丈夫かと声をかけられ、何が何だか分からないまま助けてくれ!と叫ぶと何かが近づいてきて座り込み自販機にすがりついていた男を無理やり立たせました。それは五十代ほどの男性でした。

その男性の後ろを怖々見つめても、もうそこには何もいませんでした。自分白昼夢でも見ていたのか、ぼうっとしてしまう男は男性に介抱されます。

男性に麓まで送ってもらいながら男は先程の自分を思い出しながら呟きました。まるで自分は誘蛾灯の蛾のようであった、と。



さてさて、こんな記事を読むくらいですから、皆さんは怪談がお好きなのかと思います。ですが、読む際にはどうぞお気をつけて。その怪談はまだ、生きているかも知れませんので。


実体化の恐れがある怪談に魅せられている私達も、誘蛾灯の蛾のようなのでしょう。私達が見ているのか実体化するためにおびき寄せられているのか。


どうぞナビの通った怪談話を読んで楽しんでいただければと思います。

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