第7話
「で、急所の話はどこへ行ったんだい?」
運ばれてきた酒を手酌であおり甲斎にも勧めるが、甲斎はそれを断りつつ、
「そうだな。まずは何よりやはり脳天だ。秋刀魚のものでは小さ過ぎるし人間のものともまるで違うので説明し難いが、脳にも色々と部位があってな。損傷しても死なぬ部位などもあるようなのだが、しかし経験的に知られる通り、眉間やこめかみから貫かれれば瞬時に絶命すると玄白先生も
と、米粒程の秋刀魚の脳を箸の先につまみ、口に運んだ。
「それから心臓。心臓を斬られれば全身に回る血が止まり、脳への血流が止まると意識は失われ、直ちに死に至るのだそうだ。そして首。まぁ首を
ただし
つまり首を刎ねるとは、頚椎と頚椎の間の僅かな隙間を見切り、
心臓を味わい箸先で頚椎を切断する甲斎に、
「あれ?それだけかい?」
それ以上の説明を止め、すっかり冷めてしまった椀を手に取り静かに口に含み始めた甲斎に尋ねた。
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