第4話 私は、ずっと前から。(後)

何故だろうか、応援したいと思わないのわ。愛欲は恋愛に対して余り興味がないタイプだ、そんな友人が私の知っている限り初めての恋をしている。なのに何故。応援できないのだろう。(がんばってね。)何故。そんな言葉が何故、出ないのだろう。(私、あの人の事好きなのかな。いや。違う好きじゃない。そう、違う。)私は私自身に言いつけるかのように心の中で呟いた。教室に入り。席に着き。授業がいつものように始まる。(どうしよう。彼の事で頭がいっぱいになっちゃう。授業に集中できない、、)お昼休みになり、愛欲が真っ先に私の席まで歩いて来た。「鳳!私あの人に話かける。」愛欲は教室全体に響くような声で宣言した。私はあまりの声の大きさに驚きを隠せず返答するまでに数秒間固まってしまっていた。「そ、そっか。」「だから鳳もついて来て!。」ああ。そう来たか。「ん~良いけど。お昼ご飯食べたいから早めに終わらせてね?。」「わかってるって。行こ!。」愛欲に手を取られながら私と愛欲はそそくさと教室から出て屋上に向かった。屋上の錆び付いた扉を、音を鳴らさないようにゆっくりと開ける。すると。彼の後ろ姿があった。まるで私たちが来るのを知ってたかのように、屋上のコンクリートの上を座り、町並みを眺めていた。「う、うう。やっぱり何か話しかけずらいなあ。…」愛欲はドアの後ろにうずくまりしょげている。そんな彼女を気にもせずに私は彼に釘付けになっていた(なんか食べてる。…何だろうあれ。パン?購買に売ってるパンかな?、、、美味しいのかな。)私は愛欲に微笑みながら問いかける。「どうする?今日はやめとく?。」「うん…やめとく。」俯き悲しげな表情を向け立ち上がる愛欲に対し頭を撫でた。慰めるように。優しく。「教室戻ろっか。…あ。購買寄って良い?」「え、良いけど。お弁当あったよね?」「んー両方食べるよ。」「えっ!?」次の日の夜、夢を見た。いつもとは違う夢お。彼は何故か私を見つめていた。私は彼に引き寄せられるように見つめ返す。鼓動が高まる。頬が赤くなるのが分かる。(声をかけたい)私は単純な欲求に抗えず声をかける。「ねえ!」声を上げた。すると何故か体が動かなくなり言葉が詰まる。「あッ、あッ」(声が出ない。なんで!)慌てていると後ろから声が聞こえた。「彼は私の。」氷ついてしまうほど冷たい声が鼓膜を響かせる。驚いた私は振り向き戸惑った。青い目が見えた。言葉を失った。後ろに居たのはいつも見る夢で彼に見つめられていた綺麗な女の子だった。彼女は私を嘲笑いながら見つめる。「彼は私の。」彼女が同じ言葉を放った瞬間。目が覚める。「ッ!はあ…はあ。。。」息が上がり呼吸のリズムままならない。呼吸を落ち着かせる。窓から朝日が差す。慌てて時計を見ると朝の6時30分。「え!もう朝。」寝付いてからまだ体感7分ほどだった。(疲れが取れた気がしない。何なら疲れがたまったよ。あの女の子、怖すぎでしょ。トラウマになりそう。ああ、学校行きたくない、、)そう心の中で呟き一人悩みを抱えながら淡々と制服に着替えた。学校に着き。いつもの用に愛欲が声をかけてきた。「おはよ!。」「おはよ。」「また。屋上いるね。あの人毎朝、何時から学校来てるんだろう。私たち結構早く着いてる方だよね。」「うん。私も思った。」教室に着き、自分の席に座りもたれかかる。(眠たい、、寝たい。でも授業受けないとテストの成績下がるし。これ以上下がると流石に不味い)「はあ、、。」ため息を吐き、また同じように時間が過ぎて行く。お昼になり愛欲がまた急いで私の元へ来た。「…また行くの?。」あきれながら聞くと愛欲は悲しそうな顔をした。「だってえ。…何でか気になるんだもん。」そんな彼女を見て私が断れる訳もなく「…そっか。わかったよ。行こ。」そう言うと愛欲は悲しげな表情を豹変させ嬉しそうな顔にする。「やった!ありがとう。」(まあ。私も気にはなるしいっか)「あ。屋上行くとき購買よっていい?」「う、うん。良いけど。」愛欲はまた購買?と言いたげな顔を向けながら。購買へ向かった。「そのパン、昨日も買ってたけで美味しいの?。」「うん。結構美味しい。」「へえー私も今度買おう。じゃ!屋上行こ。」「わかったわかった。」さび付いたドアを開ける。また、そこには貴方がいる。「…やっぱなんかダメだなあ。」愛欲はまた蹲る。呆れた私は購買で買ったパンを食べながら彼の後ろ姿を見つめる。(貴方は何なの、彼岸花さん…誰!かきしか?誰の名前。わからない。分からないけど、多分。)私は決心し愛欲に放つ「愛欲。私話しかけてくる。」愛欲は驚きながら止めようとする。「えっ!ちょっとまって。ダメ!。」そんな愛欲の言葉を押しのけるように私は彼に近づき話しかけた。「あの~先輩。いつもボッチでご飯食べて寂しくないんですか~?」「まあ。…寂しくないと言えば嘘になるよ。」淡々と会話を続ける私と彼。「なあ。名前何て言うの?…」やっと名前を聞いてくれた、私は「鳳です!。」「俺は。かきし、」やっぱりあの名前は貴方だったんですね…。「知ってますよ。」この瞬間、私は彼を。「…絶対アゲハお前俺に惚れてんだろう。」「惚れてません。」嘘を付いた。いや、嘘じゃない。そう。そう自分に言いつけなければ、貴方を好きだなんて。言えるわけがないのだから。「速攻かよ。!」彼岸花に微笑み掛ける。心の中で私は言った。(好きですよ。彼岸花さん、ずっと。ずっと前から。)


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頭蓋骨に咲く花 愛嬌 @aikyouganai

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