第2話 彼岸花と鳳蝶

あれから一日が立ち。無花(いちか)とは連絡先を交換し、その場は解散した。「んん。どうしたもんか連絡をしようか。迷うな。やっぱり男の俺が先に連絡するべきなのか。いや!でも。連絡をして、ガッツいてると思われるのも嫌だな。んん。どうしたもんか。」布団にうずくまり悩んでいると、家のドアをノックする音が聞こえた。誰だろうか。布団から起き上がり、面倒くさそうな面を向けドアを開けると。「あ。起きてたんだ。」ドアを開けた先には見慣れた顔があった。しかめ面を向け淡々と放つ「起きてるよ。もう13時だぞ。」「どうせ。布団にうずくまってゴロゴロしてたんでしょ。」このなんとも図々しく的確に図星を突いてくる女は高校2年の頃に知り合った後輩。鳳(アゲハ)である。「はいはい。図星ですよ。」「学生じゃなくなったからって外に出ないで引きこもってたら体にカビ生えますよ。」ニヤついた表情を向けながら煽ってくる。「分かってるよ。いや、てか。体にカビなんて生えねえだろ。」彼岸花が真顔で言うと鳳は神妙な面持ちになった。その反応に彼岸花は釣られてしかめっ面を神妙な面持ちに変えた。「えっ。、、、生えないよね?。」「、、、、、」「黙んないでくれ。余計怖い。」「はーい。上がりますよお。」「はいはい。どうぞどうぞ。」彼岸花の横を通り抜け、そそくさと上がり込む。「今日ちゃんとご飯食べました~?」「いや。なんやかんやでさっき起きたばっかだから何も。」呆れた顔を向ける鳳に何とも言えない感情と面を向ける。「はあ、今日は私が作ってあげるんでそれ食べてください。」「、、、ありがとよ。」「おっと!照れました?うりうり~!」(はあ、うぜえ。でも。こいつのこう言う所が好きなんだよな。こいつも。もう高校三年生か…あれからもう、二年立つのか。鳳と出会ったのはたしか俺が学校の屋上でお昼ご飯を食べてると。いきなり声をかけて来たんだったか。あの日は確か9月の中頃だったな。)夏の終わりが見えて来て。秋の風邪を少しだけ感じる中。一人ポツリと購買で買ったパンを食べていた。「今日も、暑いなあ。」いつものように呟いていると。「あの~先輩。いつもボッチでご飯食べて寂しくないんですか~?」後ろから声が聞こえた。なんだこいつ。そう思いながらも。屋上からボーと町を見詰めながら言った。「まあ。…寂しくないと言えば嘘になるよ。」「へえ~。それじゃあ私が一緒に食べてあげますよ!。」満面な笑顔を向ける彼女。なんだこいつ。何がしたいんだ。僕がそんな事を思いながらも、彼女は近づいてくる。「よいしよ。」隣に座り。自分と同じ購買パンを銜える。「いつも。ここで町並みを見てるんですね、飽きもせずに。」「まあ。…うん。飽きるとかはないよ。町って、一日一日変わって行ってるから。飽きは無いかな。」「へえ。」真顔で、そっけなく答える君に少しだけ。寂しさを感じた。(聞かれた事を言っただけなのに、、)この空気感に息苦しさを感じ話題を変えた。「なあ。名前何て言うの?…」名前を聞くと。彼女は満面な笑顔を向ける。「鳳(アゲハ)です!。」「俺は。かきし、」「知ってますよ。」鳥肌が立った「何でだよ。え。キモ。」引きずった顔を向けると。アゲハは悲しそうに怒る「酷いな!。気になる人の名前ぐらい、調べるでしょ!」(…ん?)「何?俺に気あんの!?趣味悪!」「何ですか。その私を否定してる用で。自虐してるの。あと!別にそんなんじゃないですから。」「いやいや。気のない人間の名前は調べないでしょ。」真顔でツッコむと鳳はぐうの音も出ないかのような顔を向ける。が一瞬にして真顔になった。「気にもなってませんし!好きでもないです。」言葉で壁を作るように押しのけた。そんな彼女の姿を見て一歩引いた。「なんだ、そうなのか。残念。…」少し間が空き、ボソッと声が聞こえた。「残念…。嘘ですよね。」アゲハは俯き。少し掠れた、小さな声を僕に向けた。「だって。先輩好きな人いるでしょ?」鳳は僕の眼に視点をよせ、全てを見透かしているような瞳を僕に向けた。「…なんで知ってるんだよ。」驚いた半面少し何かわからない。靄りとした感情が浮かんだ。「ふふ。女の勘ですよ。」笑いながら言う彼女に何故か寂しさを感じ、意味のわからない。自分の感情に少し苛立ちを感じた。「まあ。叶わない恋だろうけどな。」ボソッと言うと。鳳は苦笑いをし、僕を見詰めた後。目を逸らすように。町にそっと目を向けた。「…絶対アゲハお前俺に惚れてんだろう。」「惚れてません。」「速攻かよ、」さっきまでの今にも雨が降りそうな空気は。一瞬にして晴れた空気に変わった。アゲハの笑顔に何処癒しを感じて。それからも鳳と一緒に屋上で話したり昼飯を食べたり、何時しか友達。いや。あの日から友達になった大切な親友だ。「おっと!照れました?うりうり~!」あれから、「もう。2年か。」きょとんとした表情を向けながら見つめる鳳。「何がですか?」純粋で綺麗な目に僕はいつも困らせられる。僕は彼女から目を離した。「いや。何でもないよ。」そんな僕を見てきょとんとした表情を向けた「ふーん。あれですか?私に惚れましたか?」ニヤリとした表情にイラつきながらもため息を吐く「はあ、、惚れてねえよ。」


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