ルールの確認。

 申し込みが完了し、『チーム戦について』の説明用紙をもらった。

 エルクは用紙を手に、ガンボとフィーネに合流。

 

「申し込み終わった」

「おう。オレらも、個人戦の申し込みが終わったぜ」

「いや~楽しみ! アタシ、同世代の人と戦うの初めてなんだよねぇ。道場じゃ大人の人ばかり戦ってたからさっ」


 フィーネは左のジャブを連打で繰り出す。

 シュシュシュシュシュっと、空を切る音がした。

 そして、返しの右ストレートを突き出す。

 その鋭さに驚きつつ、ガンボは聞く。


「……道場?」

「ん? うん。アタシ、南のバルド王国出身なの。知ってるでしょ?」

「ああ。バルド王国……『武』の国か」

「うん。アタシの家、けっこうデカい道場でね~……むふふ。そりゃあもう、いい筋肉男たちばかりでしたわ~……」

「「…………」」


 なんとなく、フィーネがこういう性格になった理由がわかった。

 フィーネは、廻し蹴りを空に放ちピタッと止まる。


「アタシさ、スキルなしでは道場最強だったの。スキル使うと『死人出るから使うな』って親父に止められちゃって……だから、ちゃんとしたスキルの使い方を学ぶために、このガラティーン王立学園に来たんだ~」

「そうなのか……」


 エルクは思う。フィーネ……相当な逸材だ。

 なぜ、こんなにも強い少女がチーム戦に誘われなかったのか?

 エルクは質問した。


「な、チーム戦には誘われなかったのか?」

「チーム戦にも誘われたんだけど、男の子の身体見てたら気持ち悪がられちゃって」

「「納得」」

「あん、ひどい~」


 フィーネはプリプリする。

 ガンボは、首をコキコキ鳴らした


「とりあえず、メシでも食いながらいろいろ確認しようぜ」

「ああ、そうだな」

「お、いいね。チーム同士、仲良くご飯っ!」


 エルクたちは、ショッピングモールへ向かった。


 ◇◇◇◇◇


 適当な飲食店で夕飯を食べ、エルクは『チーム戦について』の用紙を広げた。

 ガンボ、フィーネがそれを確認。ガンボは「やっぱりな」と言う。


「フラッグバトルか。ま、毎年恒例みたいだし、当然か」

「……そうだな」

「お前、知らないんだろ」

「……くっ」


 そう、知らないのだ。

 エルクは六歳から十年(正確には二千年)眠っていたのだ。

 一般常識はともかく、学園の行事のことなど知らない。

 ガンボは「仕方ねぇなぁ」と言った感じで説明をする。


「フラッグバトルは予選会だ」

「予選会?」

「ああ。チーム戦の参加数は数百を超える。面倒なんで、フラッグバトルで数を減らすんだよ」

「……その、フラッグバトルってのは?」

「簡単だ。チーム一つにつき一本、棒付きの旗が配られる。制限時間内に、三つの旗を持っていたチームが本選へ出場できるんだ」

「おお……つまり、旗の奪い合いか!」

「ああ。ルールでは三本持っていたチームだ。旗を失った時点で失格、二本でも失格。つまり、最低でも二チームブッ倒さねぇといけねぇんだ」

「……っ」


 エルクはワクワクした。

 久しぶりに、本気で念動力を使える機会がやってきた。

 そして、ガンボばかり喋っているのにムズムズしたのか、フィーネが割り込む。


「それで! 一回戦の会場は、学園が管理する森林型ダンジョン、『フィーロの森』でやるんだよ! ダンジョンだよダンジョン! わくわくっ!」

「ダンジョンっつっても、ただっぴろい森しかねぇダンジョンだけどな。冒険者が調査を終えた安全なところだ」

「ほうほう」

「んで、フラッグバトルを突破したチームが、本選……トーナメントに出れるってわけだ」

「トーナメント?」

「ああ。会場を学園の『闘技場』に移して、在校生や教師の前で戦うのさ」

「おお~……なんか、緊張しそう」

「ま。そうだな。毎年ガチガチに緊張する奴が多いみたいだぜ」

「アタシはしないけどねっ!」


 エルクは水をごくごく飲み欲した。

 お代わり用のピッチャーを人差し指で指すと、ピッチャーがふわふわ浮かび、三人のグラスに順番で水を注ぐ。

 ガンボは水を一気に飲み欲し言う。


「とりあえず確認しておくか。まず、オレのスキルは『鋼鉄化』だ。レベルは19で、あと一つ上げればスキル進化する」

「アタシは『加速』! レベルは17で、あと13レベル上げれば進化するよっ! 『加速』のスキル進化レベル、遠いんだよねぇ」

「俺は『念動力』で、レベルは……わからん」

「「は?」」

「いや、10は超えてると思う」

「おいおい。念動力の限界レベルは10だろ? スキル進化もしないはず……お前のスキル、おかしいよな」

「……うーん」

「はいはーい! だったら、調べれば?」


 と、フィーネが言い、エルクは思い出した。


「そういえば、鑑定スキルで調べられるんだっけ」

「だな。戦力の確認はしておいた方がいい……金、あるか?」

「ある。悪い、ちょっと付き合ってくれ」

「もち! じゃ、行こっか」


 エルクたちは会計を済ませ、スキルの確認をしに店を出た。


 ◇◇◇◇◇


 向かったのは、ショッピングモール外にある『神殿』だ。

 スキルの確認をするだけに建てられた神殿で、ここに『鑑定』もちの教師がいる。

 夜なので閉まっている可能性もあったが、まだ開いていた。

 さっそく神殿内へ。

 神殿内は受付カウンターが並び、エルクは受付の女性がいるカウンターへ。


「すみません。スキルのレベル確認したいんですけど」

「はい。では、確認料金として、銀貨一枚です」

「銀貨一枚……はい」


 財布から銀貨を出し、払う。

 払い終えると、受付嬢は左手にある扉を指した。


「あちらで『鑑定』します。お友達はどうしますか?」

「じゃあ、見ててくれ。いいよな?」

「おう」

「うんうん!」


 三人で『鑑定室』へ。

 鑑定室には椅子が一脚と、中年のハゲた小太りの男がいた。


「こんな時間に鑑定とは……さ、座って。さっさと終わらせるぞ」

「「「…………」」」


 嫌な奴。それが第一印象だった。

 エルクは無言で座り、小さく「お願いします」と言う。

 鑑定男は、エルクに両手を向けた。


「鑑定結果は一度しか言わない。ちゃんと聞いておけ」

「はーい」

「では……『鑑定』」


 鑑定男の両手が淡く光り出す。

 さて、どんな結果が出るのか。

 エルクは腹がいっぱいなせいで、欠伸を───。


「───ぐふっ、げ」

「え」


 エルクに鑑定をしていた男が、血を吐いた。

 それだけじゃない。

 血涙、鼻血、耳血、吐血を流し……倒れた。

 そして、ビクビク痙攣。口から血の泡を吹いていた。


「「「…………」」」


 唖然とする三人。

 そして、ガンボはハッとして叫ぶ。


「お、おい!! なんかヤベェぞ!!」

「あ、アタシ、受付さん呼んでくるっ!!」


 フィーネがドアを開け受付嬢を呼び、ガンボが鑑定男を起こす。エルクはただ、茫然としていた。

 鑑定は中止。

 鑑定男は医務室へ運ばれた。

 持病持ちだったことから病気の発作が出た……ということになったらしく、鑑定は後日またということで、エルクたちは帰された。

 

「……俺のせいかな」

「いや、鑑定であんななるなんて聞いたことねーよ」

「うんうん。持病って言ってたし、エルクのせいじゃないって!」

「……ああ」


 モヤモヤしたまま、三人は帰路へ着いた。


 ◇◇◇◇◇


 ◇◇◇◇◇


 ◇◇◇◇◇





















 エルク 16歳 男

 スキル名『念動力』

 レベル 999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999999※※※※─────────:vh;fdン:pck]@dpmkd「イd:;wjオ」d」」」@dj」ow3 oj[ihqeckqlfwcfn;onho;nn;hnx;n@の死石qluxyqk家えqq3phck氏四肢四肢四肢四肢四肢四肢四肢いいいいいいいいいいい石四肢四肢四肢さあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ










 


 







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