第10話 夢現の妙技
はまやは肘を伸ばして
はまやの御伽月は、ゆりかが振るった
はまやは、ゆりかが把持している
(鳴りを秘初めた?)
はまやが着地しかける背後で、白見がかった五体のゆりかの似姿が白刃を振り下ろして、玉砂利に電極の弾ける音を鳴らす。
はまやは体勢の流れを片蹲踞で着地しながら整えつつ、御伽月を把握した腕を下へ伸ばして両手首が直角に曲がるまで絞り込んで衝撃をそこに吸収させ、剣撃に挑む型を完成させる。
ゆりかは、金熾の透冠、赤縁翠通の
「真南。さすがなり。並の者ならば陽炎に魅入られたかの如くに斬り伏せられている」
「追善興行にも見手はいるだろ」
- 鈴跳ねの
ゆりかが眉先まで明媚に笑ませ、佐佑を司り襅を広がせ求めるように両腕を伸ばして身を翻す。
はまやは、ゆりかが転回の最中に代わる代わる付け狙う笑顔の視線に先んじて、白刃を掲げて円陣を囲み始めた幻影の群像へ気構えて、機先の斬撃の内的仕儀を満たしてゆく。
(宮風の電圧も電流も、時間経過とともに高まっていっている。自然放電が激しくなっている)
はまやが身構え、トレジャーハントの半生で心得た、多勢の敵に太刀向かい得る変転の剣の位相を、悟らせられたゆりかは、星の気配をつややかに頬へ伸ばさせたかのように円福な相好で微笑んで、宮風を横伸させたまま手首を返すと、似姿の幻陣が一斉に白刃を玉砂利に差し込んで、きらびて砂めく破片が散り噴くとともに、あたかも大地が歌うかの様な、ゆらめく光の文字群が、空中へとかぎろい上り始める。
はまやは、涼風が下瞼をなでたかのように目を細めながら、警戒心の一端で光の文字面を読み取り始める。
(多次元文字!ゆりかとの秘儀!)
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