第12話 「僕と契約して、魔法少女とヤってよ。」

今夜は魔法少女たちは来ない。お陰で今夜の弁当は焼肉弁当だ。

毎日魚弁当(しかも魚なし)だから、なんだかうれしい。


部屋に戻ろうとすると、玄関のそばに、変な動物が倒れていた。

白くて、兎のような猫のような変な顔だ。 あまりかわいくない。


というか、無表情でうさんくさい。

これは、アルケゴスのときみたいに助けてはいけない、と直感的に思い、無視してそのまま部屋にはいろうとした。するとこいつは、すり抜けて部屋に入ろうとしてきた。


とんでもないやつだ。俺はそいつを蹴り上げ、外に追い出した。

そのままドアを閉めようとすると、そいつは俺の靴をドアにはさんで、閉めるのを妨害しやがった。


そいつは、突然しゃべった。

「中に入れてよ。話だけでも聞いてよ。」


強引なやつだな。

お前はN●Kの集金か。それとも洗剤を持った新聞の勧誘かよ。


「こんなうさんくさい奴、入れてたまるか。だいたいお前は何者だ?」


「僕の名前はハチべえ。まさかたちのマスコットさ。」

そいつは悪びれることなく言った。


そういえば、まさかたちにもマスコットがいるのか聞いたら、まさかもナミも苦い顔をしていたな。


このうさんくさい奴がマスコットなのか。


「お前、マスコットの割にはまさかとかナミさんとかからは嫌われてるみたいだな。何をしたんだよ。」俺は聞いてみる。


「それは見解の相違だね。僕はみんなを魔法少女にしてあげたんだよ。

感謝されてしかるべき存在さ。 あ、あと、もむらとは仲良しだよ。一緒に行動することも結構あったし。」


ああ、あのツンアワさんか。


「でも、もむらってあまり喋らないよな。喋るとあわあわしているし。」俺は指摘する。


「それは相手次第さ。もむらは僕に対しては普通に喋っているよ。ときどききついけどね。」


ああ、あのツンツンモードのときだな。


「まあいいや。とりあえず入れよ。」俺はそう言って、ハチべえを部屋に入れた。」


「で、そのマスコットがなんの用事だ?だいたい、週三日以外は魔法少女たちには来るなと言っているんだが。マスコットも同じだろう?」


俺はハチべえに言う。


ハチべえは悪びれることなく、こう答えた。

「まあ、僕の場合は、対魔法少女・侵略者/悪の組織連合の名誉会員でもあるからね。」


何だそれは。


「あ、何かっていうとね。魔法少女たちに敵対する悪の組織や侵略者たちの寄合さ。魔法少女を倒すことが目的の一つさ。魔法少女の敵は敵同士ででつるんでいるってわけさ。」」


何だかよくわからないが、要するに蝙蝠のように、どっち側にも付いたりしているってことか。


「まあいいや。それで、お前は俺になんの用があるんだ?」俺は尋ねた。


するとハチべえは、ちょっと向きなおしてポーズをとり、そして言った。


「僕と契約して、魔法少女を殺(や)ってよ、」



え?やっぱりこいつは悪の組織のメンバーだな。確定だ。俺は美似やナミさんを殺すなんてありえないから。


「嫌だね。」おれは答えた。

「だいたい、魔法少女はそれぞれ必殺技を持っているんだから、なんのとりえの無い人間が魔法少女に勝てないよ。」俺は言う。



するとハチべえは答える。

「だから、僕と契約するのさ。契約するとそれだけで魔力3倍になるんだよ。赤い彗星と読んであげてもいい。先着一名様でね。」


「いや、遠慮しておくよ。」俺は言った。


なんの恨みもない、それどころか友達といってもいい、美似を殺したりできるもんか。


「まあ、ちょっとリスキーだからね。じゃあ、次のお話をしようか。」


ハチべえはそういって立ち上がる。


とは言え直立歩行してうわけではないので、単純に香箱を組んでるようなものだ。


「じゃあ、次ね、」ハチべえが言う。


「僕と契約して、魔法少女とヤってよ。」

何か、ちょっと魅力的だな、と考えてしまった。

まさかは遠慮したいが、ナミさんとか美似なんかとは一度お手合わせ願いたい。それに当然、主人公のセーラーブームもいいな。セーラーブームはやってるらしいし…いや、いかんいかん。


「いや、無理だ。それに向こうのほうが強い。」

俺は一応断る。


「僕がついていたら、彼女たちのパワーは抑えられるよ。きみだって、まさかのパンツの臭いをかいだり、もむらの胸を揉んだりしたいんだろう?」


何だか、ピンポイントで言われているが、当たってるな。


「僕と契約したら、魔法少女とヤれるよ。」ハチべえは言う。


…魅力的だなあ。そして結論は決まっている。


「だが断る!」


「え~、何やせ我慢してるの?欲望は解放してあげようよ。ため込むと暴発するよ。。。クリピュアにバナナプッシュされちゃうけどいいのかい?」


また出たバナナプッシュ。どんな技なんだろう。まあ、自分にやられたくはないんだけどな。


「もういいよ。俺は連中に顔向けできないことはしたくない。帰れ。」


ハチべえは言う。

「わけがわからないよ。これは、魔法少女たちのためでもあるんだから。」


殺すことが?ヤることが?ありえないよな。


「わけのわからないことを言ってないで、帰ってくれ。お前、本当に正義の味方のマスコットなのか?」

俺は疑問に思って聞いた。


「うん、そうだよ。まさかやナミ、もむらを魔法少女にしてあげたのは僕さ。今度、みんなに聞いてごらんょ。一番僕と仲良しなのはもむらだけど、たぶん彼女は君とまともに話せないと思うんだよね…。」

ハチべえは言う。



「まあ、いいや。今夜は失礼するよ。次回はケーキでも出してほしいもんだね。」


あつかましいやつだ。ださねーよ。


俺はドアを開けて、ハチべえを出そうする。

「あ、きみの携帯に写真を送っておいたから、見てね。じゃあね!」


そういって奴は出ていった。しまった。蹴り飛ばすんだった。



俺は自分のスマホを見た。

俺がまさかの正面でパンツをガン見している写真があった。


…いったい、いつ撮ったんだ? いやそれより、こんな写真を見られたら信頼を失う。

美似やまさかに、冷たい目で見られるだろう。それで済めばいいが、もう来なくなってしまうかもしれない。それは寂しいな。


…ってことは俺はハチべえの言うとおりにしたほうがいいのか?それが魔法少女のためなら、仕方ないな~(棒)。


何となく正当化する理由ができたような気がする。 でもヤらないよ。たぶん。




翌週、美似とナミが来たので、

「この前、ハチべえと会ったよ。」と伝えた。


二人は嫌な顔をした。


「彼は一応、まさかやナミさんのマスコットなんだよね?」俺は確かめてみた。


「…そうよ。」ナミさんは言った。

「でもね。あいつは敵でもあるのよ。」


わけがわからないよ。


「敵なの?」俺は聞いてみた。


「細かいことは設定のネタばれがだから、言えない。でも、一つだけ。ハチべえは、私たち魔法少女連合のマスコット分科会のメンバーであると同時に、対魔法少女・侵略者/悪の組織連合の名誉会員でもあるの。」

ナミさんが言う。



なんか、すごい組織の名前が出てきたな。


「えっと、対魔法少女なんだっけ?」俺は聞いてみた。


「名前なんかどうでもいいでしょ。」美似が言う。


「覚えておくべきなのは、私たちが連合を組んでいるのと同じように、敵の連中も連合を作っているのよ。だから、戦いはずっと続くの。」


なんだか凄い話だな。

敵がいるから、魔法少女は存在して戦わなければならない。


敵を倒したらどうなるのかな?でも敵は死なないんだよね、多分。


もしかしたら、何かここに秘密があるのだろうか?まあ、俺のにはあまり関係ないけどな。


それよりは、ハチべえが言った、魔法少女とヤるのも魔法少女のため、というのは本当なんだろうか? そっちのほうが気になる。 だって、男の子だもん。



ーーー

ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。


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ちょっとなりふりかまわず書いてみました。




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