第2話カイロ?回路?海路リクナ(4)


 マヤコはヨウとリクナのいる学校に行きたかったが窓の前で両手を合わせ祈っていた。

「ここで行ったって絶対、足手まといになるだけ!」 

(ヨウ! リクナさん! がんばって!)

 怪獣は昨日の続きだと言わんばかりにヨウ目掛けて突進してきた。

 ヨウはスライディングして怪獣のまたに滑り込んで怪獣の尻尾を掴み背負い投げのように地面に叩きつけた。

 ひっくり返って動けない怪獣の喉元に拳を連続で叩きこんだ。

 怪獣はビクビクと動きを止めたが一時的なモノに過ぎない。

 怪獣の皮膚は硬く、ヨウの拳は血にまみれていた。

 ヨウはそれを気にもせず、耳に付けた小型通信機でリクナに連絡した。

「動きは止めた。後は時間を待つだけ」

「了解」 

 リクナの方でも怪獣の動きを確認し、一息ついたと思った。

「あと三十分……」

 陽の出のカウントダウンを告げるかのように学校の時計が刻一刻と時を刻んでいく。

「あと十分」

 ヨウもリクナも怪獣か一度も視線を外さなかった。

 そのとき、怪獣の身体がわずかに動いた。

 ヨウがまた喉元に拳を入れようとした瞬間、怪獣尻尾がヨウを叩きつけた。

「ヨウ!」 

 尻尾に挟まれながらヨウは叫んだ。

「リクナ! 時間は!」 

「あと五分!」

 怪獣の姿が徐々に薄くなってきた。

「これを逃すわけにはいかないんだよ!」

 ヨウは尻尾から這い出たが怪獣も同じく立ち上がっていた。

 怪獣に向かって走り出したがヨウは何の策もなかった。

(相打ち覚悟!) 

 リクナはポケットから急いで薬箱を取り出した。

「念のため持ってきておいて良かった……!」

 リクナは薬箱から薬を出し、覚悟を決めて飲んだ。

「ヨウ! 今いくよ!」

 大人の姿になったリクナはヨウに負けない脚力で宙を飛んだ。

「リクナ!?」

 そして、リクナは持っていたある物をバトンのようにヨウに渡した。

 細い筒のようなそれからビームが飛び出した。

 ヨウはすぐに把握すると、それを怪獣の脳天目掛け振り下ろした。

 怪獣は雄叫びを上げながら真っ二つになり消えることなく倒れた。

 完全に沈黙したのを確認するとヨウとリクナはバッタリと倒れた。

「あー疲れた」

 ヨウはまるで部活が終ったかのような言いぐさで言った。

「清掃部隊が来たっぽい」

 いつの間にか小さくなっていたリクナは清掃部隊の車の音を聞いて呟いた。

「さて、帰りますか」

「もっと休んでいかないのか?」

「マヤちゃんが待ってるから」

「こんなもの持ってるなら早く出せよ!」

「だって、まだ未完成なんだもん!」

 陽の光に照らされながらボロボロになったヨウとリクナを口喧嘩しながら帰ってくる姿を見たマヤコはその場で崩れて泣いた。

「マヤちゃん、ただいま」





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