38 高校最後の文化祭。
秋の終わりと、共に、色々な事が変わっていく。
2023年、11月4日、5日は、文化祭だ。
高校最後の文化祭。
美香に話しかけたかったが、どうにも、出来なかった。
高校最後の文化祭は、結局、美香をみているだけで、話かけることさえ出来なかった。
どこか、よそよそ、しさを感じていたし、変に緊張して、どうすることも出来なかった。
僕は、自分が美香と到底、釣り合うとは思えず、遠ざけているのかも知れない。
下手をすれば、僕が偉大な画家になって漸く、口がきけるようになるのかも知れなかった。
「相変わらず、シャイなんだね。」
文化祭の時、廊下でバッタり、会った、花織は、僕と美香の現状をみていった。
「まあね。」
僕は答えた。
「あんたねえ。美香ちゃんが、別の男に取られても、あたしは知らないからね。」
花織は言った。
「その時はその時さ。」
僕は答えた。
「ま、あたしは、何時までも、あなたを愛し続けているわ。たとえ一番になれなかったとしても。」
花織は言った。
「ごめん。」
僕は、謝った。
誤ったのかも知れない。
「いいよ。好きで想ってるだけだから。叶う事のない、片思いだよ。」
花織は、目を細め、僕をみた。
僕と、花織が廊下で、話していると、僕をみかけた、桧が、やって来た。
「よっ。二人で何話してんの。」
「ちょっとした密談だよ。」
花織は、言った。
「密談ねえ、にしても、3人揃うのって久しぶりねえ。」
桧は、交互に僕と花織をみて、言った。
「確かにね、せっかくだし、写真とろうよ。」
花織は、言った。
「いいわね。」
桧は、賛成した。
3人で写真を撮った。
最後の文化祭。
「いいのが、撮れたわね。」
花織は、スマホの保存された画像をみていった。
花織が持ってきた、自撮り棒とかいうので、撮ったらしい。
「いいわね。」
桧は花織の撮った画像をのぞき込んでいった。
「二人にも、送っておくよ。」
花織は、言った。
文化祭で、美術部は、絵を出す。
美術部の絵をみにいった。
もちろん、僕の描いた絵も、出してある、小さな個展みたいな感じだ。
体育館が、展示場になっている。
展示場には、吉川さんがいた。
吉川さんは、僕をみつけると、手を振った。
「お、真七瀬くん、奇遇だね。」
「だね。」
僕は答えた。
「せっかく、だし、写真撮らない。」
吉川さんは、言った。
展示されている、絵を背景に、写真を撮った。
「いいのが、撮れたよ、ありがとう。一生の思い出にするよ。」
吉川さんは、ニッコりと笑って言った。
二日目の文化祭、最終日。
校舎裏で、黄昏ていた。
「何してんの、こんなとこで。」
桃花
が、来た。
桃花とは、何やかんや、言って、一年から三年まで、ずっと同じクラスで、妙な縁がある。
「ちょっと、風に当たってんだ。」
僕は答えた。
「あら、そう、かわいいところがあるのね。」
桃花は言った。
「ははは。」
僕は、笑った。
「一緒に写真撮らない。そういう気分なの。」
桃花は、提案した。
桃花と写真を撮った。
「ありがとう。男の子と二人で、写真撮ったのはじめてだよ。」
桃花は言った。
「ちょっと、あんた達、何してんのよ。」
星川さんが、来た。
腕組をして、僕の前に突っ立った。
変装している。
「どうして、こんなところに来たの。」
僕はきいた。
「あんたを見かけて、付けて来たのよ。」
星川さんは、顔を紅くしていった。
「あ、ごめん。国民的スターも大変だね。」
僕は言った。
「まあねえ。あたしとも、写真撮りなさいよ。」
星川さんは、鞄からスマホを取り出した。
星川さんと、写真を撮った。
高校最後の文化祭は、こんな感じで、終わった。
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