39 共通テスト受けた。

 受験というのは、つらいし、人生をつぶす人もいる。

 

 厳しい競争の世界だ。

 

 12月にも、なってくると、受験生はよりいっそう、ピリピリとし出してきて、話しかけづらい。

 

 

  

 2023年、12月25日、月曜日。




 終業式だ。

 

 

 

 二学期が終わり、冬休みがはじまった。

 

 


 クリスマスも、イブも、家で勉強し、予備校で絵を描き、師匠の元で、絵を描いた。

 

 

 

 冬休み中、遊ぶことは一切なかった。

 

 

 

 ずっと、勉強し続けた。

 

 

 

 受験生というのは、だいたいが、そんなものだと、思う。

 

 

 

 年越しの、12月31日、大晦日には、神社に初詣に行った。

  

 


 除夜の鐘が鳴り、年が明けた。 



 

 一人、お祈りをした。


 

 

 勿論、祈ったところで、変わりはしない、自分が、するかどうか、というだけの事だ。

 

 

 

 雪が降っていた。

 

 

 

 傘をさして、とぼとぼ歩き、家に帰った。

 

 

 

 部屋に籠り、勉強を再開した。

 

 

 

 2024年、1月1日になってしまったのだ。

 

 

 

 去年はいろいろ、あった。

  


 

 楽しい事も、悲しい事も、あった。

 

  

 

 寂しさと焦燥感を覚え、虚無を感じながら、ひたすら、に共通テストに向けて過去問と、予想問題を解いていた。

 

 

 

 共通テストは、1月14日、15日だ。

 

 

 

 あと、二週間しかないのである。

 

 

  

 2024年、1月10日。

  

 

 

 冬休みが終わり、始業式だった。

 

 

 

 三年生は、受験モードといった感じで、近づくのも憚られるようなオーラが出ていた。

 


 

 面倒だな。

 

 

 

 別に、受験で人生が決まるってわけでもないのに。

 

 

 

 気が張り詰めている日が続いた。

 

 

 

 2024年、1月14日、日曜日。 

 

 


 共通テスト当日。

 

 

 

 芸術系統に進む人は、だいたいが、文系に進むが、僕は理系に進んだ。

 


 

 選択した科目は、日本史、政治経済、国語、英語と、数学ⅠA、ⅡB、物理、化学だ。

 

 

 

 今日の試験は9時半で、試験会場が開くのが、8時半なので、会場に30分前の8時に着くように準備をして、家を出た。

 

 

 

 母が、会場まで、送ってくれる。

 

 

 

 「いよいよ、今日ね。」

 車の中で、母は言った。

 

 

 

 「うん。」

 僕は、返事した。

 

 


 「実力を出し切って、受かるといいわね、でも、無理しないでね、受からなくても、人生受験だけが全部じゃないわよ。」

 母は、僕の緊張をほぐそうと、した。

 

 

 

 「ありがとう。」

 僕は、言った。




 試験会場に着いた。

 

 


 「行ってくるよ、母さん。」

 僕は、車から降りた。

 

 

 

 「行ってらっしゃい。」

 母さんは、僕の背中を叩いた。



  

 試験会場に入ると、もうすでに、受験生たちが集まっていた。

 

 

 

 単語帳を見直したり、プリントを見返したり、教科書を読んだり、参考書を開いたりしている人や、友達と話している人、ボーとしている人、いろんな人がいる。




「あ、真七瀬くん。」

 雨ノ降桃花は、僕を見つけると手を振った。

  

 

 

 「おはよう。」

 僕は、挨拶した。

 

 

 

 「うん。おはよう。」

 雨ノ降さんは、挨拶を返した。

  

 

 

 雨ノ降さんも、理系なのだ。

 

 

 

 桧は文系で、もちろん、花織は理系だ。

  

 

 

 星川さんは、大学には行かないらしい、高校を出て、芸能界でやっていくらしい。

 

 

  

 吉川さんは文系だ。

 

 

 

 全員、志望している、進路が叶えばいいなあ、と思った。

 


 

 「真七瀬。おはよう。」

 桧は、僕をみつけると、声をかけた。

 

 


 「おはよう。」

 僕は言った。

 

 

 

 「共通テストなんて、私には簡単すぎるわ。いつも過去問は満点だし、予想問題も、楽勝に満点三桁よ。」

 桧は、くだらない試験だといった様子で、悪態をついた。

 

 

 

 桧から、してみれば、試験など、無駄なものに過ぎないのであろう。 

 

 

 

 「確かにね。私も、98点以下は取った事ないわ。」

 どこからともなく、花織が表れて、会話に、入って来た。

 

 

 

 「おはよう。花織。」

 僕は、言った。

 

 

 

 「うん。おはよう、真七瀬。」

 花織は、返した。

 

 

 

 天才、一組の二人からすれば、テストなど、簡単な遊びに過ぎないのだ。




 5人で話込んでいると、背後から吉川さんが、来た。

 

 

 

 「二人は、すごいなあ。私は、ずっと勉強漬けだったよ。ま、私立美大で、そこまで、偏差値も高くないし、二次試験の、絵と論文だけでも、十分合格できるところだから、共テは、保険みたいなものだけどね。」

 吉川さんは、二人の会話をきいて、言った。

 

 


 時刻が、9時を過ぎると、各々、試験を受ける教室に入っていった。

 

 

 

 9時半になると、いよいよ、2日にわたる試験が開始した。

 

 

 

 試験は、難しくも簡単でもなかった、いいくらいの難易度だと思った。

 

 

 

 試験が終わると、母が、試験会場まで、迎えに来る。

 



 迎えが来るまでの間は、会場の外で、友達と喋ったり、先生と会話している人が殆どだ。

 

 

 

 僕は、一人、試験後の余韻を感じていた。




 迎えが来て、車に乗り込む。

 

 


 「どうだった。」

 母は、きいた。

 

 

 

 「うん。よかったよ。8割は取れたかな。」

 僕は言った。

 

 

 

 「そう。よかったわね。」

 母は、胸を撫で下ろした。

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