21 花織は、シュミレートされた、情報複合体だった。

 仮に、今生きている世界が、仮想現実で、シュミュレートされたシステムに過ぎないと、言われれば、信じるだろうか。 

 

 11月6日 土曜日

 

 瞳ヶ原高校は文化祭だ。

 

 文化祭は二日間ある。

 

 

 

 一日目の文化祭が終わり、道具を片付けに体育館倉庫に向かっているいる最中、竹山 花織に遭遇した。

 

 

 

 「あ、真七瀬いいところに来たわね。」

 花織は、僕をみつけると、服の胸の辺りを掴んで引っ張って、誰もいない空き教室の中に連れて行き、鍵を閉めた。

 

 

 

 「二人だけの空き教室って、なんだか、エッチだね。」

 花織は言った。

 

 

  

 前にもこんな事あったなと思った。

 

 

 

 「で、どうしたんだ。」

 僕はきいた。

 

 

 

 「押し倒したりしたくないの。ほら、好きにしていいよ。」

 花織は、目をつぶった。

 

 

 

 「いいよ。何か話があるんだろ。」

 僕は言った。

 

  

 

 「ちぇ、つれないの。ま、そうなんだけれど―。」

 花織は口ごもった。

 

 

 

 「真七瀬って、私が、実は。小学校六年の時に死んでいて、今ここにいる私は、情報シュミュレーションによって復活した私のデータだってきいたら信じる。」

 花織は、謎の難しい質問をしてきた。

 

 

  

 「いっている意味がよくわからないな。」

 僕は困惑した様子で言った。 


 

 

 「つまり、既に一度死んでいて、コンピューターの情報テクノロジーによって、生き返った存在だって事をいってんの。」 

 花織は、僕の頭の悪さにいら立ちながら言った。

 

 

 

 「信じられないね。証拠をみせてもらわないと、普通の人にしかみえない。」

 僕は答えた。

 

 

 

 「そう。じゃ、これをみてもそれがいえる。」

 

 

 

 ビビビビビ、ジジジジジ、

 

 

 

 花織の身体にノイズが走った。 


  

 

 「この世界が仮にシュミュレートされた、電子世界の延長線に過ぎないとしたらどうする。私は、小学六年の時、車にはねられ、死ぬ予定だった。」

 花織は、淡々と語った。

 

 

 

 「死ぬ予定だったって―。」

 僕は、ききかえした。

 

 

 

 「私の父は天才情報工学者だ。私を生き返らせようとして、私の記憶データーをシミュレーションして、私を生き返らせた。」

 花織は言った。

 

 

 

 「え。まさか―。」

 僕は絶句した。

 

  


 「誰にも言っちゃだめよ、知っているのは父さんと、私だけだ。」

 花織は、僕の口を右手の人差し指で、抑えて言った。

 

 


 「いわないよ。」

 僕は言った。

 

 

 

 「この身体は、不思議でね、現実世界と電子世界を行き来できるんだ。」

 花織は、急にその場から消えた。 


 

 

 「こういう風にね。」

 僕のスマホから声がきこえる。 

 

 

 

 開いてみると、花織が僕のスマホの中にいた。

 

 

 

 「凄い。」

 驚いた。 


 

 

 「世界でも電子世界と現実世界を行き来できるのは私だけだよ。きっとね。」

 花織は、言った、

 

 

 

 「そりゃ、世界中のコンピュータを、乗っとるの事も可能なのでは。」

 僕は言った。 

 


 

 「可能だね。ただ、私にとっては途方もない時間がかかるけれど。」 

 花織は、残念そうに言った。

  

 

 

 「電子世界じゃ、一秒に約30万キロのスピードで移動する、常に30万キロを移動し続けると体感的には、無限の時間を感じた気になる。途方もなく長い時間をな。」

 花織は、随分長い時間を生きた長老のように言った。

 

 

 

 「へえ。そりゃ大変なんだね。」

 僕は言った。

 

 

 

 「ま、君のパソコンとスマホに入っている、君の恥ずかしい、検索履歴だとか、画像とか、文書だとか、データは、全部、確認しているけれどね。」 

 花織は、ニヤニヤ笑って言った。

  

 

 

 「やめてくれ。」

 僕は、恥ずかしくなって、赤面した。

 

 

 

 思い当たる節がある。


 誰しも、みられたくないデータの一つや二つあるだろう。

 

 花織にかかれば、プライバシーもへったくれもないのである。




 「でもよ。花織。おまえどうやって死ねるんだ。死に方はあるのか。」

 僕はきいた。

 

 

  

 シュミュレーションされた人間だなんて、ほど不死身じゃないのだろうか。

  

 

 

 「ああ、死に方はあるよ。ほぼ不死身だけれど、むしろ私の真の命は別にある。私を作り出しているシュミュレータ装置が壊されればお終いさ。装置の場所は誰にも教えない父さんと私の極秘事項だ。」

 花織は、言った。

 

 

 

 「なるほど。」

 


 

 むしろ、コワいのではないだろうか。

 

 急に装置が壊れれば、花織は死んでしまうのである。

 

 ちょうど、発電所が急に爆破したり、パソコンが壊れたりるように、花織も突然、いなくなってしまうのかもしれなかった。

 

 

 

 「なんだか、心配だな。」

 僕は、花織を心配した。

 

 

 

 「大丈夫よ。むしろ人間の命よりずっと、安全だわ。直ぐにシュミュレーター装置の異常は感知できるし、自分で修理する事も出来る。光の速さで移動してね。」

 花織は、胸を張って言った。

 

 

 

 確かに、人間の命ほど脆いものもない。

 

 花織が交通事故で死んだように、いつどこで人が死ぬのかなんてわからないことだ。 


 

  

 「どうして、僕に秘密を、打ち明けてくれたの。」

 僕は、きいた。

 

 

 

 「君が好きだからだよ。自分の命以上に好きだから。」

 花織は言った。

 

 

 

 「ごめん。」

 僕は、謝った。

  


 

 「君と結婚して、家庭を築きたい。ねえ。気が変わったら、いつでも、私と結ばれてもいいんだよ。」

 花織は、僕の頬を両手で包んで、顔を近づけた。

 

 

 

 近い。

 

 

 

 抵抗できない。

 

 

 

 「ねえ。我慢できない、キスするよ。」

 花織は、甘い吐息を漏らしつつ、僕に、ぽってりとした潤いのある唇を近づけた。

 

 

 

 チュ。

 

 

 

 花織の唇が僕の唇に触れた。 


 

 

 「あぁ。美味しい。」

 花織は、言った。

 

 

 

 「舌、入れるね。」

 花織は、僕の口の中に舌を入れた。 

 

 


 激しく、口の中で花織の舌が暴れる。

 

 

 

 ベロベロチュチュ。

 

 ベロチュっチュうううう。

  


 

 美味しいよお。 

 

 

 

 花織の唾液、舌、唇、美味しいよお。ええええん。

 

 

 

 「どうしたの、泣いちゃって。」 

 花織は、僕の頬から流れる涙を舌でなめた。 

 

 


 「うううううん。美味しすぎて、気持よすぎてええ。」 

 

 

 

 「ふうん。私のベロチュゥされて、気持よすぎて、泣いちゃったんだあ。かわいい。」

 花織は、ご満悦の様子で、僕を押し倒した。

 

 

 

 ポロシャツを脱がされ、乳首を攻められた。

 

 

 

 「ほらあ、乳首、立ってるよ。」

 花織は、僕の乳首を舐めて、口の中に指を突っ込んだ。

 

 

 

 「美味しい、私の指。」

 

 

 

 ヤバい。

 

 イきそうだ。

 

 気持ちいィよお。

 

 花織ィ。

 

 

 

 ジュポ、ジュポ、チュるる

 

 ジュポ、ちゅるる

 

 レロレロポッポ

 

 

 

 僕は昇天し、白目を向いた。

 

 

 

 「あ、イッちゃったねえ。えらいねえ。よしよしィ。いい子だねえ。ちゃんとイけた

ねえ。」

 花織さんは僕の顔を素足で押し付けた。

 

 

 

 いい匂い。 

 

 

 

 花織さんの足の匂い

 

 


 サイコーの女だ。

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