20 桧のレイス化について、師匠に相談に行く、西洋ではよくあることらしい。

 死ぬことができないというのは恐ろしい事だ。



 ゾンビ、スケルトン、キョンシー、レイス、ファントム、スケルトン、デュラハン、バンシー、ヴァンパイア―。

 不老不死について調べているにつれてわかった存在だ。

 

 人魚の肉、仙薬、エリクサー、アムリタを呑んだものも、不老不死になる。

 

 だが、不老不死から解放される方法はいくら調べても出てこなかった。

 

 

 

 10月12日の学校終わりの放課後、午後4時半ごろ。

 

 

 

 僕は、師匠に相談してみる事にした。




 桧も連れていった方がいいと考え、学校終わり、校門で待ち合わせをした。

 

 


 「その神谷って人は信用のできる人なんでしょうねえ。なんだか不安だわ。」

 桧は言った。

 

 

 

 「大丈夫だよ。僕の知る限り、神谷さんは、常識とモラルはあるし、大抵の事は知っている。」

 僕は答えた。




 桧を連れて、山の麓へ向かう。




 「師匠。相談があって来ました。」 

 

 街外れの山の麓の小屋に師匠である、神谷 真は住んでいる。

 

 

 

 「なんだ。絵の相談か。」

 師匠は、小屋の外でキャンバスを前に、筆を走らせていた。

 

 

 

 「僕の友達の女の子が、レイスになっちゃったんです。」

 僕は、言った。 

 


  

 「なんだてええ。レイスだとおお。そりゃ、災難だね。」

 師匠は、かえした。



 師匠は、レイスの事を知っているようであった。

 

 

 

 「その女の子ってのはどういった症状なんだい。」

 師匠は、たずねた。

 

 

 

 「銃弾で撃たれても黒い煙が出て、すぐに修復されます不死状態で、幽体離脱に失敗して、生霊になったらしいです。」

 僕は、昨日の放課後、屋上で、桧とあった出来事を思い出して淡々と症状

告げた。

 

 

 

 「そりゃ、凄いね。幽体離脱の儀式に失敗するにしても、レイスになれるようなのは、相当頭がいいか、霊感が強いといえる。」

 師匠は言った。

 

 


 「治りますかね。」

 僕はきいた。

 

 


 「本人次第だね。いわば、魂と肉体の狭間にある。現世にとどまろうとする意識が強ければやがて、魂はしっかりと肉体と同化するであろうが、魂が今の肉体を嫌い、あの世だとか、別の世界に行こうとすれば、やがて、魂は肉体から離れレイスですらなくなってしまうだろう。」

 師匠は答えた。

 

 

 

 「どうすればいいでしょう。」

 僕は、困った。

 

 

 

 「選択は三つだね。肉体に戻るか、肉体を抜け出すか、レイスの儘生きてくかだ。」    

 師匠は、人差し指、中指、薬指を立てて言った。


 

 

 「君の言っている女の子ってのは彼女の事かい。ずいぶんかわいい子じゃないか。彼女かい。」

 師匠は言った。




 「どうも、はじめまして。奥村 桧です。」

 桧は深々とお辞儀をした。

 

 


 「みるかぎり、光への耐性はあるようだね。レイスってのは光に弱いことがおおい。だから、日が射す時は、フードを被るか、日傘を射すか、何か対策をしてないと、不死身とはいえ、衰弱する。」

 師匠は、桧をみて言った。

 

 


 「詳しいですね。呪術師か、魔術師か、何かですか。」

 桧はたずねた。

 

 

 

 「僕は、ただの画家さ。呪術とか魔術とか神話について、研究していた時もあった、というだけだ。レイスはスコットランドの方じゃ珍しくもない。レイスになった事に気づかない儘、元に戻る事例が多いが、君は敏いから、自分の状態がおかしい事にいち早く気づいたみたいだねえ。」

 師匠は答えた。

 

 

 

 「へえ。」

 桧は答えた。

 

 

 

 「何か、つらい事でもあったのかな。レイスになるような奴の中には、死者に会いたかったというやつが多い。」

 師匠は言った。

 

 

 「はい。おばあちゃんが死んでしまって。少し、やんでいました。」 

 桧は言った。

 

 

 

 「なるほどねえ。墓参りに行くとか、線香を毎日上げるとかして、死を受け入れていくしかないだろうねえ。」

 師匠は、気の毒そうに言った。

 

 


 師匠のいる山の麓から離れ、桧と街へ帰っていた。

 

 

 

 「ねえ。一緒に、おばあちゃんとおじいちゃんの墓に来てよ。」

 桧は、しんみりとした様子で言った。 


 

 

 「いいよ。」

 僕は返事をした。

 


 

 桧の父方のおばあちゃんとおじいちゃんの、埋められている墓に行った。

 

 

 

 線香を建てて、冥福を祈った。

 

 

 

 「直ぐには、元の身体に戻るとは思えない。少しづつ、戻るといいな。」

 桧は言った。 

 

 

 

 「そうだね。」

 僕は、かえした。

 

 

 

 「真七瀬、今日はありがとう。」 

 



 真七瀬は、僕の首筋を舐めた。

 

 

 

 ぺろぺろ。

 

 


 「ご褒美だよ。」

 桧は、甘く、とろけるような舌づかいで僕の首筋をぺろぺろ舐めた。

 

 

 

 ジュプ、ジュプ、ジュプ、ベロベロ。

 

 

 

 「ああっ。」

 思わず声を漏らした。

 

 

 

 「うん。うん。気持ちいんだねえ。我慢しなくていいんだよぉ。ほらぁ。」

 桧は、僕の乳首を摘まんだ。

 

 

 

 「だめ。そこはっ。」

 僕は、乳首と首筋を攻められて、昇天しそうになった。

 

 

 

 「イッちゃっていいんだよぉ。女の子に首筋舐められて、乳首攻められて、情けなく、イッちゃっていいんだよぉ。ほらぁ。ジュプジュプジュプジュプ、イッちゃうねぇ。」

 桧は、僕の耳たぶをカプリと食べて、舐め舐めしてきた。

 

 

 

 吐息が耳の中にまで響いて、死んでしまいそうな程に、気持いい。

 

 

 

 僕は、白目を向いて、崩れ落ちた。 


 

 

 「あぁ、イッちゃったのぉ。」

 桧は僕を見下ろして言った。

 

 


 桧って女はサイコーだぜ。

 

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