18 宇宙からやってきた、雨ノ降さんの、お父さんを追い返す。

 ジジジジジジジジジジジジジジジジ。

 


 

 奇妙な音が脳に流れてこんでくるのがわかった。

 

 


 煙が辺りを覆い、空は光輝いた。

 

 

 

 「ああ、来たようだ。」

 雨ノ降さんは言った。

 

 

 

 「まさか、あれは―。」

 僕は目を疑った。

  

 

 

 UFO、空飛ぶ巨大円盤だ。

 


 

 降りてくる。

 

 


 巨大な直径100m程の巨大円盤が、目の前に降り立った。

  

 

 

 プシュウウウウゥ

 

 

 

 円盤の出入口の扉が開いた。

 

 

 

 中から、奇妙な虹色に光り輝くサングラスをつけた男が出てきた。

 

 

 

 紅く輝く石のはめ込まれた杖をついている。

 

 

 

 身長140Cm程の小さな、人の姿をしている。

 

 

 

 「私、行かなくちゃ。地球が大変な事になっちゃう。」

 雨ノ降さんは、覚悟を決めた様子で言った。 


 

 

 「どこへ行くの。」

 僕はきいた。

 


 

 「元いた星へよ。もう地球へは帰ってこられないわ。」

 雨ノ降さんは切なそうに、寂しそうに言った。

 


 

 「どうして。」

 

 

 

 「もともと、私は地球を滅ぼして、侵略する為に送られたテロポン星人の兵器なのよ。」

 テロポン星人。

 

 雨ノ降さんの話によると、地球から350万光年離れたテロポン星からワープしてやってきたのだという。

 

 「私は、地球で過ごして、地球が好きになったわ。人間は悪い人もいればいい人もいた。私は、いち、高校生でしかなくて、学校は楽しかった。将来は薬剤師にでもなって、結婚して、子供を産んで、お母さんになって、死んでいくのだと錯覚してしまうほどに、人間でありたいと思ってしまった。」

 雨ノ降さんは、切なく、悲しい涙を流した。

 

 

 

 どうすればいいんだ。

 

 

  

 地球の文明を遥かに上回る宇宙人相手じゃ、どうにも出来ない。

 

 


 「娘はドコじゃ。儂の地球へ、旅に出ておる娘は。今年で15じゃろ。テロポン星じゃあ成人じゃ、帰ってこい。まったく、地球みたいなちっぽけな惑星すら、まともに滅ぼせんとは、貧弱なやつめ。」

 身長120Cmほどの小さな男だ。

 

 頭に角が生えている。

 

 尻尾も生えている。

 

 

 

 「あれが、私のお父さんよ。テロポン星の王様なのよ。」

 雨ノ降さんは、茂に隠れて言った。

 

 

 

 「どうするんだ。どうにか、追い返せないのか。」

 僕は言った。

 

 

 

 「無理よ、お父さんに逆らった奴は、みんな奈落行きよ。」 

 雨ノ降さんはしょんぼりとして言った。

 

 


 「お、そんなところに隠れておったのか。」

 

 


 ついにみつかってしまった。

 

 

 

 「お久しぶりです。お父様。」

 雨ノ降さんは、頭を下げた。

 

 


 「うむ。地球は滅ぼさんのか。」

 雨ノ降さんのお父さんは言った。

 

 


 「いいんです。地球は私のお気に入りですから。」

 

 

 

 「お気に入りねえ。こんな星がか。変わった娘だ。じゃ、帰るぞ。」

 

 


 「はい。」

 

 

 雨ノ降さんがいなくなっちゃう。

 

 

 

 もう二度と会えなくなっちゃう、そんな気がした。

 

 

 

 「待てええええ。」

 

 

 

 僕は叫んだ。

 

 

 

 「なんじゃ、あの小僧は。」

 雨ノ降さんの父さんは言った。

 

 


 「あ、真七瀬くん、来ちゃだめ。」

 雨ノ降さんは叫んだ。

 

 

 

 「うるさい小僧じゃな。死ね。」

 雨ノ降さんのお父さんは、鉄砲のような機械を胸から取り出して僕目掛けて撃った。

 

 

 ドガーン。



 超高温、光速の稲妻が走った。

 

 

 

 まるで核兵器のような威力だ。

 

 

 

 「うわああああああ。」

 


 

 僕死んだのか。

 

 

 

 「あれ、でも、なんだか、気持ちいいゾ。」

 

 

 

 痛いはずなのに、気持ちいいいいいい。

 

 

 

 普通だったら死ぬ程の痛みなのに、うわあああああん。

 

 


 「なんじゃ、こやつ、不死身か。気味が悪い。」

 雨ノ降さんのお父さんは驚いた様子で僕を蹴った。

 

 


 ぶへえ。

 

 ぶへへ、ぶひいい。

 

 

 

 「ひい。お化けじゃ。怪物じゃ、地球は恐ろしいところじゃ、手を出してはならん。」

 雨ノ降さんのお父さんは、酷く怯えた様子で腰をぬかしていた。

 

 


 雨ノ降さんのお父さんはとっとと、宇宙船に戻ると、雨ノ降さんの事をおいて帰って行ってしまった。

 

 

 

 「ありゃりゃあ。見込んだ通りだったわ。真七瀬くん、やっぱりあなたを選んで正解だった。父さんを追い返すだなんてさすがね。ますます好きになっちゃうわ。」

 

 

 

 なんだか、よくわからないけれど、雨ノ降さんは、ぐちゃぐちゃになった僕を抱きしめて、たわわなおっぱいで、僕の顔を挟みこんだ。




 いい匂い。

 

 

 

 女のいい匂いがする。

 

 


 おっぱいで顔を挟み終えると、次は、顔をお尻で踏みつけてきました。

 

 

 

 ああ、いい感触だ、いい匂いだ。

 

 

 

 ふみ、ふみ、ふみ、ふみ。 


 

 

 どすーん。

 

 

 

 プリ、プリ、ぺチ、ペチ。

 

 

 

 「どう、気持ちいィ。私を助けてくれたお礼だよぉ。」

 雨ノ降さんは、甘い声で、僕の耳元に囁いた。

 

 

 

 あ、ヤバい、逝きそう。

 

 


 昇天しちゃいそう。

 


 

 「あ、いく。」

 

 

 

 「いっていいよぉ。」

 


 

 気絶した。

 

 

 

 朝目を覚ますと、ベッドの上で寝ていた。

 

 

 

 「どこだここ。」

 

 

 

 「あ、起きたあ。あたしの家だよぉ。朝ご飯出来てるよぉ。」

 雨ノ降さんだ。

 


 

 雨ノ降さんの方をみると、裸エプロンで、台所にいた。

 


 

 「なぜに、裸エプロン。」

 僕はきいた。

 


 

 「こっちの方が、真七瀬くん、喜ぶかなあって。」

 雨ノ降さんは照れた様子で、笑った。

 

 あの日以来、雨ノ降さんは僕に更にべったりとくっついてくるようになった。

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