ヒロインたちの抱える、心の闇、不思議な現象、宇宙人、僕は力になりたい。

14 紫髪ツインテール、女子高生クール美少女、国民的スターの抱える闇、親からの虐待から、一緒に逃げよう!!!、と僕は手を取った。

 周りが思っている事が、真実とは限らない。

 

 僕は、星川ほしかわあかねの事を深くは知らなかった。

 

 彼女が抱えている、闇の側面を知りうる事は出来なかった。

 

 2021年8月15日、僕は、ネット上がりの国民芸能人の持つ、心の闇に触れる事になった。

 

 

 

 ゴールデンウィークの4月29日から、三か月ほどが過ぎて、夏休みになった。

 


 

 学校でも、僕と僕の愛人たちは、いちゃいちゃするようになった。

 

 

 

 いつしか、僕の悪評はさらに広がる事になって、女の子をいつも連れ歩いている、サイテーのクズ男だとか、浮気症のごみクズだとか、変態クズ野郎だとか、もう散々な言われようだった。

 

 

 

 入学当初に、星川 茜から嫌われて、学校中の目の敵にされて、さらに悪評が広がったので、僕は、学校じゃ、完全に、忌み嫌われる存在になった。

 

 


 されど、僕が、何不自由なく、学校生活を送れたのは、石竹 武が、守っていてくれたからであった。

 

 

 

 僕の中学からの友人で、僕が、攻撃されると、腕っぷしで、黙らせるだけの力がある、格闘家だ。

 

 

 

 めっちゃ強くて、人気者だ。




 一学期が終わり、夏休みになった。




 夏休みは、勉強したり、絵を描いたり、愛人たちと遊び惚けたりして、楽しんでいた。

 

 

 

 8月15日、隣町に画材店に画材の買い出しに出かけていた。

 

 

 

 僕は、ショッピングセンターで、ふと、星川 茜を見つけた。

 

 

 

 星川さんは、最初、僕には気づかなかった。

 

 

 

 マスクをして顔を隠している、有名人なだけに、髪型もいつもとは違って、ウィッグをつけて、ショートカットに見えるが、僕の目はごまかせない。

 

 

 

 星川さんは両親と買い物に来ている様子であった。 

 

 

 

 星川さんは、浮かない表情をしていた。

 

 

 

 星川さんは、どこか、つらそうに見えた、怒っているようにもみえた。

 

 

 

 顔は笑っているのだけれど、どこかよそよそしくて、嘘っぽい。

 

 

 

 星川さんが一人になったのをみて、僕は思い切って話しかけた。

 

 

 

 「星川さん、この前はごめんね。」

 僕はとりあえず、入学時の事を謝った。

 

 

 

 学校じゃあ、喋りかける事さえできないほどの人気もので、今日しか話す機会はないと思った。

 

 

 

 「誰だと思えば、キモい変態クソ野郎か。話かけないでくれる。不快なんだけれど。」 

 星川さんは不機嫌そうに言った。

 

 

 

 よくみると、星川さんの、顔が腫れているようにみえた。

 

 

 

 ほっぺたが赤い、誰かからぶたれたみたいに赤い。

 

 

  

 「星川さん、大丈夫。顔痛そう。」

 僕は、言った。 

 


 

 「余計な心配しないでよね。気持ち悪いわ。」

 星川さんは、泣きそうな声で言った。

 

 

 

 どうして、こんなに声が震えているんだろう。

 

 

  

 わからない。 

 

 

 

 「ちょっ。ママとパパがこっち来る。とっとと、私から離れて。何を言われるか想像しただけで、コワいの。」

 星川さんは震えていた。

 

 

 

 ガクガクと震えていた。

 

 普段の彼女からは想像もできないくらいに怯えていた。

 

 

 

 もしかして、親に虐待されているのか。

 

 わからない、証拠がないし、本当の事はわからない。

 

 

  

 取り乱していたので、僕は、一端その場から離れた。

 

 

 

 遠目からには、仲のいい普通の家族にしか見えない。

 

 

 

 だから、こそ、恐ろしかった。

 

 

 

 僕は、星川さんの事がもっと知りたくなった。

 

 

 

 「星川さんだ。」

 僕は、勇気を出して、星川さんに話しかけた。

 

 

 

 星川さんの両親が、僕を睨みつけているのがわかった。

 

 


 物凄い圧を感じた。

 

 

 

 「星川さん、話したい事があるんだ。」

 僕は星川さんの手を取って、走った。

 

 

 

 「ちょっとっ、何すんのよ、あんたっ。」

 星川さんは困惑した様子で、動揺していた。

 

 


 「離してよ。」

 星川さんは僕の手を振りほどこうとした。

 

 


 「逃げよう。」

 僕は、星川さんの手を引っ張って、店の外に出た。

 

 

 

 「ちょっと、話さない。」

 僕は言った。

 

 

 

 「どうしたらいいの私。親に怒られちゃうよ。」

 星川さんは、いまにも泣き出しそうな様子で、頭を抱えた。

 

 

 

 「親に虐待されてるの。」

 僕はきいた。

 

 

 

 星川さんは観念した様子で言った。

 「そうよ。誰かにいったらぶっ殺すから。」

 

 

 

 「誰にも言わないよ。」

 僕は、言った。

 

 

 

 僕は人が、厭がっているのも、苦しいのも、悲しいのも嫌いだ。

 

 他人に情報を売るような事はしない。

 

 

 

 「今日は、少し、遊んで帰らない。」

 僕は、言った。

 

 

 

 「親に殺されちゃうよ。それに、君とデートだなんて死んでも厭だ。」

 星川さんは、吐き捨てるように言った。

 

 

 

 本当に厭そうだったので、苦しかった。

 

 

 

 「なんか、ごめん。」

 僕は、謝った。

 

 

 

 「思ってたより、普通の奴なんだね。もっと変人かと思ってたけれど、喋ってみれば、普通だ。」

 星川さんは、驚いた様子で、言った。 

 


 

 変人か。

 

 確かに、そう思われてもおかしくない事をしてきた。

 

 

 「まあね。僕はこう見えても、全然すごくない、普通な奴なんだ。」

 僕は、胸を張っていった。

 

 

 

 「誇れることかしら。」

 星川さんは言った。




 「誇れる事さ。普通であることが、何よりもいい事なのだからね。」

 僕は言った。

 

 

 

 「ま、普通であることは難しいからね。どこか、普通でなくなってしまう。」

 星川さんは、暗い表情になって言った。

 

 

 

 星川さんを縛り付けているのは、両親なのだろう。

 

 彼女は親に縛り付けられ身動きが取れなくないる、いつ爆発してもおかしくないくらいに、もう来ている。

 

 僕にだってわかる、異常なほどの星川さんの警戒心の強さと、すさまじさ。

 

 


 僕は星川さんを、本当に心から笑わせたいと思った。

 

 星川さんは、画面の中の人。

 

 画面の中でいつも笑って、元気を与えてくれる、スター。

 

 

 

 「僕とか、世間一般からすれば、星川さんは、大スターだ。いつから、おかしくなったの。」

 僕は、きいた。

 

 

 

 「私にとって、画面の中で活躍して、有名になる事は別におかしい事ではなくて、普通だ、むしろ望んでいた事だ。おかしくなったのは、ネットで私が、稼げると両親が知ってしまった時からだ。」

 星川さんは、恐怖の色のあらわにして熱の籠った声で言った。

  

 


 「ネットでお金が稼げたからおかしくなったのか。」

 僕はきいた。 


 

 

 「そうよ。両親は、私を使って、金を稼ごうと利用しはじめた。あの頃から、両親は金に取りつかれてしまった。名誉に取りつかれてしまった。」

 星川さんは、身体を震わせた。

 

 

 

 親に金稼ぎとして、利用されている、子供は多い。

 

 

 

 インターネットで簡単に動画や写真が投稿できるようになった現代、子供というコンテンツは、ある程度の人気があった。


  

 

 「はじめは、私が好きではじめた事だった。いつしか、親にやらされるようになって、私が動画をサボると、叩いたり、殴ったりするようになって―。」

 星川さんは途中で口ごもって、涙を流した。

 

 

 

 悲しい涙。 

 


 

 こんなに痛く苦しい、愛の涙は見たことがなかった。

 

 

 

 「両親の事は好き。」

 僕はきいた。

 

 


 「本当に小さい頃は、普通だった。好きだった、優しい両親の姿。今でも覚えている。いつしかおかしくなって、歪にねじ曲がって、恐怖の対象になっていった、好きかはもうわからない。」

 星川さんは言った。

 

 

 

 人間、金に取りつかれると、人が変わってしまう事もある。

 

 


 動画を出さないと、人気が落ちるのでは、と不安なのだ。

 

 


 自分の娘がテレビに出て、どこか親として誇りに思っていて、次第に娘に娘以上の、事を期待し、求めているのかもしれない。

 

 

 

 だから、星川さんが、自分たちの思い通りにならないと、自分の娘を攻撃し、やらせているのだろう。

 

 

 

 こんなに苦しんでいる女の子をみたのははじめてだ。

 

 

 

 人気で、世間的には成功者であるだけに、よけいに闇が深い。

 

 

 

 「ねえ、少し家出してみない。」

 僕は、言った。

 

 

 

 「家出。」

 星川さんはききかえした。

 

 

 

 「そう。とりあえず今日は息を抜いて、一緒に遊ぼう。」

 僕は、提案した。

 

 

 

 「遊ぶかあ。久しぶりだなあ。遊ぶことなんて。」

 星川さんは、声を漏らした。

 


 

 最初は、僕を、化け物でもみるかのように警戒していたが、しだいにリラックスしているのがわかる。

 

 

 

 よかった。

 

 

 

 「まず、ゲームセンターで遊ぼう、カラオケに行ったり、遊園地に行ったり、服を買ったり―。今日は目いっぱい羽目をはずせばいいよ。」

 僕は、星川さんを、楽しませたい。

 

 


 しばらく、沈黙が続いた。

 

 

 

 重苦しい沈黙だ。

 

 

 

 「ま、もう、逃げてきちゃったわけだし、行くところまで行くか。」

 星川さんは、決心した様子で、言った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る