11 どうして、こんな事に・・・、頭を桧にズッシリと踏まれ、吉川さんにお尻を鞭でパンパン叩かれている、天国なのか?

 部室に行く。

 

 

 

 池田に、絡まれたのは災難だったが、武が助けてくれたのでよかった。

 


  

 部室に入ると、息を飲むように、集中力のある雰囲気で、部員達は絵を描いていた。

 

 僕は、昨日描いた、続きから、絵具をパレットに出し、キャンバスに色を重ねていった。

 

 

 

 昨日の、吉川さんとの事が頭に浮かんで、吉川さんの方をみた。

 

 

 

 吉川さんは、デジタルで絵を描いていた。

 

 


 僕の視線に気づいて、僕の方をみると、照れくさそうに笑った。

 

 

 

 かわいい。




 午後7時ごろになると、部長の明星さんは言った。

 

 

 

 「今日は、この辺にしときましょう。」

 



 部室には、僕と、吉川さんと明星部長しか残っていなかった。 

 

 いつも通りの事だ。

 

 

  

 「はい。」

 僕は返事をした。

 

 

 

 「あ、そういえば、君たち、何やら意味深に、見つめ合ったり、笑いあったりしてたけれど、もしかして、付き合ってるの。ふふふ。」

 明星先輩は、怪しげに僕たちをみて笑った。

 

 


 「昨日、少し、吉川さんと話したんです。部長と僕と、吉川さんと放課後遅くまで、絵を描いてる時間が好きなんだあ、って言ってましたよ。」

 僕は言った。

 

 

 

 「ははは。嬉しいなあ。あたし達ももうすぐ卒業だしね。寂しくなる。」

 明星さんは、寂しそうに言った。

 

 

 

 「ですね。」

 吉川さんは、言った。

 

 

 

 「美大受かるといいですね。」

 僕は、明星先輩をみて言った。

 


 

 「受かるさ。あたしを誰だと思ってるんの。受験までまだ、半年以上あるけれどね。」

 明星先輩は、筆を洗いつつ言った。

 

 


 部活が終わり、部室から出て廊下を、吉川さんと並んで歩いていた。

  

 


 「あ、真七瀬。一緒に帰りましょ。」

 

 

 

 廊下で、奥村 桧が、待っていた

 

 

 

 桧は僕の腕に自分の右腕を絡ませて来た。

 

 

 

 吉川さんは驚いた様子で、僕と、桧を交互にみた。

 

 

  

 「どういう、ご関係なんですか。」

 吉川さんはきいた。

 

 

 

 

 「私、真七瀬くんの、愛人なの。」

 ふふふと、幸せそうに、桧は笑った。

 

 

 

 高校生にしては随分と大人びた、大人な笑みであった。

 

 

 

 「え。才丸くん。彼女いたんだ。」

 吉川さんは、驚愕の表情を浮かべていた。

 

 

 

 もう言い訳の仕様もなかった。 

 

 

 

 「私、才丸君の事好きだったのに―。」

 吉川さんは、残念そうに、悔しそうに、言った。

 


  

 「あら、あなたも、真七瀬の事が好きだったの。だったら、あなたも愛人になればいいじゃなあい。私は構わないわよ。」

 桧は、勝ち誇った様子で言った。

 


  

 「愛人なんて、才丸君がそんな事するはずがない。何かの間違いでしょ。」

 吉川さんは、懇願するように僕をみた。

 

 

 

 「本当だよ。桧は僕の愛人なんだ。」

 僕は言った。

 

 

 

 「サイテーだね。女に刺されて死ねばいいのに。」

 吉川さんは、蔑んだ目で僕をみた。

 

 これまでの優しい、表情とは打って変わって、ゴミでもみる目で僕をみた。

 

 

 

 「でも、真七瀬の事が好きなんでしょう。」

 桧は、吉川さんをみて言った。

 

 

 

 「・・・。」

 吉川さんは押し黙った。

 

 

 

 「答えないって事は、好きなのよねえ。」

 桧は、かわいそうな者でもみる目でみた。

 

 

 

 「どうしようもないくらい好きですよぉ。才丸くん、あんな女とは別れて、私だけをみてよ。」

 吉川さんは僕に抱き着いて、キスをした。

 

 


 ファーストキスだった。

 

 

 

 「んんっ。ぷはあっ。」

 

 

 

 口付け終えると、吉川さんはトロンとした目で僕をみた。

 

 

 

 「やめてくれ、吉川さん。軽々しく、キスなんてするものじゃないよ。」

 僕は、吉川さんを突き放した。

 


 

 「だって、好きなんだもん。」

 

 

 

 いつもの吉川さんらしくない。

 

 

 

 大胆だ。

 

 

 

 「本気なの。」

 僕はきいた。

 

 


 「本気だよ、だって今のはじめてのチューだもん。」

 吉川さんは、恥ずかしそうに、口を膨らませて言った。

 

 


 はじめてのチュー。

 


 

 ファーストキスを僕が貰ってしまった。

 

 

 

 女の子にとっても、男の子にとっても一生記憶に残るであろう、大切なキスを貰ってしまった。

 

 

 

 「ごめん。」

 僕は謝った。

  


 

 「謝らないでよ。どうだった。」

 吉川さんは、不安そうにきいた。

 

 

 

 「よかったよ。」

 僕は言った。

 

 

 

 言っておきながら、何がよかっただよと、思った。 


 


 「そう、嬉しいわ。」

 吉川さんは、嬉しそうに、頬を緩めた。

 

 

 

 「でも、僕は他に好きな人がいるから、付き合えない。」

 僕は、言った。

 

 


 「好きな人。それって、桧さん。」

 吉川さんは桧をみて言った。

 

 


 「違うよ。別にいるんだ。だから桧とは、愛人なんだ。」

 僕は言った。

 

 


 「なるほどねえ。じゃ、私もあなたにとって特別な存在になりたいなあ。」

 吉川さんは言った。

 

 

 

 「特別な存在。」

 僕はききかえした。

 

 


 「私のご主人様になってよ。」

 吉川さんは、言った。

 

 

 

 ご主人様か。

 

 

 

 むしろ、僕は誰かに飼われたい。

 

 おかしな事になってきたぞ。

 

 

 

 「吉川さん、逆よ、こいつは、人に罵られ蹴られ、興奮するクソ変態野郎なのよ。」

 



 桧は、僕を見下すと、どこから持ってきたのかわからないが鞭を片手に、僕の尻を叩いた。

 

 

 

 「ブヒイイ。気持ちいいでげすうう。」

 突然の事に思わず、僕は叫んだ。

 

 

 

 「こういう事よ。」

 桧は誇らしげに、言った。

 

 

 

 吉川さんは目を輝かせ言った。

 「私にもやらせてください。」




 「はいどうぞ。」

 桧は鞭を吉川さんに手渡しした。

 

 

 

 「ご主人様あ。行きますよお。えい。」

 

 

 

 ぺチン。

 

 

 

 「どうですかあ。ご主人様。」

 



 ナイスな、感触だ。 

 

 お尻が喜んでいるのがわかる。

 

 


 「おら。気持ちよくなってんじゃねえよ。」

 桧の足が僕の頭の上に乗る。

 

 

  

 ズシ、ズシ、ズシリ。

 

 

 

 頭を踏まれている。 


 

 

 頭を桧に踏まれ、尻を吉川さんに叩かれている。

 

 

 

 天国か。




 昇天しそうだ。

 


  

 ぺチン、ぺチン、ぺチリンリン。

 

 

 

 ズシ、ズシ、ドシリ、ドッスン、ドスリ。

 

 

  

 「ご主人様あ、気持ちいねえ。お尻パンパン叩かれて気持ちいねえ。ん。」

 吉川さんは、僕の耳に息を吹きかけながら言った。

 

 

 

 「女の子二人に、お尻と頭イジメられて、気持ちよくなってるんだあ。キモっ。サイテーだね。」

 桧は、僕の頭を更に強く踏みつけて言った。

 

 

 

 トントントン。 

 足音がきこえる。

 

 

 

 誰か来る。

 

 

 

 僕と桧と吉川さんは、廊下の奥からきこえてくる足音を直ぐに察知し、平静を装った。

 

 

 

 何事もなかったようにした。

  

 


 見回りにきた先生だった。

 

 


 「ああ、まだ生徒残っていたのか。もうすぐ、7時半だ。玄関の扉が閉まるぞ。はやく帰れよお。」

 先生は言った。

 


 

 「はい。」

 僕は返事をした。

 

 

 

 「わかりました。ありがとうございます。」

 桧は言った。

 

 

 

 「ありがとうございます。」

 吉川さんは言った。

 

 


 「はあ。驚いた。肝が冷えたよ。」

 桧は胸を撫で下ろして言った。

 

 

 

 「今のがみられていたら、ヤバかったよね。」

 吉川さんは力が抜けた様子で、笑った。






―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 


読んでくださり、ありがとうございます!!!


内容はちょっと、破廉恥ですが、真面目に書いてます、絶対完結まで書きます。


面白い、興味を持った、期待できそう、と思った方にお願いです、よろしければ、小説の応援❤、フォロー、星★、とか、ください。


励みになります。


🌟秘めラブ🌟と黒珠霊歌/くろたまれいかを、何卒、よろしくおねがいいたします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る