10 友達でボクシングと空手で全国大会出場、格闘技の達人、石竹武は、僕の事を、襲ってきた不良の天然パーマの総長もどきを、タコ殴りにしてくれやした!!!ありがとう。

「ま、当然よね。勝算はあったし。私みたいなかわいい女の子の告白を断る事ができるわけがないじゃない。」

 桧は、声高に、息を切らしながら言った。

 

 

 

 嬉しいのであろう。

 

 

 

 「よかったわ。あなたをつけてきた甲斐があったってものよ。」

 桧はポロリととんでもないことを言った。

 

 

 

 ん。

 

 つけて来たってどういう事だ。

 

 

 

 「つけて来てたの。」

 僕はきいた。

 

 

  

 「うん。教室から君が出ていくのを、ずっと後ろから付いていって、屋上に来たんだよ。」

 桧は、事も無げに言った。

 

 

 

 ストーカじゃねえか。

 

 

 

 「昨日、校舎裏で雨ノ降さんといちゃいちゃしていた事も、吉川さんと自転車を押しながら一緒にいちゃいちゃ下校していた事も、花織と、今朝、空き教室で何やら、していた事も知ってるんだからね。」

 



 監視されてるじゃあ、ねえか。

 

 

 

 コええよ。

 

 

 

 全部、みられてんのかよ。

 

 

 

 「私とした事が、迂闊だったわ。先に、別の女に言い寄られていただなんて。」

 桧は、口惜しそうに、言った。

 

 

 

 「え。僕の事、監視してるの。」

 僕は、おそる、おそる、きいた。

 

 

 

 「監視だ、なんて人聞きの悪い事いわないでよ。リサーチしてただけよ。好きな人の事をリサーチするのは、別にいいでしょ。」

 

 

 

 リサーチねえ。

 

 もう、何もいうまい。

 

 

 

 「あ、もうこんな時間。昼休憩、終わっちゃうわよ。」

 桧は、時計を指さして言った。

 

 

  

 速く、戻らないとまずい。




 「じゃあ、ね。真七瀬くん。」

 桧は、屋上の扉を開け、手を振った。




 昼休憩の後は、掃除させる学校だ。

 

 ああ、面倒くさい。

 

 

 

 適当に、掃除をして、5限目の授業を受ける。 

 

 

 

 6限目の授業を受け終わると、放課後だ。

 

 

 

 放課後になると、僕は部室へ向かった。


 


 部室へ向かう途中、ガタイのいい男子生徒に呼び止められた。

 


 

 「おい、てめえ。昨日、俺の友達に恥かかせたみてえだなあ。」

 



 池田 善三郎

 10組で一番、質が悪いと言われている不良だ。

 

 髪は、ボサボサで、天然パーマらしい。

 

 身長は、180㎝くらいの大男で、ガッチリとした体格をしている。

 

 

 

 「ごめんなさい。急いでいるので。」

 僕は、池田をみて、言った。

 

 

  

 僕が、昨日、教室に来た、五人の10組の男を、追い返したのが、気に食わないのであろう。

 

 面倒だ。

 

 

 

 僕と池田の周りには、まるで、見世物でもみるかのように、学校中の生徒達で囲まれていた。

 

 

 

 それやれ、池田だの、どうするんだ才丸だのと、ガヤを入れる、生徒の声が癪に触る。

 

 

 

 「おらああ。死ねやあ。」

 

 

 

 遂に、池田、僕に目掛けて、グーパンチをしてきた。

 

 

 

 面倒だ。

 

 

 

 「やめてやれよ。情けなくないのか、池田。」

 池田のグーパンチが僕の顔面に直撃する寸前に、パンチが止まった。

 

 

 

 パチン。

 

 

 

 石竹いしたけ たけるだ。

 四組の生徒で、僕と中学の時からの友人だ。

 

 格闘技が得意で、空手と、ボクシングで全国大会にも出たことのある、武術の達人だ。

 

 身長は、170㎝程度で、引き締まったいい筋肉をしている。

 

 髪型は、刈り上げアップバングで、男らしい髪型をしている。

 

 髪色は、グレーだ。


 男だ。

 

 

 

 「なっ。」

 池田は、自分のパンチが受け止められた事で、たじろいだ。




 「てめえ。ちょっと、格闘技が出来るからって調子乗ってんじゃねえぞおおお。」

 池田は逆行して、武に、飛び掛かった。




 「おらよ。」

 武は、池田の飛び掛かりを難なく、躱して、反撃に出る。

 

 

 ドサっ。

 

 

 

 池田は、武のタックルで、地面に倒れた。

 

 

 

 上にのしかかり、池田をボコる。

 

 

 

 ボコ、ボコ、ぼっこボコ。

 

 

 

 「ま、この辺で勘弁してやるか。」

 武は、池田の上から降りて、離れた。

  


 

 ボコられた、池田は、廊下に伏している。

 

 

 

 「ガはっ。」

 

 

 

 恐ろしい奴だ。

 

 喧嘩最強と畏れられている、池田をこうもあっさり、倒してしまうだなんて。


 


 周りのオーディエンスの生徒達が歓声を上げる。

 

 

 

 「大丈夫か。真七瀬。」

 武は言った。

 

 


 「ありがとう。」

 僕は、お礼を言った。

 

 

 

 「礼はいいよ、気にしないでくれ。」

 武は二っと笑った。

 

 

 

 とうとい。

 

 いい友達を持ったと思った。

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