9 幼馴染の紺色ロングヘア、クールビューティの、奥村桧は、僕の愛人になりたいらしい。

 時間が過ぎて、朝礼の5分前になったので、別れて、それぞれ、自分の教室に戻った。

 

 

 

 「おはよう。珍しいな、朝礼ギリギリに来るだなんて。」

 義景は、僕が教室に入ってくるのをみて言った。

 

 

 

 「ま、ちょっとね。」

 僕は、はぐらかすように答えた。

 

 

 

 「いいけどさ。」

 義景は言った。

 


 

 昨日の校舎裏での事が頭をよぎって、雨ノ降さんは席の方をみる。

 

 

 

 雨ノ降さんは、僕の視線に気づくと、教科書で顔を隠して、机に顔を押し付けた。

 

 

 

 どうやら、照れているようだ。

 

 昨日のような事があると、流石に、恥ずかしさがあるのであろう。

 

 普通に授業を受けて、普通に過ごす。

 

 観察したい気持ちもあるが、あまりすると、また、通報されかねない。

 

 心の中には、女の子のおっぱい、と尻を観察できないという悩みがあった。

 

 授業は全部、あたまの中にすっぽりと入る。

 

 きいた事をまる暗記みたいなものだ。

 

 教室の様子まで全部、頭に入ってくるので、うるさくて喧しい、脳内に、体感のすべてが保存されているようなものだ。


 理解するのはまた別だから、勉強は別にしないとダメなのは大変だ。

 

 問題集を解かないと、数学とか物理、化学はどうしようもないのだ。


 文章を読むのは、映像を脳に保存することとは別だ。

 

 

 女の子のおっぱいと尻に癒され、罵られ、蹴られ、精神を充足させたい。

 

 

 

 昼休みになると、なんとなく、屋上に行きたくなった。

 


 

 「屋上で、飯でも食うか。」

 

 

 

 屋上の扉をピッキングして、扉を開けた。

 

 

 

 「いい風だな。」 

 

 


 風が気持ちいい、あたたかい太陽の光がさしている。

  

 

 

 ガチャ。

 

 

 

 「先客がいたようだね。」

 



 扉を開けて女の子が入ってきた。

 

 誰だろう。

 

 

 

 「あれ、君、真七瀬くん、じゃあ、ないか。どうしたんだい、屋上で黄昏ちゃって。」

 



 



 「ひのき、か。」

  

 


 奥村 桧

 背中辺りまで、伸びた紺色の髪をした、女の子だ。

 

 大きな丸い黒目で、重二重だ。

 

 成績優秀で、一組の生徒だ。

 

 将棋や、囲碁が得意で、全国大会とかに出たこともある。

 

 将来は小説家になることが夢ならしい。

 

 

 

 実は、僕の母と桧の母が友人で、小さい頃、はよく遊んでいたりした。

 

 


 「ちょっと、風に当たってただけだよ。」

 僕は言った。

 

 

 

 「屋上にいっちゃダメなのよ。校則で禁止されてるじゃない。」

 桧は、注意するように言った。

 

 

 

 「御前だって、来てるじゃん。」

  


  

 「私は特別なのよ。」

 桧は、頬を膨らませて、ムスっとして言った。

 

 

 

 「こうして話すのは、久しぶりだね。」

 桧は言った。

 

 

 

 桧とは、小さい頃に、時々、遊んだりしていたが、いつしか、会わなくなった。

 

 


 桧は小学二年の頃に転校して、中学の頃は違う学校だったから、会うこともなかったのだ。

 

 


 高校が一緒だと知ったときは驚いた。

 

 

 

 「私が、この高校だって事知ってたんだね。」

 桧は、嬉しそうに言った。

 

 

 

 「まあね。」

 僕は言った。

 

 

 

 「君の悪名は学校中に轟いてるよ。変わってないんだね。」

 桧は、いじわるそうに、笑った。

 

 


 「ははは。ま、でも、僕も、そろそろ、やめようかと思ってるんだ。」

 

 

 

 「え。どうして。」

 


 

 「通報されてね。担任教師に、注意されたんだ。退学もありえるってさ。」

 僕は、しょんぼりとして言った。

 

 

 

 「ははは。災難だったね。」

 桧は、笑った。

 

 

 

 「うん。」

 

 

 

 「ねえ。私だったら、みてもいいよ、その、おっぱいとか、お尻とか―。」

 桧は、顔を紅くして、恥ずかしそうに、うつむき加減に言った。

 

 


 反則的だ。

 

 かわいすぎる。

 

 なんか、死にたくなってきた。

 

 

 

 「だめだよ。女の子がそんな事軽々しくいったら。」

 僕は、注意した。

 

 


 「本気だよ。私、真七瀬にだったら、どこをみられたって、いいと思ってるよ。」

 真七瀬は真剣な、面持ちで、僕を見つけた。

 

 

 

 熱い眼差しに、身体が焼けこげそうだ。

 

 どうやら本気らしい。

 

 

 

 「僕の事が好きなのか。」




 「うん。ずっと前から、好きだよ。」

 真七瀬は、じっと、僕を見つめた。

 


 

 ずっと前から、僕が好きだったのか。

 

 でも、僕には、片思いの想いの人がいる。

 

 

 

 「僕は、他に好きな女の子がいるんだ。ごめん。」

 頭を下げて、謝った。

 

 

 

 「へえ。そりゃ、好きな子の一人や二人できるよね。でも、関係ないよ。私は、君の愛人でも構わない。」

 桧は、力強く、真っ直ぐとした目で、僕をみた。

 

 

 

 愛人か。

 いいのだろうか。

 

 僕なんかが、愛人だなんて。

 

 

 

 「愛人なんて、つらいだけだよ。」

 僕は言った。

 

 

 

 「そうかしら。好きな人と一緒に居られていいじゃない。私の事が嫌いなの。」

 桧は、答えた。

 

 

 

 「嫌いじゃないよ。むしろ好きだ。うれしいよ。」

 僕は、正直な気持ちを言った。

 

 

 

 「だったら、いいじゃない。」

 

 

 

 いいのか。

 

 「付き合う事は、できないよ。友達じゃ、だめなの。」

 僕は、きいた。

 

 

 

 「ダメよ。あなたの女になりたいの。」

 桧は言った。

 

 

 

 「わかった。今日から、桧は僕の愛人だ。」

 僕は、腹を括った。

 

 

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