第6話 秘書と何年物の書類

 杉さんがもうじき退職されるということで、今まで忙しくて手をつけられなかった書類の区分けやシュレッダーにかけるものを選別することになった。

 いるものいらないものを杉さんに目を通してもらい、ファイリングしたりシュレッダーかけたり。

 平成28年とかの書類もある。お、これは平成17年…て、杉さん。どんだけ大事に書類しまってるんですか。

 何て余計なことは言わず、杉さんに言われるままに持ってこられた書類を何気なく見ながらシュレッダーにかけようとしていると…。

 1988年とか出てきたよ?

 杉さん、いくらなんでも書類の物持ち良すぎない?

 杉さんの次に秘書歴の長い松さんのお話によれば、杉さんはとにかくものを大事にする人らしく、ほかの秘書さんがいらないと判断してゴミ箱に捨てた段ボールやらなにやらをゴミ箱から拾ってくる習性があるそうです。

 保管庫には杉さんの収集している段ボールやら何やらでいっぱい。先生方が異動の時に荷物持っていくのに必要になるから!とは言われましたが。

 とにかくなんでもとっておくのが癖みたいだということでした。

 それで結構メンタルやられた秘書さんもいるとかいないとか。

 だから、捨てるときはゴミ集めのおじさんが来るときにしたほうがいいよ!と助言されました。杉さんが来るのは遅いので、ゴミ集めのおじさんが来る後に出勤されるのでね。

 松さん「杉さんの持ってたすごい古いファイルだと前いた秘書さん、触ると手がかゆくなるとか言ってたんだよね…。大丈夫?」

 そう言われて、なんだか手がかゆいな…と私も思い始める。

 三十年以上前のファイルとか、杉さんがどこに置いていたのかいまだに謎になっている。

 しかし、出るわ出るわとにかく杉さんから渡されるファイルをシュレッダーかけまくった。

 忙しくてできなかったということだけど、そんな昔からいろいろ取っておくほど忙しかったんだろう…ね。うん。

 手のかゆみを感じながら、ファイリングとシュレッダーを繰り返す。

 そして合間に仕事を教えてもらう。そんな日々が杉さんが退職されるまで続きました。

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