第40話

「先ほどの感覚を忘れないように。

 と言っても無理だから、今からより実践的なことを行う組手に移る。 

 感覚を再現しつつ、実戦でどのような立ち回りをするかよく考えるんだ。」


「あの、師匠。

 目の前にいるロボットと組手をしろってことでしょうか。」


「その通りだが?」


「その通りって、バカでかくないですか。」


「なに、社地蛇ほどではないさ。

 ほんのちょこっとだけ、重量のある木偶の坊と変わらんよ。」


「それはあなたの基準でしょう!

 こんな大きさ、ビル3階くらいの巨大ロボットなんて倒せるわけないでしょうが!」


大仏様と言ってもそん色ない金属の塊がこちらを見下ろしている。

座ってこそいないがその大きさは大仏。


「大仏様ではなく、君の行く末を見守ってくれているお地蔵様に近づけて作ったのだが……。

 ああ、髪型か。

 少し機構作るのに凝り過ぎたか。

 芸術性が欠けるな。

 お釈迦さまもたいそうな部の達人だったと聞くが、やはり、悟りすら開いていない大河君には仏よりも旅人の行く末を案じるお地蔵様の方が良いと思うのだが、マサドラ君はどう思う?」


「ソンナノワカラナイヨ。

 ドウデモイイヨ。

 マサドラハ、ソンナコトヨリハヤクシュギョウニハイルホウ、イイトオモウヨ。」


「そうじゃな。

 河ちゃんは凡才の中の凡才だからのう。

 盆栽をいじるのにはこまめに、ていねいにしておかんと、すぐに駄目になってしまうし、どのように生やすかも早急に決めねばならんぞ。」


「ジジー、イイコトイウネ。

 スッポンヲトラレタネ。」


「それを言うなら一本取られただぞマサドラ君。

 なるほど長老には彼の行く末が見えるとおっしゃられるのですね。」


マサドラさんは自動翻訳が上手くいっていないのか、それとも別の言語体が存在するのか上手く聞き取れないことがしばしある。


「そういえばマサドラさんってどこの出身なんですか?」


「ああ、自動翻訳が上手くいかなかったかい?

 彼は暗黒地帯の出身でね。

 あそこは理外の力が働いているから言語体系も異なるし、自動翻訳が機能しないんだよ。

 話が通じるのは彼がそれだけ努力して、私たちの国の言葉を話せるようになったからだね。」


なるほどと納得したところで、大仏が動きだした。


「ちょ、死にますってシショー!」


「大丈夫、そういって死んでも、復活させて見せる!」


「そんなことしたら師匠たちの知力もおちませんか?」


「ふふふ、そんなもの既に解除済みだよ。

 いやはやこの肉体に成ってから動いているのが殆ど魔力だったし、生前の肉体にまで持っていくのには苦労したよ。」


それ死者蘇生やん。


____________________________


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スライム道

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