第38話
「流石というべきか。
歩法は功夫に近く、蛇のように静かに這いずり、ヤマアラシのように肌をこすりつけるか。」
「あの武術は水中で見るのは初めてですが紛れもなく虎蛇拳かと。」
シムさんは海中に入り反撃をしていた。
一切衰えることのない攻撃、防御、動き。
摩擦をうまく使う拳法なら、衰えないといけないのだが一切衰えていない。
「虎蛇拳?
異世界の象形拳か?」
「ショウケイケンというのは存じ上げませんが、モンスターの技能を模した拳法です。
一部を模したものもありますが大半は全てを吸収し、人間に当てはめて行われます。
クリフォト帝国では別の格闘技を国技としていますが、虎蛇拳は暗殺拳として伝わっており、
モンスター相手にも強力無比なダメージを与えられるため、モンスター討伐を生業としている人たちの中には好んで身につけておりました。
水中を想定していない拳法なのにあれだけ闘えるのが不思議ではありますが。」
「なら根本から間違っているんじゃないか。」
「といいますと?」
「虎蛇拳は地上の鯱蛇みたいなやつらなんだろ。
なら今やっているのは鯱蛇拳なんじゃないか?」
「そんな拳法、格闘技はきいたことがありませんのでなんとも。」
象形拳という概念は存在しないモノの、モンスターの動きを人間が真似ると言うのは世界共通のようで、可能性として挙げられる。
地上での動きと海での動きは同じように見えるが水の流れを添って動いている。
流れをうまく利用しているのではなく、流れをうまく作って動いている。
「流れを身にまとい、自分の推進力に変えるのは古来より河川などの激流に生息していたモノが身に着ける技ネ。
激流をその身に纏えば力は大きくなり、穏やかな流れを身に纏えば緩やかに力を流す皿となる。
燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)、
されど皆、空を羽ばたくもの。
志は違えど道は交わる。
大きな志をモノのことはわからないが小さな志を持っていても大きな志を持つモノと同じ道を歩いていたりするネ。」
感じ方は人それぞれ。
捉え方次第でいかようにも変えられると言っている攻撃はキメラには無い可能性だった。
「もう終わるな。」
「そうなのですか?」
「なんだ、あれだけ魔術ができるのにこの先を見る気は無いのか。」
「この先?」
ミリオタは軍議や将棋、チェスはそれなりにできる。
知の戦略は出来るので戦局を読むのは非常に容易かった。
戦闘とは、密着すればするほど、陣取り合戦に近くなり相手をうまく使った方が勝つ。
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スライム道
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