異世界行っても小心者のダンジョン。一応現代に戻れるみたいです。

第37話

無駄のない動きとは他の人から見れば奇天烈な動きに見えるのかもしれない。

理に叶った動きは、スポーツによっても違い。

武術によっても異なる。

「憑依してるだけでも、感覚を掴めるだけ弟子としては上出来ネ。

　でも、大河ちゃんは才能無いネ。

　死ぬくらいやってもらわないとできないネ。」

面と向かって才能が無いと言われると傷つくが実際その通りだ。

体力を限界まで極める走る鍛錬。

この鍛錬をつづけると最低でも自分自身の今の状態に適した走り方を知ることができる筈なのだが、クセの走りが抜けることは無かった。

師匠曰く、幼少期にどれだけの動作を覚えたかにより、俺は覚えた動作が少なすぎるとのことだった。

結構心にくる言葉を言われたけど、その分、持ってる色が少ないから達人と呼ばれた人物たちの色に染め上げることができると言われた。

それだけ、教科書通りの戦い方をできる。

複数のやり方を伝授し、まっさらな部分はほとんど残らないと言われた。

しかし、あえてまっさらな部分を残しておくので、そこから新たな技を作るのが今後の課題であり、勝つための試練になりえると教えを乞うた。

自分がどれだけ強くなれるかわからないが、今は修行に集中するしかない。

自分の未熟さを噛みしめながらも強さを追い求めなくてはならない。

そうしなければ死ぬかもしれないのだから。

もし、ダンジョンから生成したモンスターがダンジョンマスターの言うことを聞かなくなったら。

吉か凶かはわからない。

でも、今は準備をしなくては、準備をする暇が無いとしても準備をしなくてはどうすることできない。

今憑依している功夫のような動きをする人物を覚えるんだ、全てを。

似ているが大きく違うのは、その特性、切り裂く、打撃とも違う撫でるような攻撃に皮膚の使い方までも勉強させられる。

指紋に沿ってこちらは薄皮一枚にも満たない細胞しか削り落とさず、相手の強靭な鱗を刈り取る。

「鯱蛇って言ってもホントにキメラネ。

　大河ちゃんだったら即死コースネ。

　ゆくゆくはこのくらいできるようになってもらわんと困るネ。」

目の前の巨大海獣は猪突猛進で海中から攻撃してきていると言うのに、アドバイスする余裕すらある。

彼らの頂点に立つ老人？はどれほど強いのか見当もつかなかった。

「ま、塵は特殊な事例ネ。

　元々、魔力などの第３エネルギーを持っていない世界の生まれなのに、どんどん得体のしれないエネルギー操作を会得していったネ。」

つまりは俺もそれが使える人外になれと。

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スライム道