第36話
「一先ずその魔術に関する知識は置いておく。
俺らの観点からすると未知の知識だからな。」
「しかし、未知の知識と言えども有用であることに変わりはないと思いますが。」
「今の俺らには時間が無い。
知恵の門の耐久度が表示され始めている。」
「知恵の門も理外の力だが、流石に無限の力と考えるのは早計だったか。
食材なんかはまだ大丈夫なのか。」
「ああ、その辺りは大丈夫だ。
ただ鯱蛇がダンジョンの内部に侵入したとき偽造していた壁が一瞬で壊された。
一定のレベルに達していないと耐久度が上がらないのか、それとも未知の素材で改造しなくてはならないのか知らないが、幼体から成体になって制御できなくなったと思いたいな。」
成体になって手が付けられなくなったから破棄した。
もしくは偵察、壊滅要員として海に放った。
後者が可能性として有力。
「そういえばシムさん的には鯱蛇はどんな感じだった?」
「多少強化はしてあるけど、技術的には脅威は感じないネ。
パワー、耐久性は目を見張るモノがあるけど、そのくらいネ。
彼らは技巧派の戦闘を好む生物ネ。
長いしっぽを巧みに使って小魚を大量に捕獲するネ。
時に自身の身体よりも大きな獲物を狩ることだってあるネ。
彼らを模倣した象形拳も存在するくらい賢い彼らの技を冒涜しているにも等しいネ。
けど修行にはちょうどいいネ。
今回は時間が無いから達人の感覚をおいちゃんが教えてあげる程度にとどめておくからすぐの乗り移るネ。」
シムさんの意見は時間が無いならとっととやってしまおうとのことだった。
実際それがベストだろ。
鷹のダンジョンに今は時間が無い。
耐久値が表示されるってことは残り時間が差し迫っている。
もし、まだ余裕はあるかもしれないが、鯱蛇キメラと同じパワーを持つ生物に襲われたらもう後がない。
「じゃあいったん切るぞ。」
「あいよ。」
早速新しいスキル憑依を行う。
骨格体格が殆ど同じ人の中に入る感覚はまるで戦闘ロボットの中に入ったようで不思議だ。
シムさんは自分よりもはるかに密度の高い筋肉を持っているのが伺える。
そしてシムさんが普通に動かしているつもりでも一切無駄が無いと思った。
なんせ、変な歩き方に見えるが地面を蹴り上げる瞬間がとても軽い。
足全体を沈み込ませるペンギン歩きなのにとても軽やかな歩幅。
デコピンの原理でも活用しているのかと思うほど皮膚が引っ張られる感覚はあった。
大地を踏みしめるとはこういうものだと実感させられる歩くと言う行為からの格の違い。
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スライム道
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