第29話

「……褒めてくれるかな……?」


ネムは名前を貰い始めてのダンジョンのお仕事をする。

今までひんぬーだからサキュバスの中でも相当な売れ残りと言われ続けていた。

でも大河に出会い、サキュバスとしての種族本能を満たすことができた。


彼の精力はとても強い。

キスだけで満足できてしまうくらいには濃厚で一級品の童貞だ。

やはり、何度も補充された電池よりも一度も使った形跡の無い電池の方が美味しいのは道理。

目の前にいる兵士たちの精力の味が雑草に思えるくらい美味なる味。

あれだけ美味しいモノを食べてしまったのだから舌が肥えてしまっているかもしれない。


いや、これは確信だ。

現世に住むサキュバスたちは娼館に通うことも多々ある。

私は生きるためにその一部を食したことがある。

食したものは当時はとても美味しかったと思うが、大河と比べると味の質、満足感までもが圧倒的に劣っていた。


大河の精力はワインのように濃厚で重厚感がありながら、酸味と渋みのバランスがよく、

粘度の高い体液がサキュバスの唾液と交わり、赤身肉のステーキのような噛み応えを生みが満腹中枢を刺激し、大きな満足感を与えていた。

デザートの化けの皮を被ったメインディッシュ。


そして目の前の騎士たちは何だ。

味自体がボジョレーヌーボーのような新酒にすら劣る光を当てたワインではないか。

長い間、樽の中で丁寧に熟成され続けたワインとは比べるまでもない。


大河は異世界人だと言っていたから、この世界の男性よりも童貞を捨てる時期が違うのだろう。

こんなにも芳醇な味を出せるんだから、最低でも20年近くは守っていないと出せない味だ。


淡々と騎士たちを相手にこの後のご褒美のことを考えているとあっという間に騎士たちは倒れてしまった。


脆いし弱い。

サキュバスはそもそも人間の男性、稀に女性を襲う個体も居るが基本そっちはインキュバス。

ただ最近インキュバスも女性恐怖症の奴らが増えていて男性を襲っているらしい。


話は逸れたが力の大きさで言えば人間の男性は生物としては最弱だがそれを組み敷くのにはサキュバスでもそこそこ力が居る。

力の理と本能を理解し、相手が全力を発揮する前に止める。

サキュバス自体の筋力は人間の女性のソレと何ら変わりない。


人知未踏の力を使い身体能力は人を勝ることは簡単だが毎回そればかり使っていては効率が悪い。

故にサキュバスたちはどんな男性でも組み敷けるように女性としてのホルモンの促す体型や魅力を保ちながらなんの技も覚えていない屈強な男程度であれば倒せるくらいの戦闘力は持ち合わせていた。

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スライム道

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