第27話
「一部のゾンビに憑依して騎士団と戦闘するのか…。」
「ゾンビはアンデッドの中でもある程度肉体がある分人間と同じことができる。
大河君と同じ体重と筋肉量の個体を選んだつもりだけど、筋肉は朽ちかけていることに変わりはない。
君のように成長する兆しが見受けられないため、個体は随時変更していくことになる。
しかしだ、そうなれば練習メニューもより実践的なものにするため、君自身が出向く方が効率がいい。
今回は安全なところから人を殺すかもしれない恐怖を味わってもらうわけだが、
今なら引き返されるがどうするかね?」
人殺しはしたくはない。
この世界の命は軽い。
皆、今日を生き、明日を生き抜こうと必死に考えているからだ。
日々の鍛錬を怠ればそれだけ死に一歩近づくかもしれないモンスターが差し迫る中で自分だけが殺すのを躊躇ったらこっちが死ぬかもしれない。
しかし、それでも人を殺したくないと言えるのかと問われている気がした。
「殺すのではなく、生かさず殺さずです。
生かさず、殺さない。
俺は、自衛のために武を学ぶのであって
殺してしまっては戦争にしかならないのなら、
争いのタネを送り返すだけです。」
「ほっほっほ、やはり男のじゃのう河ちゃん。
しかし、武はこころ。
努力次第で何とでもなってしまうのが武。
卑怯と呼ばれようとも、それもまた自衛の手段。
そもそもは女子供などの弱きモノのために編み出された技。
体格に恵まれぬものが大きなものを倒すために生まれたものよ。」
自分よりも体格の大きな存在を倒すためには単純な力だけではなく、
技の作用する力の理を大きく理解しなくてはならない。
「今回は憑依はしてもらうが基本的には見学と言ったところかな。
えっと、サキュバスのお嬢さん、大河君にお手本を見せてくれるかな?」
「……いいよ……。」
「そういえば、名前は?」
「……ない……。」
「ならつける?」
「……うん……。」
「ふむふむ、名前も知らないのに愛し合っていたのか……。
最近の若い子たちの文化はわからないねえ。」
「チガウヨー、タイガマダドウテイヨー。」
「マサドラ君どうしてわかるのかい。
男女二人が一つのベットに居たのだから捨てているのが当然だと思うが……。」
「ニオイガシナイヨー。
メストコウビシタオスニハカナラズニオイガスルヨー。」
公開処刑されてるんですけど。
シリアスな展開から公開処刑されているんですけど。
「……名前……。」
はやくはやくと急かしながら、キラキラした眼でまだかまだかと映画館で映画が始まるのを待つ子どものようにキラキラさせていた。
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スライム道
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