第24話

まだ鷹の海のダンジョンにはついていない。

しかし城のある都市からは毎日のように早朝から騎士団が送られてくる。


今日来た騎士団は鎧こそ前と似たデザインだが、兵士一人一人の身体に合わせて造られている。

儀礼用ではなく完全な実戦用と言ったところか。

それに武器も剣ではなく、短槍や短めの鎌、手斧といった短いながらも適当に使っても攻撃力のあるものを装備している。


「お上は何で冒険者に任せないんでしょうね。」


「上にもプライドがあるんだよ。

 というか貴族のプライドだろうに。

 もしこれで冒険者に攻略でもされたら自分たちは平民以下の知識しかなかったと認めているようなものだからな。

 少数精鋭が基本のダンジョン探索で騎士は向かないが知恵の門攻略は決まって貴族が成功させてきた実績がプライドを傷つけているのさ。」


「一応団長も貴族ですけど、そんなこと言っていいんですか?」


「お坊ちゃんぞろいの学園で偉い奴に頭下げまくって媚びうるのが常日頃の奴らだぜ。

 過去の実績と今の実績は違うだろうに。

 それに今回は答えが真っ当な手段で用意されている。

 知恵の門、生活の知恵から来てるしこういうの平民が実践して行っているモノだよ。

 お前らだって心当たりあるような問題ばかりだろ。

 だから俺の辺境騎士団がわざわざ徴兵されたんだよ。」


「あー何で急に王都に来いだなんて変だと思ってたんですよ。

 俺ら辺境の男爵三男坊とかで畑を日々耕してるのが多いですし、実戦経験も王都連中よりかは豊富だけどダンジョンに向かない自分らが何で派遣されるのか不思議だったっす。」


そもそもの練度は辺境の場合小競り合いはそこそこある。

隣国とは敵国ではないが仮想敵国であることには変らず、互いに牽制しあい。

飢饉に成ったり、他の国と同盟を組み襲ってくるかもしれないと来るべきのために備え、情報を集めるのも辺境騎士団の役目だった。


王国最強の騎士団は紛れもなく辺境騎士団。

公けに認めることはしないが公然の事実として知られている。


「ねえ団長……。」


「ああ、ここは変化する率が高いとは聞いていたが……。」


「一日で変わるって聞いていましたけど知恵の門じゃなさそうですね。」


「わからん、ただ言えるのはここが骸骨の街で俺らに危害を加える気配を感じないだけだな。」


辺境騎士団が踏み入ったのは骸骨が街を建造している真っ最中の開発都市のような光景だった。


「ここまでの建築技術があるとは驚きだな。」


「見たことも無い梁のをしていますね。」


「全て木材を組むことで建てているな。」


「でもアンデットなのにこちらに敵意を持たないのはダンジョンマスターの方針なんでしょうか。

 今までに人と共存したダンジョンマスターが居ることは確認されておりますが……。」

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