豊嶋家の面々
「皆の者!! 今年より大いに我が豊嶋家が躍進する事になろう!! 国を統一する為に黄泉に行こうとした所を呼び戻したとお告げがあった虎千代だ!! 天より授かりし物も多くきっと豊嶋家に栄華をもたらしてくれるであろう!!」
当主であり父である泰経が上座に立ち声高らかにそう言うと石神井城の広間に集まった面々の視線が俺に注がれる。
「虎千代、其方からも何か皆に何か伝えよ」
「私がでございますか?」
「そうだ、其方も天よりお告げを受け様々な知識を得たのであろう」
「では…、豊嶋勘解由左衛門尉泰経が嫡男、豊嶋虎千代です! 父よりこの度、大泉村一帯を所領として頂きました。 今年中に内政にて一定の成果をあげる所存ですので皆さまにおかれましては何かと手助けをお願いすると思いますのでその際はよろしくお願い致します」
スピーチと言うか大勢の前で何か話すのは苦手な方なので上手く言えたのかどうかかは不明ではあるが、どうやら悪くは無かったようで一様に温かい視線を送ってくれている。
なんか一部の人は熱視線を送ってるけど、これはお告げを信じてるんだよね? この童を抱きたいとか思って無いよね?
この時代は衆道が普通だから、まさか自分の寵童にしたいとか言う視線じゃない事を祈るけど迫られたら全力で逃げないと…。
その後、再度集まった諸将を俺に紹介すると言い、父が1人1人紹介をしてくれる。
そして俺はと言うと、昨日と今日で合計2本となった日本酒の一升瓶を持って挨拶がてら酌をして回る。
一升瓶から注がれた澄んだ酒を見て一様に驚いた表情を浮かべ、飲んで更に驚きの表情を浮かべている。
因みにお徳用カルパスも一緒に配っているがこちらも好評のようだ。
そして全員に酌をして挨拶をしたので大体、一門衆と重臣の名前と顔を覚えた。
一門衆は意外と多く、父、泰経の弟で俺にとっては叔父にあたる豊嶋泰明を筆頭に、赤塚資茂、志村信頼、板橋頼家、滝野川守胤、小具秀康、平塚基守、白子朝信、庄宗親、宮城政業。
そして重臣は守役の原田時守の他に、土屋元親、肥田氏本、本間家宣、後藤秀正、等々、豊嶋泰明以外は聞いた事ない人達ばかりだ。
しかも豊嶋泰明とここに居る本人かは分からないけど板橋、赤塚は8年後に起きる江古田原沼袋の戦いで討ち死にする人だ。
見た限り3人共、完全に体育会系で強そうだけど、食生活の改善で8年後には筋骨隆々にして死なないように頑張って貰おう。
それにしても日本酒の味はこの時代の白く濁った酒に比べて味も良いようであっという間に一升瓶が2本空になってしまった。
もう無いのか? と言われても一日1本しか補充されないので無いものは無いので諦めて貰ったけど、見るからに日本酒を飲んだ後の酒が進んでいない。
その後、暫く宴会は続いたものの酒があまり進まなくなったせいで日が暮れた頃にはお開きになった。
それにしてもここまで日本酒の受けが良いとは…。
これは清酒造りも早急にした方が良さそうな気がする。
それなりの量が出来れば売りさばいで利益を出せるだろし。
大泉村一帯を発展させる為の農機具類に加え、ここは戦国転生の定番、石鹸、清酒、蝋燭、そして綿花の栽培、菜の花の栽培、養蚕を盛んにして現金収入を増やして専業兵士を充実させる費用に充てよう。
醤油作りは必須として、養蜂もチャレンジしたいし、養鶏して増やしたニワトリを燻製にして売り出してみたいし、硝石丘法による硝石の安定供給、鉄砲の開発、大小の弩作成、外洋船…言うなればガレオン船の建造、果ては反射炉も作りたい。
後は畜産だな、牛や馬だけでなく、海外から羊とか仕入れて来て羊毛も特産品にしたいし…。
あぁ~~~!! やりたい事が一杯で目が回る!
まずは今年中に大泉村一帯を発展させて実績作りをしよう。
だけど火縄銃作りは最優先で進めるけどね。
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豊嶋家家臣の名前、一門衆の名前、資料が全くないので姓以外は思い付きですご了承ください。
※豊嶋泰経、豊嶋泰明は実在した人名です。
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