第2話 影響力

こどものころ、よくテレビを見ていたんだ。


ふと、思い出すと、ね。


ああ、こんなところにも、むかし見たテレビの影響って、あるんだな~、とか。


そうじゃなくても。


こどもって、ちいさいころ、学校とか、行って、いろんなネタを仕入れてくるから。


じぶんでは元ネタを知らないまま、どこかに刷り込まれていくんだね。


そうして。それが、ね、おとなになっても、ときおり出てくるんだなー。って。


家に帰って、ソファに、すわって、ぼーっとしながら思ってた。


テレビだったのかなぁ・・・・・・?


「なに?」


彼が、顔を寄せてくる。


「んーん、なんでもー」


いったん、かぶりを振ったけれども。


そーだねぇ。


「テレビって、すごいねー」


「ん?」


「なんか、わからへんけど、すごい」


思えば、どの業界だって、影響力のことで言えば、すごい。


広告だって、朝に食べてるパンだって、虫歯を治してくれる歯医者だって、物だって、お金だって、天気だって、すごい。


むふー。いっしゅんに、あたまのなか巡らした思いに、すこし、クラクラする。


目を、パシパシさせて、


「命だって、すごいー」


「また、すごいとこいったねー、話が」


彼は、呆れてる、というよりも、宥めてくれようとしてる、の、が、わかる。


ふぅふぅ、意識が、まだ、もっと、もっと壮大なとこ行きそうで。


「みゅー」


どうしようもないから、抱き着いた。


ぎゅーー・・・・・・。


彼の、体温は、あたたかい。


心が、そのまま伝わってくるような、そんな錯覚に陥るよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る