第4話:火曜日の放課後の事件
午後の授業を終え、部活へと向かう。午後の授業はもう身が入らず、ずっと無意識的に愛華の方に視線を向けていた。頭の中で父の事を考え、視線では彼女の事を見ていた。
一時間分の授業なんて、後でいくらでも取り戻せる。だから問題無いが、この数字の事になると話は別だ。
悪い方に考え始まると悪い方にしか考えられなくなる。
杞憂であればいいが、それをどうやって確かめればいいのだろうか?俊哉に「何か悪いことでもしてる?」なんて聞いてもYESなんて言う訳が無い。本人が知らないところで尻尾を捕まえなければ……。
出来るのだろうか?
浮気とかならまだしも、会社の中でこそこそやられていては尻尾掴むのは不可能だ。もちろん浮気なんかしてほしくないが。
いや、警察の世話になるような事は全般的にやってほしくはない。
そんな事を堂々巡りさせていると授業があっという間に終わってしまったのだ。
♢
そして、部活。
廉太郎は、剣道部員だった。中学生の時も剣道をやっていたから、その名残で高校生になっても剣道を続けた。道着を着て、汗臭い防具をつける。
素振りを行ったり、道場を走り回ったりで汗を流すも、頭の中はモヤモヤしっぱなしだった。
「廉太郎、どうしたんだよ?」
「え?」
長嶋が、動きにいつものキレがないと思い質問してきた。長嶋は廉太郎と同じ剣道部員で、毎日切磋琢磨する間柄だ。普段は中の良い悪友同士なのだが、剣道では5つしかないレギュラーの座を争うライバルなのだ。
「いや、何でもない」
「確かに長嶋の言う通り、今日の有川君は精彩を欠いている。心ここにあらずといった様子だな」
長嶋の後ろから、主将の近藤が現れた。
「いや、ちょっと気になることがあって……」
言葉を濁しながら、心情を吐露した。
「そうか。あまり背負い込まない方がいいぞ!」
近藤は廉太郎達と同じ二年生だ。既に三年生は引退しているため、剣道部は二年生が中心で活動している。
「ああ。わかってるよ」
廉太郎は、相手を心配させまいと首肯し、それを見た近藤もまた大きく首肯し、踵を返して向こうへ行ってしまった。
近藤の数字は7だった。
何となくその数字は腹に落ちた。
近藤は虫も殺さなそうだし、積極的に人助けもしている。この間、外をプラプラしている時に道行くおばあさんを助けているシーンに出くわした。
偉いな、なんてその時は他人事のように見ていたが……。
少しずつ、自分の考えが悪い方で決まりつつある。だから、あの近藤の数字を見て納得したのだ。
静かに首を振った。今は、部活に集中しなくては。目の前で心配そうに顔を覗き込んでくる長嶋にレギュラーを奪われてしまう。
気合を入れろ。
「すまん。続き、頑張ろう」
廉太郎はぎこちない笑顔を作って、素振りに戻った。
♢
2時間ばかりの練習を終え、着替えていると近藤が入り口に立ち、声を張った。
「着替えているところすまない。聞いてほしい。この学校の周りで不審な人物がうろついていると警察から注意喚起があった。まだ、日は出ていて明るいが十分に気をつけて帰ってほしい」
「え?噂じゃないのか?」
着替えている最中の部員が言った。
「いや。さっき学校に警察から連絡があったらしい」
「それで、さっきいなかったのか」
近藤の姿が見えないと、廉太郎は気にしていた。顧問に呼ばれ、部員に周知するように言われたのだろう。主将の勤めだ。
「だから、早くここを出て、寄り道せずに帰ろう」
近藤は注意をうながすように手をパンパンと鳴らし、自身も着替え始めた。そんな様子を見て、他の部員たちの着替えるスピードも上がる。制服に着替え終わると、めいめい道場を後にした。
「じゃあ、近藤。俺も帰るから」
奇しくもブービーになってしまった廉太郎は、戸締まりをお願いするつもりで近藤にそう声をかけた。
「ああ。じゃあ、戸締まりと電気を消すのはやっておくよ。また、明日な」
近藤が右手を上げて、別れの挨拶をしてきたので、それに倣う。
「無理はしないでくれよな。有川君」
踵を返して更衣室を出ようとした時、不意に近藤が口を開いた。
「あ、ああ。さっきも言ったけど大丈夫だよ。気になることがあるだけだ。学校のことじゃなくて家のことだから、皆には言えなくて……」
言葉を濁す。
「そうか。でも、言えることは何でも言ってくれよ」
右の頬を少し緩め、気取ったことを言う。近藤としては、気取ったセリフではなく本心なのだろうが、廉太郎には、こんな事が言える自分、かっこいいという自己陶酔の言葉にも聞こえた。しかし、穿った見方をするのも悪いだろうと思い、
「ああ。ありがとう」
とだけ言って、道場を後にした。
走っていけば長嶋に追いつけるだろうとふんで、廉太郎は走った。案の定、校門を出ていく長嶋の後姿を捉える。長嶋ぁ、と声を張ると、長嶋は後ろを振り向き、廉太郎が近づいてくるのを待った。
「お。追いついたか」
来ることを知っていたかのような口ぶりに
「ああ。まだ長嶋いるかなと思ってダッシュした」
はぁはぁぜぇぜぇ言いながら答えた。
「道場からここまでダッシュしただけでそんなに息切れしてんの?ヤバくない?」
苦言を呈される。
「体力無いんだなぁ。僕」
太陽の光が消えゆく空に、ほんの少しだけ自己主張し始めた月をあえぎながら、笑った。
「そんなんじゃ、次の大会も、俺が出るぜ?」
「負けてられないなぁ」
夕焼けと夜のグラデーションを眺めながら校門を出て、通りを歩く。学校の前は車二車線が通っており、その両サイドは歩道がある。その歩道を2人で歩きながら他愛のない談笑をする。学校から5分ほど歩いた所にT字路にたどり着いた。ここで、いつも長嶋と別れている。左右に曲がりお互いの帰路につくのだ。
「じゃあ、また明日な」
「おう。お前も気をつけろよ」
「え?何で?」
はぁと長嶋は大きくため息をした。
「お前、通り魔に気をつけろってさっき近藤が言ってたばっかりじゃないか」
「あっ!」
こんな重大な事を忘れていたとは、マヌケの至りだ。しかし、廉太郎がこのような心持であることも仕方がないともいえる。まだ、ニュースでもやっておらず、人の噂が独り歩きしている状態でしかない。ここで警戒しろと言われても無理もない。
「本当に大丈夫か?気を付けろよ……ったく」
本気なのか呆れているのか分からない声のトーン。
「あ、ああ。ごめん。昼間、生野が言ってたけどそっちも気を付けて。どっちかっていうと、この辺に住んでる方が危ないんだからさ」
電車通学の廉太郎よりも徒歩で通学している長嶋の方が危険度は上だ。そんな長嶋は、首肯し、左手を上げて
「じゃ!」
と言って踵を返して行ってしまった。長嶋の後ろ姿を見送り、彼が振り返らないことを悟ると廉太郎もまた、踵を返して帰路についた。
繁華街を通り、駅の改札を通り、電車に乗る。帰りも行きと同じで、ネットをしたりサイトを見たりで時間を潰す。自分の家がある駅につくと颯爽と降りて、住宅街を目指す。
駅から寄り道も回り道もせず、いつもの道を歩き、もうすぐ自分の家が見えるというところで一人の女性にあった。
この女性は廉太郎を昔から知る、堂島 楓である。
楓は病院から出てきた所で廉太郎の顔を見て驚いた。
「あら?レンちゃん!今帰り?」
「うん。姉さんも?」
「そうよ。一緒に帰ろ」
そう言って二人は肩を並べて人気の少ない住宅地を歩く。彼女は今出てきた建物の所有者つまり開業医で、この病院の名前は堂島医院といった。楓は若くして死んでしまった父の跡を継ぎ堂島医院を引き継いでいる。
何もなければ都内で大学病院で医者をやりたいと思っていたと、父の葬式で廉太郎に語っていた。
しかしながら、この堂島医院はこの住宅地にはなくてはならない存在になっており、生前の父親の功績もあるだろうが、やはり楓の力の方がこの病院の存在価値を高めているといっても過言ではない。
楓は長袖のブラウスと膝までの黒いスカートという出で立ちで暑いと右手を団扇にして扇いでいた。
「そりゃ、暑いでしょ。長袖着てるんだもん」
廉太郎は、対象的に半袖シャツの夏の制服を着ている。
「しょうがないでしょ。病院内はクーラーがものすごく効いてて寒いのよ。白衣着てても」
憤懣やるかたない顔をしているが、ノートに汗を垂らしながらクーラーの無い教室で授業を受ける廉太郎からするととても羨ましい、贅沢な悩みだった。
「変わってほしいよ。こっちは暑くて暑くて。ノートが波打ちそうだよ」
「あははは。大人と子供では悩みは違うものねぇ」
楓はからから笑った。
月の自己主張が先程よりも強くなった頃、堂島家の前に着いた。楓の家は廉太郎の家からはそう離れていない。
家からは美味しそうな匂いが漂ってきた。
「ん?今日は、カレー?」
「そうみたいね」
堂島家ではいつも母親が、ご飯を作っている。彼女の父が死亡してしまったため、楓と母親の二人暮らしをしている。廉太郎からするとおばさん、おばさんと慣れ親しんでいる存在だ。
「じゃあ、ここで」
廉太郎が右手を上げかけた時、待って、と楓が先程の和気あいあいとした笑顔から真面目くさった表情に変えて言った。
「え?何?」
「レンちゃんは聞いてる?」
「何を?」
「通り魔の事」
「うん。何か学校の周辺で出たんだって?でも、噂でしょ?テレビとかも言ってないじゃん」
「ううん。そうでもないわ。今日来た患者さんのお友達が、あの日、あの場所で救急車が止まってるのを見たって言ってたわ」
「え!?本当に?」
初耳だった。こうして知っている人の口からこのような音も葉もある噂を聞くと、今迄嘘くさかったことが一気に現実味をおびてそら恐ろしくなる。
しかも、楓は医者だ。その職業が持つ説得力といったらない。
「うん。レンちゃんすぐそこかもしれないけど、気をつけてね」
「うん。気を付けるよ」
廉太郎は、上げかけた右手をちゃんと上げて、じゃあ、と言って堂島家の前の道路を後にした。
廉太郎の姿が見えなくなるまで楓は、心配そうに廉太郎の後ろ姿を見ていた。
楓の言うとおり、廉太郎の家は5軒隣りにある。門扉の郵便受けに何か入ってないか確認した後、長いアプローチを通って家の中に入っていく。
「ただいまぁ」
玄関先でそういうと、ドタバタとリビングから人が走ってくる音が聞こえてきた。道子が心配そうな形相でリビングから、ぬっと顔だけ出した。
「あんた!大丈夫!?」
「え?何で?大丈夫だけど……?」
「今、ニュースでやってんのよ!」
そこまで聞いてピンと来た。
「あー、通り魔?」
「そう!それ!」
ニョキッと左手の人指で指してきた。あんまりにもその姿が滑稽で廉太郎は鼻で笑いながら、靴を脱いで階段に足をかけた。
「大丈夫だよ。今日は楓姉さんと途中まで帰ってきたし」
「あー、楓ちゃんと……」
得心のいった顔でうんうん頷いている。そんな道子をよそに階段を登り、自分の部屋にバッグやら制服やらを置いて、リビングへと向かった。
道子は、既に夕食をテーブルに並べる動作に移っていたようで、いくつかのおかずはテーブル上に並んでいる。廉太郎はそんな道子の邪魔にならないように冷蔵庫へ近づきお茶を取り出す。これまた、忙しなく動く道子の邪魔にならないように食器棚からガラスのコップを取り出して、右手に持ったお茶をその場で注いだ。
「生き返る」
高校からの暑い道中、一杯の水すら飲めないだから、お茶がうまく感じるのもやぶさかでないだろうし、大人がビールなんかを飲みたがる理由もこの時ばかりは理解できた。
「さ、食べるよ!」
廉太郎が生き返っている間に、配膳が終わり出し抜けにそう言われた。
「え?ああ……」
コップとお茶をテーブルに置いて、卓につく。今日はハンバーグ。流石に出来立ての熱さはないが、それでもほのかに温かい。
「いただきます」
二人声を合わせて食べ始める。父はいつもこの時間には帰ってこない。もう少し後だ。
「楓ちゃん、元気だった?」
テレビを見ながら食べていると道子が聞いてきた。
「うん。元気そうだったよ」
「私も最近、会ってないからねぇ。病院も行かないし」
有川家の人間は幸か不幸か、病院に厄介になることが非常に少ない。風も引かないし、怪我もしない。そういうこともあってか、なかなか楓に会うチャンスが無いのだ。
「あっ、ちょっと待って……」
道子は、いきなり立ち上がり、テレビの前に置いてあったリモコンを取り上げ、しきりにチャンネルを変え始めた。
やがてニュース番組が映ったところで手を止め、リモコンを戻した。
「何?ニュース番組が見たかったの?」
この時間は、バラエティ番組だらけでニュースをやっていることの方が貴重だ。朝はあんなにニュースばかり流しているのに。
「そうよ!通り魔の話が無いかと思ってぇ」
そう言いながら戻ってきた。
「次のニュースです」
前のニュースが終わり、次のニュースが始まった。
「本日午前11時頃、通行人に刃物で切りつけられたとして、110番通報がありました。場所は〇〇市、〇〇区で……」
「ほら!これ!アンタの学校の近所でしょ!?」
テレビには確かに学校周辺が映されている。その遠方には廉太郎の高校がおぼろげながら映っていた。昼間の映像だから、わざわざ撮りに来たのだろうか?
生野や楓が言っていたことは嘘ではなかった。
「被害に合われたのは二十代の女性で、犯人は黒のパーカーにジーンズ、スニーカーを履いており、手袋をしていたとのことてす。現在、通り魔の犯行と見て警察は調べを進めています」
キャスターはそれだけ報道すると、次のニュースへと移った。都心での犯行ではないから、小さく報道されたようだ。
「真っ昼間じゃん」
「そうなのよぉ。怖いわねぇ」
ハンバーグを咀嚼しながら頭を回転させる。白昼堂々の犯行、ということは学校の辺りの人通りの少なさを把握している人物である。実際にあの辺りは閑散としている。
「そういえばさ、この住宅街ってさ、カメラついてないんだっけ?監視カメラ」
廉太郎の問いかけに道子は、視線を天井に向けて、人差し指を唇に当ててう~ん、と唸った。
「ついてないはずよ。そういう話も出たんだけど、プライバシーの侵害!とか言ってつけなかったのよ。まあ、幸いこの近所では、犯罪無かったしね」
確かにこの界隈で殺人や傷害はおろか空き巣の被害も聞いたことは無かった。
「こうなっちゃうとカメラつけるとか、つけないとかの話になるんじゃない?」
今回の事件を受けて、カメラをつけるか、つけないかの議論は出るのではないだろうか?と思い聞いてみたが、母の顔には困ったという感情が露骨に出ている。
「なんか嫌なの?カメラつけるの」
「そりゃ、やっぱりプライバシーとかあるし、町内会費が上がるのよね」
さすがは主婦。有川家の財布の紐を握っているだけあって、一番の心配ごとは金だ。
「でもさ、僕とか父さんが刺されたりするよりかはいいじゃない?」
今はまだ、学校の周りの話かもしれないが、いつその凶刃がこの地にやってくるかは未知数なのだ。それに備えておくおことは無駄ではないはずだ。
防犯カメラは犯行の一部始終を捉えるだけでなく、抑止力にもなりえる。
「まあ、そうねぇ。別に家はそんなに家計は厳しくないんだけど……」
「じゃあ、いいじゃない」
「だけどねぇ……」
効果があるかどうか分からないものに金はかけたくないということだろうか。何とも感情の読めない顔で、でもねぇ、だけどねぇと繰り返す道子をよそに夕食を食べ終えた。
「ごちそうさま。父さんが帰ってくる前にお風呂入るよ」
そう言って、自室から下着を取ってきて脱衣所へ向かう。全て脱いでチラと鏡を見てみる。相も変わらず自分の頭上に数字が乗っていることを幸ととっていいのか、不幸ととっていいのかは今の自分には分からなかったが、ただ、その数値自体が変わっていないことは幸せなのかもしれなかった。
浴室に入り、身体を洗い、浴槽にその身を横たえる。
「ふぅ」
と年寄めいた一息が出て、天井を眺めた。薄い湯気が立ち込める天井。今日一日は色んな事があった気がする。
もちろんそんな気がするだけで、実際にはいつもとそう変わりはない。なのにこんなにも沢山の事があったような気になるのはこの頭の数字のせいだ。
ふとこんな訳のわからない状況にいつか慣れるのだろうかと心配がよぎる。人の頭の上に数字たちが跋扈している実情などとても慣れる気がしないが、それでも人の脳みそというのは都合がいいものだから、そんなものは物ともせず嫌でも慣れてしまうのだろう。
どうしてこんな事になってしまったのだろうか?
自問自答しても答えはもちろん見つからない。
そんな堂々巡りをしていると、うとうとと湯船の中で睡魔に襲われる。
「うわっ」
慌てて湯船から飛び出る。疲れているのだろう、あんまりお風呂の中で眠くなったりしないのだが……。
身体を拭いていると、玄関のドアか開く音がした。父、俊哉だろう。
「ただいまぁ」
と呑気な声が聞こえてきた。さっさとパジャマに着替えて、リビングへと向かい俊哉を出迎えた。
「おかえり」
そう言いながら、父の頭上を盗み見る。増えてはいない。だが、減ってもいない。父は一体、会社で何をやっているのか、聞いてみたくなる衝動に駆られるがぐっとこらえる。
「ただいま」
俊哉は、スーツを脱ぎに自室へと引っ込んでいった。その後ろ姿を見届けて、廉太郎も自室へと向かった。部屋の扉を閉めると、真っ暗なままでベッドに転がった。
自分の身体が鉛のように重く感じる。身体以上に頭を虐めて、疲れてしまったのだろう。瞼を閉じればこのまま眠れそうだ。
だが―
一つ頭を疑問がよぎった。
それは、通り魔の数字はいくつなのたろうか?ということだった。
帰り道一緒だった楓は10だった。楓は確か、今年で25歳だった筈。その年齢の割には低い気がする。やはり、医者を志すものは悪さはしないのだろうか、それとも正義の心が医者を志させるのだろうか、とそこまで考えた時、自分のあの数字は悪意の表れであるという前提で考察を進めていることに気づいた。
あの数字の信憑性は中々に高い気がする。低い人は皆納得がいく。近藤も楓も、実際、いい人だし、周りからの評判も悪くはない。
ならば、と考えてしまう。
ならば数字が、高い人たちはどうか?三島先輩は見た目通りだし、実際に警察沙汰にもなっているらしいし、何となく数字が、高いのも頷ける。
問題は父と愛華である。二人は特に波風立てるような人物達では無い。
なのに何故?
父も愛華も何かの間違いなのだ。自分のこの数字を把握する能力がポンコツなのだ。なぜこんなものが自分に芽生えたのだ。四六時中くっついてくる数字達。右を見ても左を見ても数字だらけで、唯一テレビに映る人達だけは出ないからそれだけが救いだ。
だからといってどうやって確かめればいいというのだろうか?二人に悪さしている?と聞くだけ野暮だというものだ。悪かろうが良かろうがちゃんと答えるわけがない。
どうやって答えを引き出すのか?
そんな事答えの出ないことを逡巡している内にいつの間にか廉太郎は眠ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます