長い夜

夜の病室で

ベッドのそばの椅子に座って

目を閉じた父の顔を見ていると

抑えていたはずの涙が溢れだして

マスクをびしょびしょにしてしまった


逝こうとしているひとを

見送る夜は長い

やすりをかけられているように

心がすり減っていく

それでもこれは耐えねばならない痛みだ


ごめんね

最後まで頼りない娘かもしれないけど

どれだけ泣いても見届けるから

おとうさんの人生の終幕を

わたし、ちゃんと見届けるから


見届けるから



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


◆ お別れは今夜でしょう、と言われて……。

 呼吸が浅くなっていく父の、それでもまだ温もりの残る手を、わたしと息子たちで、ずっと握っていました。



 ……長い長い、つらい夜でした。

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