第4話 寄り添わない二人

東京都千代田区

ソニー・ミュージックエンタテインメント

(以下略称SME)

第2応接室。


「いやー、コージさんさすがですよね。こちらから急遽お願いした、

女友達3人をさり気なく登場さるの抜群ですね。いやいや、

中々プロの作家さんでも出来ないですよ。すっごいスムーズですもん。」

(この後のことがあるから、褒め殺しするしかないなあ。)と担当の

高橋ユウトは心の中でつぶやいた。


「いやいや、それ程でもないですよ。他の作家さんでも出来ますよ。まあ、

もう少し早く言ってくれればもっといい展開も出来たんですけどね。。。。」

(そもそもお前が、無理やり設定追加したんだろ!でも、実は友達を

登場させたことでストーリーにメリハリがついて良くなったんだよなあ。

けど、黙っておこう。しょっちゅう追加させられるとかなわないからなあ。)


「コージさん、うーーーーーん、更にですね良くするというか、幅を広げるというかアイデアがあるんですよねえ。」


「いやー、このままでいいじゃないですかねえ。時間も無い様だし。」

(こいつ、また設定追加する気だ!無理だろ!!)


「その辺の締め切り時間については若干調整させていただいたので気に

しなくていいですよ。で、アイデアなんですけど女友達3人登場させて頂いているのですが、この中で未来さんがセリフがないというかあまり活躍してい

ないので少し、設定追加してほしいみたいな。。。」


「えー、設定追加ですか?セリフなんかはドラマの台本で返事とか適当に

追加すればいいんじゃないですかね。」

(そらそうだよ、人数併せて適当に名前つけただけだからなあ。何も

考えてないよ。)


「例えばですね、ターゲットのマサトの妹だったとか、店長の妹だったとか

少し設定を加えていただいて見せ場があるようにお願いしたいんですが、

少しでいいですよ。」

(主演女優のプロダクションのバーターだから、うるさいんだよなあ。

シニアマネージャーの星野さんがお願いベースで取ってきた案件だから

変にこじれるとSMEの今後に影響するからなあ。)


「いやいや、マサトの妹でドラッグの件知らないとなると大幅な

変更になりますし、店長の妹は意味不明だし、そもそも妹の設定

好きですね。ただ、厳しいなあ。」

(出た出た、後だしジャンケン。早よ言えよなあ。何かこの高橋、こいつ絶対仕事出来ない奴タイプだよなあ。担当変えてほしいなあ。)


「もちろん、コージさんが思いつく設定でOKです。で申し訳ないのですが

この場で、それとあと1時間以内でお願いします。」


「えっ、いちじか-------ん。無理ですよ。」


「タダでとは、いいません。monogataryのスポットライトで特別に

コージさんのインタビューを載せます。これはかなり露出があるので

上手くいけば色々なとこから声がかかってプロデビューに繋がる

かも。。。。」


「えっそうなんですかあ。まあ高橋さんがそこまで言うのなら、

やりますかあ。」


「じゃ、私席外しますので何かありましたら

携帯鳴らしてください。」と告げて高橋ユウトは自席に戻った。


SNS事業部に戻ったユウトは早速先輩のシローから声を掛けられた。


「ユウト、コージさん追加の件了承してくれたか?」


「ええ、スポットライトにインタビュー載せることを条件にOKもらいました。」


「えー、ユウト悪い奴やなあ。インタビューの件は元々決まってた話やん。

まあ、仕方ないなあ、星野さんが取ってきた案件やし、SMEとしては今後に

繋がるからなあ。ちょくちょくコージさん確認しとおきなあ。あと2時間やからなあ、最終締めまで。」


第5話につづく

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