第7話 バリアの発明

1.パリンと割れる光子力研究所のバリア

 敵からの攻撃を防御するために、人類はいろいろな防具を発明してきました。ギリシャでは紀元前5世紀の青銅器製の盾が見つかっており、木製や革製の盾はもっと古くから使われていたと思われます。


 盾のほかにも鎧や兜などが古くからあり、人間ではなく建物を守るための城塞も古代の遺跡から発掘されています。


 そんな盾や鎧、防壁ですが、外敵から守るメリットと引き換えにデメリットもあります。


 一つ目は重さです。中世の鎧兜一式を装備すると30キロ以上となり、騎士が移動するには馬が必須でした。


 二つ目は視界が狭くなることです。


 そして、三つ目は壊れると修理に費用や時間がかかることです。城塞の建設には多大な労力が必要で、江戸城の普請は徳川政権が地方の大名の力を削ぐために行った側面もあります。


 そんな防御機構に画期的な発明がなされたのが、1966年から放映されたウルトラマンで登場するバリアです。従来の盾や防壁が持っていた欠点を全て無くし、空中に鏡状の透明な物体が突如出現し、怪獣の出す光線を跳ね返します。


 なお、1961年に発刊された、ファンタスティック4のインビジブル・ウーマンのフォースフィールドがバリアの元祖のようなのですが、詳細な情報が得られませんでした。


 そして、1972年に放映されたマジンガーZに出てくる光子力研究所のバリアが、バリア界に強烈なインパクトを放ちました。


 マジンガーZの基地である光子力研究所は頻繁に敵に襲われますが、その時に研究所を守るのがバリアで、光線だけでなくミサイルや機械獣の侵入も防ぐことができます。つまり物理的な実体を持っており、敵の攻撃が激しくなるとパリンと割れます。このパリンと割れるバリアの演出が素晴らしく、散々ネタにされています。


 海外作品だと、キャプテンアメリカのヴィブラニウム製の盾が有名ですが、フォースフィールドを操るマーベル作品の一部メンバーを除き、バリアを使うキャラやロボットは少ないと思います。スーパーマンやワンダーウーマンなどは、わざわざバリアを張ることなしに無敵の肉体が敵の攻撃を防ぎます。


 なぜ、日本でこんなにバリヤーが発達したのがわかりませんが、個人的には光子力研究所のバリアの強烈なインパクトにより、バトルものにはバリアとバリアが破られる戦闘演出が必須だと、脳に刻み込まれているせいなのではないかと思っています。


 またバリアは全体を覆う膜状の物理的な物体を、シールドは一方向からの攻撃を防ぐ厚みのある物体、フォースフィールドは実体のない力場を指すことが多いですが、厳密な区別はありません。1991年に公開された「ガンダムF91」にはビームシールドという実体のないシールドが出てきます。


2.主なバリア

1961 ファンタスティック4 インビジブル・ウーマンのフォースフィールド

1966 ウルトラマン バリア

1972 マジンガーZ 光子力研究所のバリア(バリアを有名にした作品)

1977 ガイスラッガー ソロン号(レーザー用の光子バリヤーとミサイル用の磁力バリヤーがある。同時には使えず戦闘時にこまめに切り替える)

1982 超時空要塞マクロス ピンポイントバリア(船全体を覆うエネルギーがないため、ピンポイントでバリアを張り、敵の攻撃に応じてバリアーを張る場所をオペレーターがコントロールする)

1983 スターウォーズ/ジェダイの帰還 第二デススターの偏光シールド

1988 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア νガンダムを守るようにフィン・ファンネルがバリアを張る

2007 Yes!プリキュア5 キュアミントのミント・シールド(以後のプリキュアシリーズでは、メンバーの一人(盾キュア)がシールド技を使うことが多いです)

2012 宇宙戦艦ヤマト2199 波動防壁(ヤマト一隻でイスカンダルまで往復するのはさすがに無理があろうというツッコミに応えるためにオリジナル版には無かったバリアーを装備することにしたと思われる)

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