第3話 パワーアップアイテムの発明

1.ウルトラブレスレット

 ヒーローを強化するパワーアップアイテムのはしりは、1971年放映の帰ってきたウルトラマンのウルトラブレスレットでしょうか。怪獣に勝てないウルトラマンジャックに、ウルトラセブンがウルトラの国からウルトラブレスレットを渡しに来ます。その後、ウルトラブレスレットはいろいろな武器に変形して大活躍します。


 後のウルトラマンタロウでもキングブレスレットというパワーアップアイテムが登場しますが、昭和のウルトラシリーズではあまりパワーアップアイテムは登場しません。


 昭和の仮面ライダーシリーズでも、パワーアップアイテムはあまりなく、無理やり当てはめると、ライダーマンの人造アームや、仮面ライダーアマゾンのギギとガガの腕輪ぐらいです。安直にアイテムに頼るのではなく、強くなるためには自身の肉体を鍛えるべきだという思想があったのかもしれません。


2.パワーアップアイテムの定番化

 しかし、最近のヒーローものには、パワーアップアイテムがつきものです。定番化が受け入れられたきっかけは、RPGのヒットによるものだと思われます。


 1986年にドラクエが発売され、1988年にはドラクエIIIが大ヒットしました。RPGでは冒険の途中で強いアイテムを探して強くなることはデフォルトです。アイテム無しのRPGなど考えられません。RPGのヒットにより強力なアイテムを装備して強くなることは当たり前となり、作中で突然登場させても違和感が無くなったのでしょう。


 そして、何よりもパワーアップアイテムの存在が、日本のヒーロー作品を支えているといっても過言ではありません。


 つまり、


 途中で強い敵が出てきて倒せずに負ける。

 ↓

 パワーアップアイテム入手(新商品発売)

 ↓

 勝利

 ↓

 もっと、強い敵が出る。

 ↓

 更なるパワーアップアイテム入手(新商品発売)

 ↓

 勝利


というパターンが定番化しており、制作者、スポンサー、視聴者の三方得となっています。変身アイテムと同じく、パワーアップアイテム無しでは、スポンサー頼りの日本ではヒーロー作品を作る製作費を工面することは難しいでしょう。

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