第21pedia 家鳴り
「そろそろ寝ないといけませんね。さすがに遅くまでやりすぎました。」
「あっ、もうこんな時間!寝る準備しないとねー!」
時間は午前2時。
2人でゲームに没頭しており、寝るタイミングを逃してしまっていた様子。
「昨日は風がうるさくてなかなか寝付けませんでしたが、今日は静かですし、よく眠れそうですね。」
眠たそうに伸びをしながら
まだ眠くなさそうな
その時、家の隅の方から「バキッ」と大きな音が鳴った。
「ヒッ」
「もう時間も遅いですし、そろそろ…出てくる時間ですかね。」
「や、やめてよそういうの!!」
タイミングよく、部屋の電気が消え、真っ暗な部屋には、タブレットの明かりで真下から照らされた、
「日本には『
「…というのは本当の話ですが、今のはただの『
「あー…怖かったよー…。でもすごいタイミングで電気消えちゃったねー。」
「あ、電気は私がアプリで操作しました。便利な世の中ですよね。」
ミラーボールのようにもなるらしい。まるでゲーミング電気。
「…すみません。あまりにも怖がってくださるので、つい楽しくなってしまって。」
「
「あ、そこは大丈夫です。そもそも家鳴は、気温や湿度の変化によって、建材の収縮が起きた際や、建材の劣化が主な原因です。あとは地盤が緩かったり、風や地震が原因の自然のものですかね。」
「ほえー。じゃあ今ので、この家が縮んじゃったってこと?」
「その考えだといつか圧死しそうですね…。さすがに目に見えるほど縮んだりはしません。木造の場合は、木材が水分を含んで膨張することもありますので、建材の状態の変化によって起きる、というのが正しいかもしれませんね。」
「どうかされましたか?」
「や、さっき
「童話の世界ですか…?一般的には木造か鉄筋コンクリートかと思われますが…。」
「あっ…そうだよね!で、鉄筋コンクリートも縮むの?あんなに硬いのに?」
「そうですね。コンクリートがもともと水分を含んでいるので、乾燥して収縮することがありますし、もっと言うと、鉄骨なども乾燥ではなく、温度によって収縮することもあります。」
「ほえー。自然の力ってスゴイなー。」
少し話をしていると眠くなってきたのか、
「話し込みすぎましたね。そろそろ寝ますか。」
「えーと…やっぱり怖いから、もうちょっとお話しない?」
「せっかくですから、家鳴についてもう少し。先ほど、『いわくつきの家が――』というお話がありましたが、実は建材が馴染んでいない新築の方が、家鳴は多かったりします。あとは深夜帯、外と部屋の温度や湿度差が激しいと起きやすかったり――」
その日は2人して、いつもより少しだけ夜更かしをしたそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます