第14pedia 初詣

瑠仔るこちゃん、やっほー!あけおめ!」

知依ちよちゃん、よみちゃん、あけおめえー。ことよろおー。」

瑠仔るこさん、あけましておめでとうございます。」


初詣に来た3人。各々挨拶を済ませると、知依ちよが突然、説明口調で語り始めた。


「初詣とは、年が明けてから初めて、神社や寺院などに参拝する行事です!一年の感謝をささげたり、新年の無事と平安を祈願したりするものです!」

「ってここに書いてあるねえー。」

「ああん。瑠仔るこちゃん、ネタばらしが早いよー…」

「珍しいこともあることだと思いましたが、そういうことでしたか。」


和気あいあいとしながら、参拝をする3人。

よみ知依ちよは一足先に済んだので、脇に逸れて瑠仔るこを待っていたが、なかなか帰ってこない。

知依ちよが何かに気づいた様子で、参拝中の瑠仔るこを指さしながら言った。


「もしかして、瑠仔るこちゃん寝てない?」

「えっ、ほんとですね。連れ戻してきます…」


よみは急いで、拝みながら寝てしまっている瑠仔るこを回収しに向かった。


よみちゃんおかえり!瑠仔るこちゃんおはよう!」

「おはよおー。初夢には富士と鷹と茄子がでてきたよおー。」

「参拝中に寝ないでください。あとそれ、ほんとに夢ですか?そこの社務所のものではないですか?」

「んー、どっちだろうねえー。」

「あ!おみくじがある!いこう!」


知依ちよに連れられ、社務所前の行列に並ぶ。

列に並んでいる間に、よみ知依ちよに尋ねた。


「今日は『どうして?どうして?』って言わないんですね。いろいろ引っかかることがありそうですのに。」

「んー、お正月休みかなと思って!」

よみちゃん、お正月休みなのおー?じゃあ夢視ゆめみさんが答えてあげよおー。」


瑠仔るこが自慢げ――だが、いつも通り眠そうな表情でそういうと、知依ちよは疑問を投げかけた。


「じゃあじゃあ、さっきの初夢の富士と鷹と茄子!どうしてこの3つなの?」

「それは諸説ありますよね。語呂合わせで『無事』『高い』『成す』とするだとか――」

「あー、お正月休みさんはそこまででいいよおー。続きはこの夢視ゆめみさんが教えてあげよおー。」


よみは、「お正月休みさんって…」と言いつつしぶしぶ引き下がり、瑠仔るこに続きを託した。


「あとは、このことわざが出てきた頃が江戸時代ってこともあって、徳川家康とか駿河国由来の説が多いねえー。家康の好物とか、駿河国の名物とか、駿河国の高価なものとか、いろいろあるよおー。」

「ほえー。家康とか国がどうこうとかあんまりピンと来ないから、わたしは語呂合わせが好きかな!」


そんな話をしている間に、おみくじの順番が回ってきた。

それぞれおみくじを引き、結果を確認する。


「わたしは中吉!|よみちゃんは?」

「私は吉ですね。こういうのって最後の人が凶のパターンが多いですが、瑠仔るこさんはいかがですか?」

「私はねえー。残念ながら大吉なのおー。」

「いいなー!」


よみは少し残念そうにしたが、こう続けた。


「おみくじは中身が大事といいますしね。」

「あれえー?初訊ういきさん、負け惜しみですかあー?」

「煽らないでください…。じ、実際運勢よりも、中身を見てどう受け止め、行動するかが大事といいますし!」

「ま、そうなんだけどねえー。中身読んでみよおー。」


瑠仔るこよみをいじっている間に、知依ちよは考え事をしていた様子で、首をかしげながら問いかける。


「吉と中吉って、中吉の方が上だよね?」

「それは場所によりますね。ここは大吉→中吉→小吉→吉→末吉→凶だそうです。場所によっては平、大凶などが加わったり、大吉の次が基地だったりします。」

「最近は凶が入ってないところもあるみたいだねえー。」

「えっ、出たら悲しくなるけど、凶がないのもそれはそれでやだなー。」


そういいながら知依ちよは少し考え、はっとした様子で続けた。


「じゃあわたし、よみちゃんより上だね!」

「うんうん。そうだねえー。よみちゃんは凶に片足突っ込んでるようなもんだよおー。」


よみは我慢ならない様子で、おみくじを2人に突き付けながら声を上げた。


「大事なのは運勢ではなく中身ですから!!」


それの様子を見ながら瑠仔るこは「帰ってからみんなで見ようねえ―。」と再びよみを諭す。

それから3人は帰路に就いた。

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