第9pedia お鍋料理
「ピンポーン」
インターホンが鳴る。
「闇鍋しよおー。」
扉を開けると、食材が入っているであろうエコバッグを掲げる
「イヤです。おかえりください。」
「お邪魔しまあーす。」
「なっ…すばしっこいですね…」
「あ、
「今日はお鍋を作りに来たよおー。」
「お鍋!冬といえばだね!何鍋にするの?」
「闇鍋はしませんよ!?」
彼女は、少し大きな声をあげてしまったことに恥じらう様子で、小さく咳払いをしてから続けた。
「第一、うちにカセットコンロも電気鍋もないですし。」
「あ、それならねえー――」
「ピンポーン」
タイミングよくインターホンが鳴る。
「
「うんうん。開けてみてえー。」
「お鍋だ!これでお鍋できるね!」
「闇鍋じゃなければ…」
「闇鍋なんてやだなあー。ちゃんと食べられるお鍋だよおー。野菜とお肉しか持ってきてないんだけどねえー。」
そういいながら、
「闇鍋のことは置いておいてえー。
「わたしは最近、トマト鍋が好きだよ!シメのリゾットがすっごくおいしいの!」
「いいねえー。トマト鍋。
「闇鍋好きな人なんているんですか…私は豆乳鍋が好きです。で、これは何鍋になるんですか?」
「2人にお鍋の素を買ってきてもらおうと思ってるのおー。私は何鍋でもいいからあー。」
「ええっ。まあこれから年末年始分の買い出しをしないといけませんし、構いませんが…」
「ま、まだ寝ないでください。今回、ろくな話してないですよ、まだ。私たちが買い出しに行っている間に、寝ててもかまいませんから。」
「うーん…じゃーお鍋とは何か説明するよおー。」
「入りが雑すぎませんか…でも、説明していただけるなら、お願いします。」
「お鍋――といっても、調理器具じゃなくて、一般的な食べ物のお鍋のことを、正確には『鍋料理』っていうねえー。知っての通りだけど、食材を食器に移さないで、調理に使ったお鍋に入れたまま、食卓に出してつつくようなものを『鍋料理』って呼ぶよおー。」
「鍋料理の始まりは、縄文時代。食べ物を入れた土器を火にかけて、調理する文化がありました。その頃は調理後に取り分けて、食事をとっていたようですが、現在の『お鍋』のように1つの鍋を囲むスタイルの起源は、江戸時代~明治時代に長崎で普及した『
「調べて!って言われてないのにいー。」
「べ、別にいいじゃないですか!いつもやってることですし。」
「それだと、すき焼きとかおでんも『お鍋』になるの?」
少し前まで、考え事をしていた
2人は、はっとした様子で
「そうだねえー。『お鍋』っていうイメージはないけど、分類上はそうなるねえー。」
「ほえー。そうなると、海外にも『鍋料理』って呼べるものはありそう。」
「イタリアのバーニャカウダ、中国の火鍋、タイのトムヤムクンなどは似たようなものですかね。」
「キムチ鍋にしよう!火鍋とかトムヤムクンとか聞いたら、辛いもの食べたくなった!」
「いいですね。キムチ鍋。今日は特に寒いですし。」
「ちなみにいー」と
「闇鍋の起源は、平安時代の『
「闇鍋はしませんから!!」
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