ヤンデレお嬢様「そんなに言うなら確かめてみましょう?」

(ドアの開く音)


あら、もう起きてたのね。


いつもは私が朝早くに、いつも通りの愛し方で起こして差し上げましたのに。


ところで、具合はどうかしら。


……汚い言葉を吐けるくらいなら、重畳ですわ。


ほら、朝ご飯です。


これ、あなたが好きなものでしょう?


今日も、あなたの愛しの私が、口移しで食べさせてあげますわ。手は縛られていて使えないのだから光栄に思いなさい。


はむ………ん…………


はむ……はむ……ん……


おいしい? おいしいわよね。


……そう、あなたの一部は私のカラダで出来ているのに、あなたの心はまだ抵抗してるのね。


……あなたは強いわね。


知っていますわ。あなたのことならなんでも。


……知った口をきくな、ですって?


あら、あなたは私が何も知らないと?


なら、言ってみなさい。


……ふーん、俺には友達がいる、彼女がいる、と。


だからきっと、助けに来てくれる、と。


……ふふふっ、んふふふふふふっ……


そぉーんなもの、来るならもうとっくの昔に来ているはずですわ。


おとぎ話やアニメの世界みたいに、あなたを気に掛ける方なんて、もう、いらっしゃらないのよ?


……そう。


「でも、でも、」と言う割には、声が可愛く小さくなってらっしゃいますわね。


よろしいですわ。


では、すぐにでも学校に行きましょう?


……どうしましたの? キョトンとした顔をして。


私の気が変わって、あなたを解放してあげるなんてことはなくてよ。


もちろん、あなたには首輪をして、私の手と、あなたの手を、しっかりと手錠で繋いで、ですわ。


(場面転換、元いた教室)


あら、意味のない授業中、お邪魔いたしますわ。


この通り、行方不明だったはずの方が、ここに私とつながれていますわ。


誰か、私をどうにかして、この方を助けてあげる勇気のある方はおりませんの?


今なら私は無防備ですわよ?


……あら、だれもいらっしゃらない?


下等生物が、一様に同じ顔、同じ態度を取らなくてもいいのではなくて?


……ほら、そこのは"元"親友ではなくて?


あはははっ、そこでただずっと見てるだけの方が、あなたの親友ですの?


では、もう一人……本命の、あなたの"元"カノジョさまにお尋ねしましょ?


そこのメス、チャンスをあげますから、この方とキスなさい。


そうすれば、この方はあなたとすぐにでも結ばれるし、開放して差し上げますわよ?


(数秒待っても、動かず)


……あらぁ?


ただ、うつむいているだけ?


いいでしょう……私たちから近づいて差し上げます。


(椅子を蹴飛ばし、逃げていく音)


……あら、逃げて、しまわれた…………


うふふふふふふっっ、あはははははは!


これは、とっても…………とぉーっても愉快ですわぁ!


(次々に逃げていく)


あら、あなたのご友人がた…………みぃんないなくなってしまいましたよ?


(囁き)みぃんな、みぃーんな……。


うふふ、どちらをみていらっしゃるの? そんな、虚空を見つめて。


「なんで?なんで?」って……


理由なんかなくても、こうしてあなたから皆さんは逃げてしまいましたわ。


そんな、薄情な方たちなのですよ、あなたが頼りにしていたのは……。


でも……。


(囁き)私はここにいますわ。私はここに、あなたのそばに……。


これでお分かりかしら……?


もう、あなたを愛してあげられるのは私だけ、


こうして、この広い教室の中で、私だけなのですわ。


一生、一緒にいましょ?


私に体を預けて……そう、こんな風に、私だけがあなたを支えてあげられる。


あら、涙が……よっぽど、嬉しいのですね。


(囁き)私もうれしいですわ。名実ともにあなたが理解して、こうして私を頼ってくださって。


(囁き)もう、これで私のものですわ……ね♪

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る