第2話
「幽霊ホテル?
面白そうじゃないかぁ」
しぶしぶ打ち明ける彼に、同期は楽しそうに言う。
「じゃあ…オレも一緒に行こう。
ついでにみんなで、見て来ようぜ!」
この人は、こんな状態の恭介を、1人にはしておけない…と思ったのだ。
「えっ、いいの?」
思わず聞くと
「そんな面白そうなトコ…
おまえ1人で行くなんて、ずるいぞ!
本心なのか、そうでないのか…よくわからない口調で、橋本はそう言った。
「すまない」
きっとみじめったらしい自分のことを、同情しているのだ…
そう感じて、恭介は自分のことを不甲斐なく思う。
そんな彼の様子に気付くと、橋本はポンポンと恭介の肩をたたく。
「誰建てそうさ!
いきなり彼女に逃げられたら、仕事だって手にもつかなくなるさ」
優しい一言に、恭介は信じられない思いでいっぱいだ。
「そうだ!霊感の強いアイツも連れて行こう。
アイツなら、何か感じるかも」
勝手に盛り上がる同期を見て、気が重かった仕事だけれども、少し気が楽になる。
「こんなの、1人で行くよりも、みんなで行った方がいいんだ。
例えガセだったとしても、みんなと一緒の方が、気が楽だろ?」
本気なのか、どうなのか。
ただの同情としても、恭介の心が動いた。
「そうだな」
そうボソリと言うと
「よし、これで決まりだ!
調整はまかせてくれ」
そう言うと、さっさと廊下を歩いて行った。
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