第3章 真・異世界決戦編 サメ&地球VS魔道帝国マジック・モンス
第38話 敵対!!! 新ロボットは政府の犬!!!
『……』
「よし、メイガス・ナイトをやってやったぜ。片腕でも余裕だな」
「アンタ、片腕でよくやるわねぇ」
「でもお前がいなかったら苦戦してると思うぞ」
「どうかしら?」
俺達は現れたメイガス・ナイト数体を、雑談しながら片手間に倒した。
魔怪獣もいたのだが、小さかったためにキズナが対処している。すでに全滅させた頃だろうか。
「なーんか歯ごたえ無いわね。もっとこう、骨のある奴はいないのかしら」
「例えば?」
「んー……強いて言うなら、もっと賢くて必死な相手を一方的に下してやりたいわね」
「マジック・モンスの連中は馬鹿で根性無しって訳か。事実だけど」
仮にも軍人なのにな。何か今一歩、ノータリンな奴しかいない。
もしかしてマジック・モンスって、上がワンマンでやってるんじゃないかな。それか、無能だらけでも回る仕組みがあるか。魔法があるし、出来なくはなさそうだな。
いや、脳筋気味だったが、ヴィクセントなんていうえげつない技量を持った奴もいたし……あんまり侮るのは良くないな。
愚弄しつつ、本気で叩き潰すくらいがちょうどいい。
「お? 魔怪獣のおかわりか」
「けど、ちっさいわね。シャークウェポンなら踏み潰すだけで終わりそう」
光の粒子から現れたのは、70メートルくらいある、二足歩行のコウモリっぽい奴だった。可愛くはない。
大体25メートルのメイガス・ナイトの後釜にしてはデカい。
「メイガス・ナイトの中身よりは賢くて根性ありそうだが……」
「ならしょうがないわ。あんなのでも報酬にはなるからね!」
そう言って、アルルカンはシャークウェポンを操作し、
このソードオフ・ショットガンこそ、シャークウェポンの新たな武装である。効果は、デカいショットガンだ。
しかもダブルバレルで世紀末仕様。多分アルルカンの趣味だ。
ただし、散弾の癖に結構な遠距離から発射されても、メイガス・ナイトを粉砕する程度には強力。
だけど、俺はポンプアクション式のも好きなんだよな。
「よく狙えよ? 弾だって有限なんだからよ」
「誰に言ってんのよ。ここにいるのは世紀末の覇者、アルルカン・オーギュスト様よ?」
「お前いつの間に……」
どっちかというとジ〇ギなんだよなぁ。それに世紀末でもないし。
「さあ、中身ぜーんぶブチ
「どうした?」
「アレ見なさいよ、アレ」
「アレ……? 何だありゃ?」
アルルカンが指差す方向を見る。
そこには、ロボットが、こっちに向かってきているところだった。大きさは……な、80メートルくらい。デカいな。
「何だあのロボットは? なぁ、博士から何か聞いてるか?」
「いえ……特に無いわね。でも、連絡が無いってことは、撃墜してもいいってことじゃないかしら」
「野蛮人かぁ?」
「世紀末覇王だから」
まだその設定続けるのか。
アルルカンは、ショットガンをロボットの方に向けた。
マジで破壊する気じゃないだろうな。
「おい……」
「念のためよ。アンタは博士に連絡なりしなさいな」
そう言われたので、俺は本間博士に確認を取ることにした。
マジで何も事前連絡とか無かったので、俺も気になっている。
「博士、聞こえま――」
『連絡が遅れてすまん! 今、そっちにロボットが見えるか!?』
「は、はい!」
『そいつは政府の中の馬鹿が、今回の戦闘に無理矢理ねじ込みおった新型兵器じゃ!!!』
「新型兵器」
『お前達が手柄を上げ過ぎるのに危機感を覚えた馬鹿の命令でここにやってきたのじゃ!!! 勿論そいつは対処したが、そいつは止められん!!! 壊してしまえ!!!』
「ええ? 無人機なんです?」
『パイロット入りじゃ!!! いけ好かんエリートのな!!!』
「えぇ……」
俺は、そのロボットを見た。
手に持った武骨な剣で、コウモリモドキをざっくりと斬り裂いた所だった。
しかし、コウモリもまだ生きているようで、取っ組み合いが続いている。
「なぁ……どうするよ?」
「どうするって言っても、見ててもあんまり面白味も無いし……」
アルルカンは、シャークウェポンを座らせた。
そして、鋼鉄の指先で近くにいたマジック・モンス兵をプチプチと潰して遊び始めた。
ナチュラルに行われた残酷過ぎる、遊びと呼ぶのも
「お前なぁ……」
「どうせこいつらも同じことやるわよ、地球人見下してるというか、同じ人間とも思ってないし。なら先手でやった方が地球のためよ」
まあ、捕縛した兵士の中には、とんでもなく酷いのもいた。そういう奴は即刻処理されていたが。
それを見た立場からすれば、奴らがやるかやらないかで言えば、やる方だと確信している。
レブリガーさんやヴィクセントはかなりの上澄みだったようで、マジック・モンスの人材不足が心配になる。
無能揃いでもむしろ都合がいいというのも事実だが。
「おー、苦戦してんなぁ。動きが固い」
「パイロットエアプなんでしょ」
「経験した奴いんのかよ……あ、倒した」
「漁夫の利狙っちゃう?」
「デッケぇ魚だなぁ」
ロボットは、コウモリを両断したようだ。
あのコウモリレベルの魔怪獣なら、今の俺達なら一瞬で終わったという確信がある。
いや、初心者と比べるのは良くないと分かってるが。
「通信してみるか?」
「そうね。先輩として祝電の1つくらい送ってやりましょ」
俺は、向こうのロボットと通信を繋いだ。
シャークウェポンの通信機なら、ロックオンして適当にやったら通信を繋げるのだ。
「あー、こちらシャークウェポン。初陣での勝利おめでとうございます」
一応通信した。この祝電? は本心からだ。後輩が増えるのは嬉しい。
しかし、博士はいけ好かないエリートとか言ってたが。俺みたいな民間からの叩き上げとは違う、専門の訓練を受けている可能性が高い。
……民間の叩き上げパイロットとか末期か? ジ〇ンでもまだマシだったはずだ。
アルルカンは興味が無いようで、引き続き兵士を潰している。
周りにいた奴を全部捕まえて、1人ずつ殺しているらしい。まさに外道。
『……誉め言葉として受け取っておきましょう。私からも言いたいことがあります』
「言いたいこと?」
まだ年若いだろう、女性の声だった。
心なしか高圧的で、キツい性格してそう。
『単刀直入に言います。そのロボットを我々に引き渡しなさい。
「何を言ってるんだ?」
いかん、思わず素が出てしまった。
え、待てよ。いきなりすぎて訳が分からない。
「どういうことです?」
『分かりませんか? 自分が危険な力を振り回している……いえ、力に振り回されていることに』
「酷い言われようだな、事実だけど」
『その力を野放しにできるわけがない。我々にはそれを管理する義務があります』
まあ、政府としては、こんな暴力装置を放置したくはないわな。
それで没収しようとするのは分かるんだが……シャークウェポンに乗れる奴なんているのか?
俺は奇跡的に大丈夫だったが、徐々にサメと化していくなんて、常人なら発狂すると思うんだが。
コウモリ1匹に苦戦してる程度では、ロサンゼルスで
正直、ロサンゼルス戦メンバーに匹敵する技量を持ったパイロットが存在するとは思えない……いや、キズナみたいな野良の天才は別として。
「いや、でもシャークウェポンって一応、博士の私物なんで……」
「あーそれね、実はアンタとアタシ、そして博士の共有財産扱いみたいよ」
「えっ!? マジで!? じゃあ渡す必要ないじゃん」
「そうよ。こんな楽しい玩具をみすみす明け渡してなるもんですか」
『あなた達の意見は聞いていません。これは上の決定事項です。そもそも、あなた達のように品の無い野蛮な輩に、降って湧いた絶大な力が制御できるはずもない』
まるで見下したような言い方だ。
勿論、滅茶苦茶ムカついてる。だから挑発するんだ!
「いいんですか? コウモリに苦戦するような連中に渡しても。宝の持ち腐れが関の山ですよ」
「何もせずに椅子に座ってふんぞり返ってる奴らに決定権なんてあったの?」
『何とでも言いなさい。どちらにせよ、捕虜の人命を軽視する輩、それも自分を無敵と勘違いした思春期の子どもに危険物を渡したままではいられない』
「捕虜ォ~? 捕虜なんてどこにいるのかしら……っと!」
アルルカンは、シャークウェポンの
しかし、正論で耳が痛いと言おうとした所で、アルルカンがヤバい凶行に走ったので、マジで何も言えなくなってしまった。
でも、この女の言い方も何かムカつくし、どうでもいいや。
「こいつらは害獣よ。地球を荒らしに来る蛆虫以下の存在! だから何匹殺してもいいの」
「異世界間での条約とかも無いしな。そもそもこいつら、地球人を人間とも思ってないし」
『……最後の通告です。これ以上は公務執行妨害と見なしますが』
目の前のロボットが、剣を構える。
体格差で押し切れると思っているのだろうが……シャークウェポンと俺達なら、そうはいかない。
ロサンゼルスでデカい魔怪獣を腐る程殺してきたんだ、今更デカいロボットが何だ。
「どうせアンタもこうなることを望んでたんだろ!? どうなんだ、えーっ!?」
「気に入らない奴を暴力で従わせるせるのはさぞ気持ちいいでしょうねぇ!!!」
『このっ……野蛮人共が……!!!』
暴力VS暴力!!!
品行方正からは最も遠い戦いが今始まる!!!
――――――――――
【エッジ・ホッグ】体型:四足歩行 身長:15メートル 分類:哺乳類
・トゲの代わりに刃を背負ったハリネズミ。
その刃の鋭さは折り紙付きで、並の魔怪獣では大怪我を負う。
身体を丸めることで防御形態に移行することで、鉄壁の守りを得る。ただし、魔法攻撃と遠距離攻撃に弱い。
普段は地面に潜って暮らしている。
『これで転がるのが嫌ですね』
『魔獣舎(飼育するところ)が穴だらけだ』
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