第39話 誘いパリィ
『お前達よ、気を付けるのじゃ!』
「博士」
「どうしたのよ急に」
いざ殴り合おうという時に、本間博士から通信が入った。
博士はあのロボットに関して何か知っているのだろう。
『そのロボットは、わしを学会から追放した
「その人が作った? その人も天才なんです?」
『ふん! 才能は認めるが、マジック・モンスとの和平などと抜かす
人のことをさも、幼少期から戦いしか知らない殺戮マシーンみたいに言わないでもらおうか。
それは多分アルルカンのことだ。
「取りあえず、お前に任せるよ。見栄え重視の派手なアクションで分からせるんだ」
「任されたわ!」
「え、銃捨てるの?」
向こうのはやたら角ばった、重厚なロボットだが、動きは早めだ。
そんなロボットに、アルルカンはショットガンを放り投げ、真正面から突っ込んで行く。
『やはり無能な子どものようですね、わざわざ武器を捨てて向かってくるなど……何!?』
「無能はどっちかしらね? 無策と決めつけるなんて」
胴体を狙って、真横に振られた剣を、ジャンプで回避する。
シャークウェポン機動性を
「どこ狙ってんの~?」
『くっ! この……!?』
「すっとろいわねぇ、こんなのがエリートなの?」
剣の上に乗ったり、腕を足場にしたりと、曲芸じみた動きをするアルルカン。
30メートル以上離れた体格差が
『馬鹿にしているのですか!?』
「そう思う? なら正々堂々と戦ってあげる」
『何を考えて……うっ!?』
ロボットの剣を、シャークウェポンの腕に存在するブレード『フカヒレザー』によってはじき返す。
「ほら、狙いはここよ? まさかコックピットに当てるつもりじゃないでしょ。政府の犬が人殺しなんて酷いことしないわよねぇ〜? それとも来ないの? 来ないならこっちから行くわよ」
『
「はいパリィ」
迫りくる剣だったが、振るわれた直後に放たれた
実はアルルカンは、放り捨てたショットガンの近くまで戦いながらロボットを誘導し、素早く脚で拾い上げたのだ。
そして勿論、大きな隙を見逃すアルルカンではない。
「
『きゃあっ!?』
「流石だなぁ」
重厚な見た目で、それに違わない装甲を備えていたようだが、シャークウェポンを相手取るには不足していたようだ。
「あら? 大当たりね!」
突き刺した右手で適当に掴んだものを引っ張り出したらしいが、見事にエンジンらしきものを引き抜いていた。
動力源を奪われたロボットは、そのまま力を失い、倒れ伏した。
「このエンジン? どうする?」
「喰えばいいんじゃね?」
「それもそうね!」
シャークウェポンの胸の口に、動力源を放り込む。
すると、バリバリと豪快な音を立てて
「んで、このスクラップどうしましょ」
「博士、どうします?」
『放っておけ。後で回収に来る』
「ウっス」
やることがなくなったので、どうするかと考えていると、アンドロマリウスがこちらに手を振っているのに気づいた。
相変わらず傷一つなく、無傷で勝利を収めたことは想像に難くない。俺も手を振り返しておく。
「おー? 何かヘリとかトラックがいっぱいだ」
「ここでいきなり怪光線とか撃ったら面白そうね。ミサイルポッドで脅しちゃお」
「ほどほどにな……絶対撃つなよ!?」
「分かってるるってば」
ガシャガシャとミサイルポッドを出し入れする度に、ヘリやトラックの間に緊張が走る。
そして、恐る恐るロボットに近づき、回収するために作業をしていた。
「おい、もうそろそろやめとけ。暴走するかもしれん」
「毎度思うんだけど、この暴走って何のためについてるのかしら?」
「システム上の欠陥だろ……よっ」
俺は暴走の手ごたえを感じた瞬間、赤いレバーを引く。
エネルギーが無くても勝手に動くので、マジで油断ならない。
「右腕どうすっかなぁ」
「博士に言えば?」
「それしかないよなぁ」
未だ折れたままの右腕をブラブラと揺らしながら、俺は頭の中でこれからの大まかな予定を組んだ……
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