第28話 今こそ合体技発動!!! ロサンゼルスが吹っ飛んだ!!!


 「ああっ! シャークトルネードが竜巻に吸い込まれたぁっ!!!」


 シャークトルネードまでもを吸収し、更に巨大化する竜巻。

 魔怪獣のものと思われる肉片や身体のパーツが中で回っているので、超グロテスクだ。


 「ならミサイルは? 爆風ならどう?」

 「やってみよう」


 いくつかのジョーズミサイルが、竜巻に向けて発射された。

 しかし、ミサイルは爆発せず不発に終わり、竜巻に巻き込まれてしまったようだ。まさにシャークネード……


 「まさか敵にその手を使われるとは思ってなかった」

 「その手ってどの手よ」

 「お前は知ってるかどうか分からんがな、世の中にはサメが竜巻に乗って人を襲う映画があるんだよ」

 「何それ? クソ映画?」

 「クソ……ではないと個人的には思ってる。これでクソなら、クソを超えたクソがまだわんさかあるからな。んー、口で言うのは難しいなぁ……家にDVDあるから貸そうか?」

 「いや……いいわ……」

 「そう……」


 まあ、サメ映画なんて見るような奴とは思えないしな。スプラッター映画見てそう……サメ映画にもスプラッター要素はあるんだぞ!!!


 『先輩、あの竜巻には、生半可な攻撃じゃあダメっぽいぜ! 一発、ドカンどデケぇのをかましてやらないと!』

 「じゃあ、そのデカいのはどうやってかますのよ?」

 『そのためには……戦略的撤退だ!!! 先輩達も来てくれ!!!』


 キズナは、軽やかにビルを蹴りながら去って行った。


 「何か考えがあるみたいね。アタシ達も徹底しましょ。ハイヨー!!!」

 『ヒヒヒヒーンッッッ!!!』


 アルルカンが手綱を引き、馬を走らせた。

 向かう先は、皆のいるところだ。すでに、マックさん達が寄り集まっていた。

 彼らの周りには、大量の魔怪獣がいた。どうやら、追い詰められているようだ。


 「マックさん! 加勢します!」

 『タイガーシャーク! ありがとう!』

 「シャークウェポンよりデカいのに……随分と脆いのね? まあいいわ。ハイヨー!!!」

 『ヒヒーン!!!』

 『ギィィィィ!?』


 今にもヒュージ・ジャンクの装甲をブチ抜けそうな形状の手を持った魔怪獣を、さっくりと殺す。

 返す刀で、少し離れている場所の魔怪獣を、数匹まとめて斬り殺した。さらに、遠く離れた場所の奴は、事故防止のため出力をしぼった怪光線を連続して放つことで対応した。


 「うわ、あれってもしかしてブラストウェーブ? ほぼ半壊してるじゃない……」

 「デビッドソンさん!!! 大丈夫ですか!!!」

 『わ、私なら無事です。しかし、数が多すぎます!』


 骨組みが丸見えのブラストウェーブが、大量の弾を吐く。しかし、あれではパイロットに排熱が当たるのでは?

 取りあえず、爆発で死ななかったり、抜けてきた奴を優先的に狙う。


 「メガロポリスは……」

 「ありゃ、ダメだな。助けないと」

 「気色悪いからさっさと終わらせちゃいましょ」


 メガロポリスには、大量の魔怪獣がへばりついており、身動きの取れる状態ではなかった。

 今助けた2人と、キズナもそろって、張り付いた魔怪獣を一匹一匹丁寧に殺していく。そうして、ようやくメガロポリスが見えてきたが、そのボディーは傷だらけだった。


 3人に群がる魔怪獣は、全て片付けた。

 残りはまばらに点在しているようだが、それはラリマーさんとオブリビオンによって狩り尽くされようとしていた。


 「やっと一息つける……とはならないんだな」

 「まだ、あの竜巻が残ってるし……はぁ!? 嘘でしょ!?」

 「ちょ、危ねっ!?」

 『ヒヒィィィィン!?』


 アルルカンが、急いで回避を取った。

 何故なら、あの竜巻から無数の光線が放たれたからだ。


 「……当たったらヤバい、なんてものじゃないわね」


 それらは、命中した建物を文字通りさせていた。

 ろくに狙いをつけていないのか、命中精度はよくないようだが、いかんせん数が多く、やたらと連射がきくようだ。


 「これは、半壊したブラストウェーブを馬に乗せた方が良くないか? いや、お前なら助ける義理はないとか言いそうだけど」

 「アタシを何だと思ってるのよ……流石にそこまで薄情じゃないし、わざわざ味方を減らす程馬鹿でもないわよ」

 「味方っていうのは、肉壁のことかな?」

 「あら、よく分かってるじゃない」

 「……取りあえず、ブラストウェーブを乗せるぞ。ベアトリックスさん、動けますか?」

 『脚部の駆動部が壊されたの。ほとんど動けないわ』

 「じゃあ、今からこの馬に乗っけるんで、いいですか?」

 『いいの? あなた達も、ダメージを受けてるようだけど』

 「シャークウェポンはタフでしてね。じゃあ、行きますよ!」


 ブラストウェーブを持ち上げ、馬に乗せる。シャークウェポンよりもかなり大きいが、馬は全くこたえた様子がない。余裕の重量といった感じだ。


 「乗り心地はどうです?」

 『ええ、とても。物凄く賢い子のようですね』


 あの馬は、賢いらしい。

 まあ、あれだけデカければ、脳みそもそれ相応に詰まっているのだろう。馬は、自分から遮蔽物しゃへいぶつのある場所に駆けて行った。賢い。


 俺達も移動しようとすると、キズナがビルの上を跳んできた。


 『先輩! 打開策が思い……ゲホッゲホッ!?』

 「おい、キズナ!?」

 「ちょ!? 竜巻のビームまで!」


 急にキズナがき込んだかと思うと、ビルから落下してしまった。

 そこに、狙いをつけたかのように、竜巻の光線が迫る。


 「クソッ、ロケットパァンチ!!!」


 幸運にも俺は、咄嗟とっさに反応することができた。

 発射されたロケットパンチは、ビルから落ちるキズナの元へ一直線に向かう。そして、殴り抜くのではなく、手を開き、アンドロマリウスを押しのけた。

 アンドロマリウスに直撃するはずだった光線は、ロケットパンチに命中し、ボロボロのスクラップに変えてしまった。


 「チィッ! 後輩の代償は右手? 安いのか高いのか……」

 「安いだろ。キズナには、考えがあるみたいだしな」


 キズナは、急いでこちらに寄ってきた。

 ここらは遮蔽物(大半はビル)が多いので、都合がいいのだろう。


 『すまねぇ、先輩。助かった』

 「いや、いいよ。それで、何か考えがあるんだろ?」

 『ああ。さっきからあの竜巻に攻撃が当たってるみたいだが、生半可な攻撃じゃあ、無効化されるらしい。ほら』


 俺達は、竜巻をのぞき込む。

 ラリマーさん達が攻撃を加えているが、その攻撃が吸収されているように見えた。

 すると、無数に連射される竜巻の光線が、オブリビオンの機体をかすめた。竜巻はそれに狙いを定め、明らかに光線をていた。あれが発射されれば、塵一つ残らないだろう。


 『ヤベぇ!!! あの竜巻をブッ飛ばすには、全員の力がいる! 1人でも欠けたら……!』

 「そういうことかよ!!!」

 「ちょ、アンタ!?」


 俺は、シャークウェポンを走らせ、オブリビオンの元へ向かった。

 あれが発射される前に、機体ごと回収するのだ。


 『て、テメェ……』

 「デカい借りだと思っとけ!」

 『……癪だが、礼は言っとく』

 「ヤバいわよ! 竜巻がこっち向いてる!」

 「何っ」


 オブリビオンを回収してすぐに、その場を離脱しようとしたが、そうもいかないらしい。竜巻がこちらを向いていた。

 もはや、意志のようなものがあるのは疑いようも無い。ロックオンされるとは、かなりのピンチである。

 そんな時、キズナの大声が響いた。


 『先輩!!! ビーム同士は干渉できる!!! ビーム兵器を使うんだ!!! それも半端な奴じゃねぇ、限界を超えた奴を!!!』

 「賭けるか!!!」

 「溜めが少なくて威力の高い……怪光線! 最大出力!!!」


 残った左腕の人差し指に、エネルギーが集中する。

 かつてない危機に、シャークウェポン自身も呼応こおうしたのだろうか。いくら最大出力とはいえ、度が過ぎるエネルギーが集まっていた。

 それは、明らかに指先どころか手首すらも溶解し、ひび割れた隙間からエネルギーがあふれ漏れ出るほどだった。


 しまいには、その手が崩壊し、砲身のようになった手首に、直接エネルギーが溜まる。

 限界を超えたそれが、更に臨界点へと到達した……


 『いっっっけぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!!』


 俺達の怪光線と、竜巻の光線が発射されたのはほぼ同時だった。

 威力は拮抗きっこうしていたようだが、やがて俺達が押し込み、奴の光線を飲み込みながら押し返した。


 「よし!!!」

 「一旦、助かったわね……」

 『馬鹿みてぇなデザインして、何て威力だ……おい、油断すんなよ。死体確認まで安心するな』


 オブリビオンが何か言ってる。

 ……キズナは全員の力が無ければならないと言っていたし、油断は禁物だろう。俺達は、オブリビオンを抱えて退避した。


 そして、俺達が移動してすぐ、煙が晴れた。そこには案の定、竜巻が存在したのだが、俺達は別の部分に度肝を抜かれた。


 「さ、逆さの、天使?」


 竜巻、というのは共通している。

 しかし、下の方には風や瓦礫がれきちり、死骸でできた、天使の羽のようなものが存在した。

 そして、一番下の部分は地面に接地しておらず、輝く天使の顔に見える何かがあった。


 「アタシ達のビームに反応したんだわ。一撃で消し飛ばさないとダメなのよ」

 「みたいだなぁ……それにしても、ロサンゼルス天使の消えた街に現れた天使か。何かの皮肉か?」

 「天使だろうが悪魔だろうが関係ないわ。敵ならブッ殺すだけよ」

 「まあ、そうだな……やっこさんも、待ってくれなさそうだし」


 竜巻の天使は、すでに光線を溜めていた。

 それも、先程の光線とは比べ物にならないほどのエネルギーが凝縮されているのが分かる。あんなものを撃たれたら、俺達どころか、俺達の後ろにあるロサンゼルスじゃない都市にすら届き、消し飛ばされてしまうだろう。


 『よぉしッ!!! ここが正念場だ!!! 皆、最強の攻撃を合図したらブッ放してくれッ!!! ビームならなお良しだ!!!』


 キズナがフェルドランスを構え、竜巻の天使に向けた。その先に、光が集まる。あれこそが、アンドロマリウスのビーム兵器なのだろう。

 それを見た皆が、各々の武装を構えた。


 『了解! でも、大丈夫なんだね!?』

 『ああ、勿論!!! オレの計算に狂いは無ぇ!!!』

 『フン、どうだかな。協力はするが……』

 『やるしかないだろう』

 『この状態でどこまでやれるか分かりませんが、最後までやりましょう』

 『ヒヒーン!!!』

 『……』


 キズナのカリスマの成せる技なのか、士気は十分のようだ。


 「これは負けてらんないわね?」

 「そうだな。怪光線で腕はおしゃかになったが……まだビームっぽい武装は残ってる」


 両腕が使えないシャークウェポンだが、心配はいらない。この機体は、とにかく技の引き出しが多いのだから。

 手足が無くても使える武装はいくつかあるのだ。


 「さぁ、やるか!!!」

 「ええ!!!」


 俺は、『アトランティックビーム』と書かれたボタンを叩き込んだ。

 すると、シャークウェポンの胸の口が大きく開き、凄まじいエネルギーが集中した。

 それは、あのオーバーロードした怪光線をも超えるほどだ。


 このアトランティックビーム。溜める時間が長く隙も大きい上、一発撃つのにも大量のエネルギーを消費するので、迂闊うかつに使えない必殺技なのだ。

 今の消耗したシャークウェポンでは、一発撃っただけでガス欠となるだろう。

 しかし、このような最終決戦みないな場面では、文字通りの必殺となり、相手を粉砕するのである。


 そして――天使を含め、全員のが装填完了するのは、しくも同時だった。


 『アトランティックビィィィィム!!!』

 『トキシックビィィィィムッッッ!!!』

 『原子力破壊光線アトム・レイッッッ!!!』

 『ブラストウェェェェェブ!!!』

 『レコンストラクショォォォォンッッッ!!!』

 『ダークマターレイ!!!』

 『タキオンキャノン!!!』

 『ヒヒィィィィンッッッ!!!』


 全ての必殺が混ざり合い、極彩色の光となり、天使へと直進した。

 その光の前では、天使の光線などまさに風前の灯火ともしび。一瞬たりとも拮抗することなく、光線を、天使を飲み込み、その全てを消飛ばした。


 後に残ったのは、破壊された街並み、そして静寂のみである。

 レーダーでも気配でも、魔怪獣や天使の反応は無かった。つまり、俺達は勝ったのである。


 「しゃあっ!!! 勝ったぁ!!!」

 「はぁーっ、死ぬかと思ったわ」

 『やったな!!! 先輩!!!』


 頑丈なシャークウェポンがここまでボロボロになるとは思わなかった。

 対して、無傷のアンドロマリウス。あれだけ暴れてたのに。パイロットの差を思い知らされるぜ。


 『いやぁ、正直、今回ばかりはもうダメかと思ったよ』

 『最後まで諦めない、というのは大事なことなのですね。難しいですけれど』

 『……』


 3人組の機体は、シャークウェポンより酷い。正直、何であんな必殺技を撃てたのか不思議なくらいだ。流石に、反動なのかもう動けないようだが。


 『殺し屋にやらせる仕事じゃねぇなぁ?』

 『一般人にやらせる仕事でもないと思うが……』


 変形機体の2人は比較的、綺麗な状態だった。

 オブリビオンの方の翼が壊れてる以外、目立った傷は無かった。


 「シャークウェポンもエネルギーが切れ……おおっと!?」

 「え、エネルギー切れでも動くの!?」


 シャークウェポンが暴走のきざしを見せたため、赤いレバーを引く。

 全く、油断も隙もあったもんじゃない。


 「危ないわねぇコイツ」

 「強さと引き換えに欠陥を持ってるだけだから……」

 『それは同感だ。完璧なものなどありはしない』

 「うああああ、ステインさん!?」


 アルルカンと話していると、モニターにいきなりステインさんが映し出された。

 それは、モニターを持っている機体に共通しているようだ。無い機体は、外に飛んでいるデカいドローンのモニターを見ている。


 『諸君、この度はよく頑張ってくれた。世界サメ連合及び、対脅威連合を代表して礼を言おう』


 ステインさんは頭を下げた。

 あの集まり、対脅威連合っていうのか、そのままだな。


 『君達は莫大な報酬、そして名誉を得るだろう』


 何かアレだな。喋り方も相まって、『騙して悪いが~』みたいな展開になりそうだ。

 アルルカンの方を見ると、肘をついて話を聞いていた。彼女は悪意に敏感なので、何もしないということは大丈夫と考えていいだろう。


 『しかし、これしきの報酬や名誉で満足してもらっては困る。異世界から迫りくる脅威は、まだまだ現れるのでね。我々は人手不足なのだよ、君達にはできる限りの援助を――』

 『なぁ、ステインさん。人手不足ってマジなのか?』


 キズナが、ステインさんの話をさえぎった。

 それに対し、ステインさんは気を悪くしたような様子もなく、淡々と答えた。


 『ああ、大マジだよ。戦える者は少ない。正直、君達のようなパイロットは、我々の命よりも大切だ』

 『だったらよ』


 アンドロマリウスが、巨大ドローンのモニターに向かい、己を指差した。


 『人手も戦力も足りねぇってんなら、オレ達矢倍高校一同が鉄砲玉になってやるよッッッ!!!』

 「は?」

 「え?」

 『えぇ!?』

 『まぁ……』

 『!?』

 『イカれてるぜ……』

 『正気か?』


 確かに、矢倍高校の生徒はやたら好戦的な上に強く、常に異様な士気の高さを誇る。

 だが、それは人間大の相手には通用するだろうが、魔怪獣相手は流石に無謀だ。それをどうやって解決するんだ!?


 ――どうなる、俺達!?




――――――――――




 【アーノルド・マクシミリアン・マクィーン(マックイーン)】

 ・第1世代人型機動兵器ヒュージ・ジャンクのパイロット。

 皆からはマックと呼ばれる。

 背の高い爽やかなナイスガイ。元はレーサーをしていたが、そのかなり安定した腕前や性格の良さからパイロットにスカウトされた。


 【ベアトリックス・デビッドソン】

 ・あの英国面機体のパイロット。

 ベアっさんとかベアトさんとか呼ばれる。

 イギリス人であり、隙あらばいつも紅茶を飲んでいる。実はいいところのお嬢様であり、相当の金持ち。

 しかし、お嬢様っぽくドレスなどを着ているかと思いきや、常在戦場の考えからパイロットスーツを常に着込んでいる。

 このパイロットスーツは、今まで着たことのあるどんな服よりも着心地がいいいらしい。


 【ジャンプ】

 ・メガロポリスのパイロット。

 ジャンプとは、名札に書いてあった名前。

 かなり寡黙で口数が少ない。というか全く喋らない。

 エキュメノポリス建設から派遣された人物で、謎に包まれてはいるが、会う度に明らかに体格が変わっている。


 【オブリビオン】

 ・黒いフード付きコートに仮面、ブーツや手袋まで完備したヤバそうな奴。

 その正体は凄腕の暗殺者で、『忘却』の異名で恐れられている。由来は、例え仕事を終えても人々の記憶に残らないことからである。

 ラリマーを見て驚いていたのだが……?


 【ラリマー】

 ・記憶喪失の青年。何故かロボットのパイロットに抜擢されている。

 名前の由来は、ラリマー(ブルー・ペクトライト)のような髪と瞳からついたものである。

 特定の国にとどまらず、世界中を飛び回りながら魔怪獣を討伐している。

 オブリビオンと因縁があるようだが……?


 【ヒュージ・ジャンク】80メートルくらい

 ・マクシミリアン・マクィーンの専用機。

 第1世代人型機動兵器。『デカいガラクタ』の名の通り、全体的に太く、鉄塊に手足が生えたと揶揄される、不格好な姿をしている。

 しかし、頑丈さや破壊力は折り紙付きで、いかなる環境や乱用にも耐えうるとされている。

 空を飛ぶためのブースターが存在するが、重すぎるために滑空にとどまる。

 シャークウェポンよりも大きく、馬力も強い。

 ・核熱ヒートブレード

 ・原子力破壊光線アトム・レイ


 【超大型都市群建設用汎用重機 メガロポリス】100~

 ・ジャンプの専用機。

 超大型重機バケットホイールエクスカベーター。Bagger293が元になっている。

 高機動に改造されており、製造元はエキュメノポリス建築会社。立派な変態企業である。

 巨大なバケットで怪獣などを轢き潰し、建築資材に変えてしまう恐ろしい機械。

 ・レコンストラクション


 【BS ブラストウェーブ】70メートルくらい

 ・ベアトリックス・デビッドソンの専用機。

 英国面によって作成された、爆風の名を冠する(珍)兵器。

 取りあえず、どんな怪獣にも対応できるように、万能性を求められた機体……だったのだが、結果として火力以外は低水準になってしまった。

 パイロットには、排熱や騒音が容赦なく襲いかかる。その上、コックピットの機器配置も非効率極まる。出入りが容易なのがせめてもの救いか……緊急脱出手段は無いが。パイロットスーツは絶対に手放せない。

 車輪のようなもの(パンジャンドラム)が武装として存在するが、これだけ宇宙人の技術かと思う程やたら高性能。戦場を縦横無尽に飛び回る。しかし、発射機構が弾薬などで塞がれており、使用には誘爆の危険性が付きまとう。

 また、戦艦に積むような巨砲がついており、それでグランドスラムを撃てる。デカいので、大量の爆薬や弾薬を常備している。被弾したらほとんどアウト。

 実は一応、空を飛べるが、操作性と安全性と速度は最悪。

 燃費、操作性、安全性、騒音、見た目……ほぼ全てにおいてクソ。正直、こっちのがヒュージ・ジャンクデカいゴミ

 勿論のこと、紅茶をキメるための設備は完備されている。紅茶とパンジャンドラムに予算を奪われたのかもしれない。

 ・グランドスラム

 ・ブラストウェーブ


 【ステルス・BE】

 ・オブリビオンの専用機。

 ステルス暗殺に特化した機体。BEはバレットエッジの略。

 ステルス戦闘機に変形できる。

 動力にはダークマターが使用されており、夜の間ならば絶対に見つからない程のステルス性を誇る。

 ・ダークマターレイ


 【ラピスラズリ(LL)】

 ・ラリマーの専用機。

 オールマイティに活躍できるように設計された機体。

 戦闘機に変形できる。

 動力にはタキオン粒子が使用されており、それを利用して超高速で移動することができる。しかし、パイロットに負担がかかるためにあまり使えない。

 ・タキオンキャノン


 【量産型メタルゴーレム】体型:人型 身長:40~80メートル 分類:ゴーレム

 ・人工ゴーレム。

 その身は雑多な金属から構成され、耐久力や大きさなどは個体差が激しい。

 しかし、その真価はとにかく数が揃えられることにある。大きさ、力、重量は人間にとっても魔獣にとっても脅威なので、金属に余裕のある場合は、もっと大きい個体が100体単位で量産されることもあるのだ。

 『弱点は、術者があるていど近くにいないとダメなことですよね』

 『その通り。また、金属をエサとする奴には、単なる移動するおやつでしかないことだな』


 【ジャイアント・ウォーホース】体型:四足歩行 身長:60メートル 分類:哺乳類

 ・巨人族が使役する、巨大な戦争馬。

 巨人族が平均40メートルくらいなので、平均的なウォーホースである。巨人との交易で手に入った生物であり、巨人自体は出てこなかった。

 個体にもよるが、簡単な魔法も使える戦場の友。そのため、比喩ひゆでなく山や海を渡れるので、かつては非常に恐れられていた。

 葦毛(っぽい)な個体がシャークウェポンに捕まり、後の戦いに貢献することとなった。

 『地球じゃ、馬が流行ってるらしいっスよ』

 『馬が流行る……? 乗馬か?』

 『何でも、馬を若い女の子に改造した挙句、お互いを無理矢理戦わせるらしいっス。地球人はこれをゲームと呼んで楽しんでるみたいっスね』

 『……地球人はイカれているのか? 侵略行為を働いている我々が言えることではないが、流石にどうかと思うぞ』


 【ライノチャリオット】体型:四足歩行 身長:70メートル 分類:哺乳類

 ・全身を鎧で覆ったサイ。

 硬さ、重量がかなりの脅威で、ぶつかられると、城壁ですら一撃で崩壊するという。また、脚が車輪になっているので、スピードも超速い。

 基本的に草食であるが、鎧を維持するために金属を食べることもある。そのため、野生のメタルゴーレムと争っている姿が度々たびたび目撃される。

 『量産型メタルゴーレムがおやつの奴』

 『だから、メタルゴーレムより先にテイムする必要があったんですね(2敗)』


 【トン・ジル】体型:四足歩行 身長:80メートル 分類:哺乳類

 ・デカい豚、というかイノシシ。

 やはり筋張って不味い。泥水よりはマシな味である。

 オークの祖先であると考えられている。だが、マジック・モンス帝国外にいたオークなどは大戦により全て絶滅しているので、それを知る術は無い。

 この世界では、とにかくデカく、強くなければ死ぬのだ。その点、この魔獣はシンプルに強い進化を遂げたと言える。

 『これがあのオークの先祖なんですか?』

 『ああ。オークは、進化の過程でコイツが小さくなり、人型になった奴らだ。だが、オークのみならず、そんな小さい者は全て滅んだよ。残ってるのは、デカくて強い奴だけさ』


 【ヘルウルフ】体型:四足歩行 身長:20メートル 分類:哺乳類

 ・地獄みたいな地方に生息しているオオカミ。

 強さは個体にもよるが、大体ケルベロスの3分の1。

 最低3匹の群れで行動する習性があるので、場合によってはケルベロスよりも脅威度は高い。

 実は、オオカミだけではなく、犬などもいる。

 『逆説的には、ケルベロスの3分の1の強さがあるんだ』

 『それが群れで……凄い脅威なのでは?』


 【アイアンサイズ】体型:おおむねカマキリ 身長:80メートル 分類:合成魔獣

 ・魔獣に代わる戦力として研究された、人造生物。

 カマキリ型の魔獣『舞蟷螂ぶとうろう』をベースとし、様々な改造が施されている。

 アイアンサイズは、とにかく鎌を強化された個体である。また、不安だった脚周り(節足の細さ)を補うため、脚は全て別の魔獣のものとなっている。

 『一種のキメラっスね』

 『魔獣、メイガス・ナイトと覇権を争うジャンルが、合成生物だ』


 【叩き袋】体型:サンドバッグ 身長:80メートル 分類:魔法生物

 ・サンドバッグのような形の袋の姿をした、魔法生物。

 叩かれることで強くなり続ける。打撃は無効化できる一方、斬撃には滅法弱い。

 『ゴーレムでガシッと掴んで拘束するだけで場所取らないから便利なんですよね』

 『おまけに、飼育コストもほぼゼロ。嬉しいねぇ』


 【ビーハイヴ・メーカー】体型:人型 身長:80メートル 分類:ゴーレム

 ・両手が槍のような形状になったゴーレム。

 衝撃を一点に集中し、硬い装甲に穴をあけることを目的としている。

 その手にかかった者は、無惨なハチの巣と化す。

 『ゴーレムの中で最も残酷と言われるのがコイツだ』

 『ゴーレムに残酷もクソもあるんスかね?』


 【マジックネード】体型:竜巻 身長:可変 分類:エネルギー生命体

 ・異世界の、魔力による竜巻。

 一応生命体というくくりだが、意思などは持たないと考えられている。

 周囲の魔力を吸い上げながら、長時間に渡って存在し続ける。

 『小さなマジックネードを魔獣だらけの戦場に放り込むと、あら不思議。巨大竜巻になるんだなこれが』

 『昔はよく使われた戦術らしいですね』


 【仮称:ロス・エンゼルス】体型:不明 身長:不明 分類:不明

 ・マジックネードがその場にある全ての死体や残骸を吸い込み、巨大化したもの。

 逆さにした天使のような混沌とした形態と、ロサンゼルスに現れたことから、この仮称とされる。

 マジック・モンスから見ても未知の現象なので、詳しいことは一切不明。

 『な、何だコイツは!?』

 『分かりません! マジックネードの変異体としか……』

 『……現れた地形から、ロス・エンゼルスと仮称する。嫌な予感がするな……』



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